ORICON NEWS
「顔デッカ!」“大顔”猫のたまらない魅力…差し押さえ物件からダンボールで保護されたコンビ猫
その名も「大顔おじさんず」、大きな顔の猫には理由があった
とくに顔の大きい「みつき」は、ふわふわの半長毛で、食いしん坊で甘えん坊。若い猫に挑まれても動じない広い度量を持ち、ときどき「しつこいよ!」と控えめな反撃をするくらいだそう。『ねこけん』ブログには時々、こうした顔の大きい猫が登場するが、それには理由があるそうだ。
「顔が大きいのは、去勢していないからなんです。男性ホルモンが影響しているようで、去勢が済むと顔もだんだんとしぼんでいきます。たとえば、野良のボス猫なんかも顔が大きい子が多いじゃないですか。それも去勢していないからで、そのぶん力が強く、ボスとして君臨します。去勢すると顔が小さくなるだけでなく中性的になり、おとなしくもなるので、自然にボスの座から降りていくんです」
そんな「みつき」も「いつき」も、ブログにある写真や動画を見ると、とても幸せなのんびりした猫に見えるが、実は保護されるまでには、大変な思いをしてきた。『ねこけん』に来た際には、ダンボールに詰められてやってきたのだという。
差し押さえ物件からダンボールで保護、「ギリギリのセーフティネットに」
「現場は、どこもかしこも汚くて、とてもひどい状況でした。連絡をくれた業者さんは、そこにいた猫たちを次々にダンボールに入れて、保護してくれたんです。業者さんによると、ダンボールで捕まえるのが一番、猫にとって安全なんだそう。猫の上から口を開いたダンボールを被せるそうで…確かにそれは捕まえやすいと思いました(笑)」
当初、「猫は1匹」だと聞いていたが、文字通りフタを開けてみれば猫は12匹もいた。普通ならば、業者が捕まえた猫は愛護センターに送られる。早くに譲渡先が見つかればよいが、そうでない場合は“処分”されてしまう。
「業者さんは『できれば殺したくない』と言ってくれますが、急に引き取れる保護団体も少ないんです。なぜなら、通常の多頭飼育崩壊案件ならば前もって準備ができますが、差し押さえ物件は入ってみないことには状況がわからず、どれだけ動物がいるかも知ることができない。それだけに、どうしても急な依頼になってしまうため、すぐにシェルターを開けるのが難しい保護団体は対応がしにくいのです。ですが、救うためならばやるしかない。猫たちにとって、ギリギリのセーフティネットになれるように努力しています」
こうして、なんとか生きながらえる道を得た猫12匹。ダンボールに詰められて運ばれ、すぐに不妊・去勢手術を受けた。当初は不安げな表情だった猫たちも、今ではすっかり落ち着き、新しい家族を見つける準備に入っている。
「幸いなのは、元の飼い主が猫を連れて行かなかったことです。もしかしたら、猫たちにとっては飼い主と離れるのはつらかったかもしれない。ですが、飼い主と猫が新たな場所に転居しても、また劣悪な環境になる可能性は高い。猫にとっては、手放されたことは良かったことだと思います」
「いつき」「みつき」の大顔は、去勢手術を受けたことでもしかしたらしぼんでいくかもしれない。だが、それはこれから生きていくために必要な処置を受けられた証でもあり、人間側の義務でもある。ダンボールでやってきたすべての猫たちが、新たな幸せを見つけることを願いたい。
■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)
■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)