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48年続く『いちご新聞』って知ってる? サンリオの“カワイイ”の原点
令和になってもハガキのお便り、アナログ文化が息づく新聞
「1975年から『いちご新聞』紙上で実施した人気コンテストが、キャラクター大賞(1986年〜)の原点。今も紙上で投票を募っていますが、キャラクター大賞はもちろん、それ以外のときにもたくさんのお便りが届くんです。『いちご新聞』では、デジタルが当たり前の今でも、不思議と“ハガキや手紙を郵便で送る”という文化が廃れていないですし、大切にしていきたいと思っています」(いちご新聞編集局、以下同)
同紙の創刊は、ハローキティがデビューした翌年の1975年4月。安保闘争などが盛んだった当時、「若い世代が読む新聞」として生まれた。現在はキャラクターに関する内容がメインだが、黎明期の紙面を見てみるとずいぶんイメージが違う。キャラクターも掲載されてはいるが文字量は多く、なかなか硬派な印象だ。
「時代による変化はありながらも、当時から“いちごメイト”(読者)の声を反映し、一方通行ではない記事づくりをしてきたと聞いています。それは今も変わっていないですね」
なぜいまだにタブロイド判のまま? 3世代で読む人も
「たしかに、もっと『小さくすれば?』とか『WEBにしたほうがいいのでは?』といった意見はありました。ただ、全40ページのタブロイド判という大きなサイズの見開きで見せることで、家族やお友だち同士で一緒に読んだり、会話やコミュニケーションの輪が広がることを願っているんです。中面のポスターは、お部屋に飾ったりスクラップしたりして、推しキャラクターとともに楽しめる空間を作っていただけたらと思います」
48年変わらぬタブロイド判で、ハガキや手紙での応募やお便りをメインとする『いちご新聞』。幼少期からデジタルに慣れ親しむのが当たり前となった現在、もしかするとここで初めて、アナログの温かみに触れる子どももいるのかもしれない。
“いちご”という名に込められた深い意図、創刊から48年間続く“メッセージ”とは?
「今のように多くのキャラクターグッズを扱うようになる前、サンリオの“カワイイの原点”は、いちご柄をあしらったマグカップやハンカチなどでした。こうした雑貨は、別に無地でもいいし、なくても生きていくのに困らないけれど、カワイイいちごが付いているだけでホッとしたりときめいたりしますよね。そんな『心を満たすグッズをお届けしたい』という思いが、いちごというモチーフには込められていたのだと思います」
この「いちご」は現在も大事な役割を果たしていて、「いちごの王さま」というキャラクターで残り、しっかりキャラクター大賞にもエントリーされている。新聞創刊にあたり、サンリオからのメッセージを伝えるために、誕生したキャラクターだそうだ。この「いちごの王さまからのメッセージ」は、創刊号から新聞の巻頭に掲載されており、48年が経った現在も変わっていない。
「いちごの王さまは決 して教訓めいたことは言わず、季節折々の出来事や事象を読者目線で届けてくれています。その優しい文章には創刊号から変わらず『世界中みんななかよく』という思いが込められているように感じます。いちごメイトからは、『小さい頃はなんとなく読んでいたけれど、大人になって久しぶりに新聞を見たらまだあって。読んで涙が出た』というお便りをいただくこともあります」