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(更新: ORICON NEWS

広末涼子、ショートカットで始まった快進撃と10代にして見失った目標「自分がいなくなってしまった」

 14歳でデビューし、一躍“ヒロスエブーム”を巻き起こした広末涼子。10代から多忙を極め、常に周囲からのイメージや期待に応え続けてきた彼女は、一時自分を見失い、芸能界引退も考えたという。しかし、2年間の休業、結婚や出産を経た現在も、3児の母として育児と仕事を両立している。今年で42歳を迎える広末の人生を変えた転機、母として女優を続ける想いを聞いた。

悩みや弱音を言えなかった10代「悲しいと言ってはいけないと思っていた」

 デビュー以来、ブログやSNSは一切やってこなかった広末涼子。その理由は、プライベート色を出しすぎると役者業に影響が出たり、自身の言葉が違った受け取り方をされたりするかもしれないと思っていたからだ。そんな彼女が書き下ろした初のエッセイ『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社)が、明日14日に発売される。そこには、中学時代に受けたいじめ、ブレイク当時の苦悩から、妻として、母としての想いまで、赤裸々に綴られている。
 3児の母ながら俳優として第一線で活躍し続け、これまで私生活は謎に包まれていた印象もあったが、昨年にはNHKのEテレ『シャキーン!』に奇抜な髪型でレギュラー出演、今年から女性誌『STORY』(光文社)ではママとしての初連載、そして今回、初のエッセイ執筆と、広末が新たな姿を見せ続ける背景には、心境の変化があった。

「仕事が多忙すぎたり、周りからの評価が自分の思いとは違う形で伝わったりして苦悩した時も、誰にも相談せずに全部自己完結していたんです。友達や好きな人にはポジティブなことを共有したいし、悩みや嫌なことは自分でクリアしていけば良いと思っていました。自分の性格上、その方が楽だっただけなんですよね。

 でも実は、友達はネガティブなことも共有してほしかったり、自分の悩みを打ち明けることでそれが逆に誰かの勇気に繋がったりすることもあるんだと気付きました。若い時は、“女優は夢を売る職業だから、悲しいとか言ってはいけない”と思っていたのですが、年齢を重ねると共に、気持ちをオープンにすることで親近感を持ってもらえたり、元気になってもらえたらいいなというマインドに変化しました」

“虚像化”した世間のイメージに葛藤した20代、2年間の休業で取り戻した「自分」

 40代に入り、ようやくかっこつけなくてよくなったと笑う広末。14歳のデビュー以来、高校や大学でも常に周囲の注目を集めてきた彼女は、世間のイメージに悩まされることも多かった。

「デビュー当時、顔見せという形でいろんな方々とお会いしたのですが、田舎から出てきたばかりの中学生の私は、大人と何を話せばいいのかも分からず一問一答状態で、静かな優等生という印象を持たれていたんです。

 そこで、ショートカットにすれば私本来の元気で活発な感じが伝わるかなと思って、ばっさり髪を切ったら、その戦略が見事に成功したんです。でも、そこからイメージが先行して、虚像化した葛藤みたいなものは10代後半と20代前半にすごくありましたね」
 ショートカットがトレードマークで、ボーイッシュで中性的な雰囲気も独自の魅力となっていた広末。役者としても妹役や娘役ばかりで、10代にしてどこか“やり切った感”を抱いていたという。そんな彼女の転機となったのは、単身で渡った海外での体験だった。

「19歳で出演した『WASABI』という作品が大きな転機でした。当時はどこにでも“広末涼子”っていうイメージがついて回ってきたので、その印象を打破した方がいいのか、乗っかった方がいいのかって考えている内に、自分がいなくなってしまって…。だから“日本から来た小さな女の子”っていう感じで、一人で海外に飛び込ませてもらった映画の現場はすごく楽しかったんです。

 実力主義の中で、私の立場やネーミングは関係なくお芝居させてもらったことで、日本の芸能界だけに囚われすぎない、縛られない生き方をしないといけないなって気づくことができました。その経験があったからこそ、23歳から2年間ほどお休みさせてもらうという決断に至って、新たなスタート地点に立てたと思います」

一時は引退も考えた芸能界、3児の母となっても育児と両立「家では台本開かない」

 一時は芸能界引退を考えたこともあったそうだ。誰も傷つけずに辞めるため、わざと太ったことすらあった。しかし、3児の母となった今も、“家で台本を開かないこと”をマイルールに、仕事と育児を両立している。

「母親や親戚が専業主婦を謳歌している姿をずっと見てきたので、自分の中で明確な母親の理想像がありました。でも、実際に自分が母親になってみると、どうしても時間が足りない(笑)。育児においてやり尽くしたって満足することがないのは、大切で好きだから。それと同じように女優業や作品も大切で、100点って思える時は一生来なくて、どちらもキリがないんですよね。

 なので、しっかり切り替えるために、家に台本を持ち込まないっていうルールを決めました。以前、失恋してしまう女の子のすごく切ない素敵な台本を家で読んでいたのですが、読み終わっても全然ときめかなくて。“たがか失恋”と思っちゃったんです。その当時、私は長男のおむつが取れるか取れないかの方がずっと大事で(笑)。家の中にいると母親の自分が抜ききれなくて、台本を最初に読んだ感動とか、大切にしたい感情が沸き起こってこなかったことに驚いて、それからは場所を整えて本を読むようになりました」

暗闇から救ってくれた息子の存在――「努力」が「自己肯定感」を生み出す

 自身をポジティブで楽観的だと明るく語る彼女にも、立ち直れないと思うほどの挫折を味わった経験がある。解決の糸口を見つけるべく、とにかく行動を起こし続けた彼女の原動力となったのは子どもの存在だった。

「人には言えないほどの本当に大きな挫折で、悲しくて辛くて出口のないトンネルの中にいるようなときに心の支えになったのは、間違いなく長男の存在でした。この子を育てていくために自分ができることを探して、ゴールに繋げないと、と思えたことが本当によかった。自分のためだったらそんなに頑張れたかなって思うと、すごくありがたい存在です」

 今は海外の高校に留学中の長男。親元を離れ、母親のありがたみを感じる機会が増えたのか、感謝の言葉を伝えてくれるようになった。

「以前も辛いことがあった時に、何か察してくれたのか、海外にいる息子から『何かあったら相談しろよ』って連絡が来た時にすごいと思って。そんなことが言えるくらいにまで成長したんだなっていうのと、素直な子になってくれたんだなと、とても嬉しかったです。母親としていつも明るく強くありたいし、子どもを不安にさせないようにしたいと思っていたけど、それで自分に無理がくるなら子どもに頼ってもいいのかなって思わせてくれた言葉でしたね」
 幾度もの挫折や困難も、持ち前のポジティブさと行動力、家族への愛とともに乗り越えてきた広末。エッセイには、“「努力」が「自己肯定感」を生み出す”と綴られている。

「しんどい時でも、人って向かうものがあれば生きていく糧になるし、頑張れるかなって思うんです。自分を否定することは自己肯定感の対極にあるものだと思いますが、自分を嫌いになったり何かを諦めたりするくらいだったら、一度頑張ってみる。向かう方向を見つけるだけで、光は見えるんじゃないかな」
(文=鈴木ゆかり)
広末涼子エッセイ『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(外部サイト)
発売日:2022年4月14日
価格 :1,650円(税込)
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