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安斉かれん、「あなたのイメージとは違う私も私」自身初のアルバムでさまざまなチャレンジ

 自身初となるアルバムを2作同時リリースした安斉かれん。ドラマ『M 愛すべき人がいて』(2020年、テレビ朝日)に主演したことでも注目を集めたが、活動の中心にあるのはやはり音楽だ。新曲を中心にしたオリジナルアルバム『ANTI HEROINE』、デビュー以来リリースしてきた楽曲が詰まったヒストリカル・アルバム『僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。』の2枚には安斉の軌跡と魅力、そして未来が詰まっている。デビューから4年が経った現在地を、安斉本人に聞いた。

“かれん節”の詰まったリリックで、国内外のトップアーティストと作り上げたアルバム

 まず『ANTI HEROINE』には「夜は未完成」(ドラマ『凛子さんはシてみたい』エンディング主題歌)、「Secret Love」(ドラマ『社内マリッジハニー』オープニング主題歌)などがタイアップ含む15曲が収録されている。このアルバムタイトルには、彼女自身のパブリックイメージに対する考え方が反映されているようだ。
 「ヒロイン像って人それぞれじゃないですか。たとえば“安斉かれん”がイメージと違うことをすると、“ちょっと違くない?”みたいに言われたりしちゃう。でもそれって、今まで見えてなかった部分が見えたり、それぞれの中でつくりあげたイメージと違っただけだと思うんです。この『ANTI HEROINE』というタイトルには、“あなたのイメージとは違う私も私だよ”という意味も込めています」。
 同作には、ESME MORI、Giga&TeddyLoidをはじめ、国内外のトップアーティストが数多く参加している。なかでも注目すべきは、UKを代表するアーティストであるチャーリーXCX(「現実カメラ」)、チャーチズ(「ギブミー▽ストップ」※▽はハート)とのコラボレーションだろう。
 「制作に関しては、ディレクターが集めてくれたデモを聴いて、“これ、いいね”って直感で決めています。音楽を好きになったきっかけはローリング・ストーンズなどの洋楽ロックなんですけど、今は幅広く聴いています。デビュー以降もいろんなタイプの曲を歌ってきたので、幅が広がったなと思いますね」。
 歌詞はすべて安斉自身が担当している。心のなかの本当の願望を描いた「へう゛ん」、デコ写真をテーマにした「現実カメラ」、恋愛中の日常をカラフルに反映した「恋愛周辺(Demo)」など、独特の言語感覚に溢れたリリックばかりだ。
 「『へう゛ん』の歌詞は神頼みというか、第三者にすがりたいときの気持ちを書いています。自分が本当に求めていることって、人にはなかなか言えないじゃないですか。でも、神様になら言えるかなって。『現実カメラ』は無加工の“現実を映すカメラ”のことで、私が普段使っているオリジナルの言葉なんです(笑)。私たちは“加工までが化粧”という気持ちで生きているので、“そのままで大丈夫だよ”と言われても受け入れらなくて。そういう気持ちを可愛く書いてます」と、笑顔を見せた。「『恋愛周辺(Demo)』は、恋愛中って楽しくなっちゃうけど、仕事や友達のことも並行して進んでいく…でもおろそかになっちゃうこともあるよねっていう状態を書いています。『現実カメラ』も『恋愛周辺』も普段からわりと使ってる言葉で。そういう“かれん語”を歌詞に使ってもいいのかな、と。自然体で書きました」。自分の実感や経験をもとに普段使っているリアルな言葉でつむいでいる。
 「ら・ら・らud・ラヴ」の歌詞は、安斉とOTOHARAの共作。セルフラブをテーマにしたポジティブな歌詞は、コライトによって引き出されたところが大きいという。「初めての共作ですね。ひとりで歌詞を書いていると、逆盛りというか、ちょっと自分を下げちゃうことがあって。いいことを書きすぎると恥ずかしくなっちゃうんですよね。でも、共作してもらったことで、ひとりのときよりも前向きなことが書きやすかったです。リアルな感情に近かったので、歌う時に気持ちも込めやすかったです」。

SNSは“見せ方”で発信場所を変えている

 もう1枚のアルバム『僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。』には、「僕らは強くなれる。」「キミと僕の歌」「一周目の冬」などのシングルのほか、m-floの名曲をカバーした「come again feat. CAELAN」、「現実カメラ feat. 初音ミク」、彼女自身がサックスを演奏したインスト曲「てくてくカレンダー」などを収録。10代の頃のストレートな言葉を軸にしたメモリアルな作品だ。
 「デビュー当初の曲の歌詞を書いていたときは、“これでデビューできる”なんて全然思ってなかったんですよ。むしろ“がんばって書いているけど、これ、何かにつながるのかな?”って(笑)。その後、本当にいろんなことがあって、たくさんの経験をさせてもらって。こうやってアルバムとしてまとまっているのはすごく不思議な気がします。エモい気持ちですね」。

 デビューして4年が経つが、“等身大”という言葉が似合う安斉かれん。飾らない在り方は、ファンとの距離の近さにもつながっているという。「Instagramのアカウントが2つあるんです。ひとつは公式、もうひとつは“かれんの日常”という名前で、プライベートなことも発信しています。楽曲とかファッションとか、いろんな意見も送ってくれるんですよ。すべてに目を通して、ありがたい意見として受け取っています」。2つに分けている理由は「“アーティスト”という部分と“素のかれん”をごちゃまぜにしすぎたくなくて。身近に感じてほしいけれど、憧れてもほしいので。見せ方を変えています」と、セルフブランディング力の高さも伺えた。
 今やZ世代の価値観やスタイルを象徴するアーティストとなった安斉かれん。知名度や注目度が高くなっても、「音楽が好きという気持ちだったり、活動に対するスタンスは変わらない」という。
 「以前からそうなんですけど、夢や目標を聞かれると、何て答えていいかわからないんです。そのたびに“今をちゃんと真面目に生きてます”って言うんですけど、そのほうが生きやすいんですよね。目標を作るのも大事だけど、それに捉われて、考え過ぎちゃうのがイヤで。それよりも“今できること、目の前のことをがんばることで、何かにつながる”というほうがいいなって。今やりたいことは、やっぱりライブ。バンドと一緒に、ライブハウスで熱く歌ってみたいです」。

文/森 朋之
配信リンク
安斉かれん / ANTI HEROINE
(KalenAnzai.lnk.to/ANTIHEROINE) (外部サイト)

安斉かれん / 僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。
(KalenAnzai.lnk.to/bokurahakitto)(外部サイト)
Sponsored by エイベックス・エンタテインメント

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