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「三十路の芋女をからかって楽しいの!?」、アラサー独身彼氏ナシ“不器用な北川景子”がモデルの主人公が共感呼んだワケ

 10歳以上歳の差がある再婚した親の連れ子同士が、お互いを意識しながら、それぞれに好意を寄せる周囲の人々も巻き込んで物語を展開していく恋愛マンガ『この子は弟です。』。本作は「LINEマンガ インディーズ」の投稿に始まり、“トライアル連載”、本連載で圧倒的な人気を獲得。12月16日からは好評に応え、第2幕のスタートも決定している。本作はどのように生まれ、人気を獲得していったのか? 作者のまるやままなさんに話を聞いた。

“やる気スイッチ”の7割くらいは、読者のコメント「いつも助かってます」

――本作は誰でも投稿できる「LINEマンガ インディーズ」、トライアル連載を経由し、人気作品になりました。そもそも、どういった経緯で?
まるやままなさん知り合いからLINEマンガさんのことを教えていただいて、「何それ面白そう!」って思ったのがきっかけです。投稿したところ担当の方からお声がけいただいて、トライアル連載をすることになって。一定の読者数をクリアすれば本連載を…というシステムだったので、読者数はもちろん気になりましたね。でも、それよりも目の前の原稿に必死だったという記憶で、ほぼ神頼みでした(笑)。唯一印象に残っているのは、読者数が「もう一声(ほしい)」時に、表紙を変えたら無事伸びてくれて、安心したってことです。

――実際16週間(※)のトライアル連載で好評を得て、本連載を勝ち取りました。その時の心境は?
まるやままなさん有頂天でした。でも一晩寝て起きて頭が冷静になった時、連載という“不安”と目が合いました(笑)。
(※)現在は原則12週間。トライアル連載期間中は原稿料も支払われる。

――ご自身の作品の、どういったところが好評の要因だったと思いますか?
まるやままなさん主に、30代女性をターゲットに描いていたのですが、いい意味で予想が外れて、幅広い層に見てもらえたということ、かな?
 それと、このプラットフォームは、いい仕組みだと思いました。誰でもマンガ作品を発表できるし、とくに私は目標の先にご褒美があると「描かなくちゃ!」って頑張れるタイプなので(笑)。評価が形に現れるのは嬉しいですよね。

――読者からの好意的なコメントも多く寄せられていましたが、それらも力になっていた?
まるやままなさんそうですね。“やる気スイッチ”の7割くらいは、読者様のコメントなのでいつも助かっています。特に、作者コメントに対して、コメントが結構多いなって思います(笑)。あんなしょうもないコメントに反応してくれて、本当にありがたいです。作者コメントのエピソードを超えるものもあって、笑わせていただかせています。

感情の機微を丁寧に描く理由「マンガなんだから文字じゃなく絵で語れ」

 春田花は、会社でも一目置かれるバリバリのキャリアウーマン。一方で周囲から“鉄の女”と揶揄され、30歳独身彼氏なしを気にして絶賛婚活中。そんな花に高校生の弟(再婚した親の連れ子)の紺が18歳の誕生日を迎えた瞬間、突然キス。好意を打ち明けられ困惑する花と、それを楽しむかのように挑発的な紺の言動。そこに、花、紺に好意を寄せる人たちが絡んできて…。

――本作は、再婚した親の連れ子同士が、お互いを意識しながら、周囲の人々も巻き込んでいく恋愛マンガですが、そもそもこのプロットはどのようにして発想されたのでしょうか?
まるやままなさん作品を描く前に、まず自分の現状を書き出しました。“アラサー独身彼氏なし”、そんな自分が「告られたらうれしいけど、絶対無理だろうな」って相手ってどんな人だろうな〜…ってとこから肉付けしていった感じです。

――ご自身の現状がベースにあるのですね。主人公の花は、キャリアウーマンで仕事はバリバリだけどこと恋愛に関してはうまくいかない女性。花の血のつながらない弟で、イケメンで無愛想だけど花のことを誰よりも想う高校生の紺。さらに、花に好意を寄せるイケメンで仕事も家事も完璧な咲良先輩、小悪魔的な魅力も持ちつつ紺のことを想う美少女・えま、と個性豊かな人物が登場します。彼らのキャラクターについてはどのように考えられたのですか?
まるやままなさん花のビジュアルは、恐れ多くも北川景子さんをイメージして描きました。北川さんみたいな人が不器用だったらめちゃくちゃかわいいなって思ったんです。紺は前の職場のイケメン大学生アルバイトがモデルです。アンニュイな感じなのですが、今見ると全然似てない(笑)。咲良先輩は当初、性格悪い男だったんです。でも「“スパダリ”(スーパーダーリン=完璧な男性)にしよう」と仲間からゴリ押しされたので、三浦翔平さんをモデルに描きました。えまちゃんのモデルはいないのですが、名前を考えていた時ハリーポッターを見ていて「ハーマイオニーかわいいな」と思って、エマ・ワトソンさんからとりました(笑)。

――物語は、この4人を中心に進んでいくわけですが、展開していくうえで気を付けていることはどんなことですか?
まるやままなさん共感の中にある“非日常感”を意識して描いています。そして、非日常ではあるけど、リアルに描けたらと思っています。あとは、とにかく紺と咲良先輩をイケメンに描くよう善処しました(笑)。

――なるほど、そこが多くの人に“刺さる”ポイントなんですね。本作は、登場人物の「相手が自分に対してこう思ってほしいという願望」「相手の幸せを願う感情」などが複雑に入り組んでいて、それらが直接的にセリフで描かれているわけではないのに伝わってきます。こうした感情の機微に関して、どのような考えのもと描かれているのでしょうか?
まるやままなさんありがとうございます。昔、「マンガなんだから文字じゃなく絵で語れ」って言われてから意識しています。表情によって言葉の意味も変わってくると思うので、今後も丁寧に描いていこうと思います。

いよいよ第2幕、これまで以上に‘“ドキドキ”“キュンキュン”の展開

――本作は、縦読みの「webtoon」作品です。実際に描かれてみて「webtoon」の面白さ、難しさをどのように感じますか?
まるやままなさん連載も縦読みも、デジタルで描く事も初めてだったので、勢いでここまで来た感じです(笑)。WEBでの連載は、作品を更新して読者さんの反応がすぐ見られるのが面白いなって思いました。ただ、数字の世界なのでそれをキープするのは難しいと思っています。また、横読みマンガみたいな迫力を出すのは難しいと思う反面、ドラマチックに描けるのが面白いなって思っています。

――12月からは、第2幕がスタートすると伺いました。第1幕の好評を受けてのことだと思うのですが、どのような展望をお考えですか?
まるやままなさん少女マンガなので毎話1つ以上、ドキドキ・キュンキュンをお届けできればなって思っています。第2幕では、多分恐らくきっと、今まで以上に紺がキュンキュンさせてくれると思います。第1幕より楽しんでいただけるように頑張ります。

――マンガ家として、着実に歩みを進めていらっしゃいますが、今後の目標や描いてみたい作品がありましたら教えてください。
まるやままなさんクズではないけどダメ男が主人公の成長物語を描きたいなって思っています。そこにおいしい設定をつけるのを楽しんでいます。いつかこれも形にできたらいいな、そしてできればメディア化できたら…と思っています。もちろん、その前に『この子は弟です。』をきっちり最後まで描くのが目標ですね。なので、これからもどうぞよろしくお願いします!

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