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芸能界で「ネアカ」復興? 閉塞感漂うリアルと裏腹、“とにかく明るい”が重要項に
トーク力<人間性? 「2022ブレイクタレント」の共通項は“圧倒的明るさ”
「だから無理がなく自然で、使う方も起用しやすいし、観てる方も安心して楽しめる。誰かと比べたり、妬んだりすることのない“ネアカ”は、他人を下げたり傷つけたりする発言もあまり出てこないですよね」。不祥事で一発アウトな今、「ネアカ」支持の背景には、“人の良さ”も担保されているところがあるのかもしれない。
“浅く”見られていた「陽キャ」は一発屋扱い…「陰キャ」旋風沸いた平成バラエティ
思えば芸人界でも、千鳥やかまいたち、霜降り明星、四千頭身や宮下草薙といった第七世代、マヂカルラブリー、ニューヨーク、シソンヌに至るまで、がんがん前に出てはしゃぐキャラというよりは、テンションを抑えた秀逸なトークが評価されるパターンが多かった。
すると「陽キャ」=ダサい、浅いといった見られ方をされるようになる。なぜなら、平成以降に出てきた芸人のほとんどがダウンタウンの影響を受け、憧れて育ってきたからだ。次々とブレイク芸人を生んだ『エンタの神様』出演陣も「陽キャ」が多かったが、かつてのなかやまきんに君がそうだったように、“一発屋”扱いもしばしばあった。
“親近感”より“別次元”、世知辛い現実生きる現代人…何事にもめげない「タフさへの羨望」
ここ数年で山崎の立ち位置は「ガヤ芸人」の域を超え、唯一無二の存在感までをも確立したように感じるが、昨今の芸能界における「ネアカ」重宝の理由を、衣輪氏はこう分析する。
音楽界にしても、「不景気にはアイドルが流行る」という定説があるが、AKBブーム以来、視聴者に寄せた陰キャ発言をするような“親近感”売りのアイドルが日本に増えた。K-POPアイドルに比べて、黒髪清楚+身近な制服衣装で画力も弱い。そんな中、ド派手なファッションで圧倒的なきらびやかさを発し、ステージは別世界を演出するようなK-POPブームが再燃した。
「推し活」然り、世知辛い今を生きる現代人が芸能界に求めるのは、“親近感”や“等身大”ではなく、現実逃避すら叶えてくれる“異次元”なのだろう。“明るい”は、いまや決して浅くない。むしろ、生きる力をもたらしてくれる何よりも大切なファクターになっている。
(文/西島亨)