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(更新: ORICON NEWS

『相席食堂』P語る、マンネリ&コンプラ回避する千鳥の手腕「コンビの阿吽が桁違い」

 先月、放送開始5周年を迎えた『相席食堂』(ABCテレビ)。当初はテレビ業界全体がネット配信に懐疑的ムードだった中、いち早くTVerのほか、AmazonプライムやNetflixでも配信しており、ネット上での反響も大きい番組だ。いわゆる街ブラ系のゆるさはなく、近年のバラエティでは見なくなった際どいシーンも堂々と放送し、テレビを観ない世代にも幅広くリーチしている。8日には新たに番組公式のファンコミュニティアプリをローンチし、独自のコンテンツを配信していくという。関西ローカルながら、独自の人気を確立した当番組の仕掛人・高木伸也Pに、その舞台裏と間近で見てきたMC千鳥の凄さを聞いた。

“ロケ職人”だった千鳥を早々にMC起用した理由「タレントありきの番組作りたかった」

 お笑いコンビ・千鳥がスタジオMCを務める『相席食堂』は、2018年1月に深夜のトライアル特番として生まれた。有名人が田舎を旅して相席するVTRをスタジオの千鳥が見て、そこにツッコミを入れるというスタイルは、当初から変わらない。2人がツッコミを入れる前に「ちょっと待てぃ!!」ボタンを押し、VTRが止まる独自のスタイルを取っている。

「個人的に千鳥さんの長々とやる漫才が面白いと思っていて、大悟さんの良さを活かすには、ボケに行くまでにVTRの時間軸を止めないといけないと考えました。逆に千鳥さんの時間軸は止めない形で、VTR中も千鳥さんのコメントをずっとワイプで拾っています」(高木P/以下同)

 “千鳥の時間軸を止めない”ことにこだわったのには、理由があった。当時はロケ職人のイメージが強かった千鳥を、関西のレギュラー番組で初めてMCに起用したのが、『相席食堂』だ。千鳥の単独ライブで大悟が舞台に立ち、客席からノブがマイクでツッコミを入れ続けるコントを観た高木Pは、「これだ!」と閃いたという。

「“タレントありき”の番組を作りたいと思ったんです。昔はたけしさん、ダウンタウンさんの番組が観たいという風潮だったと思うんですが、昨今は人が変わっても成立する“情報ありき”の企画が大正義とされています。絶対的スターが生まれにくい時代である今、タレントありきで番組を作ると視聴率的には失敗をする可能性があるからです。ですが、広く浅く視聴率を獲る番組では“深み”は出ない。今こそ“深い”番組を作るという考え方も必要なんじゃないか、それが今のテレビの課題じゃないか、と思いました」

際どいシーンも恐れず放送、コンプラはテレビが勝手に作ったルール「10倍面白ければ炎上しない」

 いまやレギュラー番組を8本抱え、トップMCとしての地位を確立した千鳥だが、当時はこれから来るかどうかというタイミングであり、MC起用はどの局も様子見状態だった。

「そういった状況下もあり、特番で“面白い”という手応えはありましたが、正直反響はあまり感じていませんでした。しかし、初回収録からノブさんのワードセンスの凄さ、そして大悟さんもツッコミ気質があり、ノブさんもボケられることに気づいたんです。そこで田舎目線は置いといて、我々は千鳥さんを立てることに全振りしようと。そして特番放送の3ヵ月後、2018年4月から千鳥さんに全BETした形でレギュラーがスタートしました」

 もちろん「ちょっと待てぃ!!」ボタンに台本はない。あくまでも千鳥のツッコミセンスに任せる。番組内容もテイストも、当初からなるべく変えないようにしているという。

「やっていることはシンプルなので絶対にマンネリ化していくし、最初は1年持たないと思っていました。しかし段々逆に、“マンネリの面白さ”を作ろうという方向に転換していきました。マンネリすると視聴者の皆さんは『これはもう飽きたわ』とツッコミます。ですが、その視聴者の声を代弁してくれる千鳥さんがスタジオにいる。むしろそのツッコミ状況を作ってしまえばいいと思いました」

 この構造は、コンプライアンス的にも機能している。当番組では、近年のバラエティで見なくなった一般人との強めの絡み、過激なコメントや際どいエロ要素が入ったシーンも堂々と放送しているが、千鳥がスタジオで「ここは切れよ」「なんちゅう言葉使ってんねん」「失礼すぎるやろ」などと視聴者の声を“代弁”することで、見事に批判を回避し、笑いに落としているのだ。

「テレビが色々放送しなくなったのは、テレビが勝手に作ったルールで、いわゆる自粛的な面も多い。マスメディアだからこそ、炎上を恐れるからゆるくなっていく。結果、番組の大事なところが失われていく。僕は炎上しそうなことでも、その事象より10倍面白ければ炎上しないと思っています。あえて炎上するようなことはしないですけど、僕たちテレビマンの正義は“面白さ”でしかないですから」

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