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【意識調査】9割以上が「違和感」 長寿アニメの“声優交代” で視聴者が求めるものは? 

  • 映画ドラえもん のび太の月面探査記

    映画ドラえもん のび太の月面探査記

 長寿アニメ作品では宿命ともいえる“声優交代”。『サザエさん』『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ルパン三世』といった、長く愛され続ける人気タイトルでは、さまざまな事情から声優の交代は行われている。それまで担当していた声優に限りなく寄せ、視聴者の違和感が少ない交代もあれば、一気にメインキャストごと刷新され、新しい演者による作品づくりを目指す方向性も。作品ファンにとってはさまざまな思いが錯綜する“声優交代”について、正直なところ視聴者はどう感じているのか。普段からアニメを観ている10代〜60代の男女に調査を実施した。

声優交代に9割の人が最初は違和感 「ものまねでいい」の声も

 結論からいえば、『長寿アニメの声優交代で違和感をおぼえたことが“ある”』と回答した人は実に93%超。ほとんどの人が声優交代について、多かれ少なかれ思うところがあるようだ。アニメにおいて、ストーリーや絵柄とともに、大事な要素となっている“声”。物語に没入したい視聴者は、たとえ声優交代を余儀なくされる場合であっても、なるべく違和感の少ないバトンタッチを望んでいるようだ。

 作品タイトル別での『声優交代に違和感を感じたか』という項目では、ほとんどの作品で「最初は違和感があったけど今はもうない」という回答が目立ったが、2005年にメインキャストを一新し話題となった『ドラえもん』では、それから15年以上が経過した現在ですら「違和感がある」と答えた人が41.2%とかなり多い結果に。そもそも先代キャスト陣は地上波バラエティ番組などでも顔出しなどで活躍するレジェンド級の名優ぞろいだった。人気タイトルだからこそ、それ以前の声/キャラクターで刷り込まれている印象が強固であり、厳しいジャッジにさらされていることがうかがわれる。

一方で、上記の設問で尋ねた作品の中で『声優の交代に成功したと思う長寿アニメ』では、『ルパン三世』が46.5%と最も多かった。ルパンの声を担当していた故・山田康雄氏の生前より“ルパンのものまね”を披露していた栗田貫一が、山田氏の逝去後を引き継ぐかたちでの抜擢。当時は驚いた人も多かったが、今となっては違和感なく移行できた代表例ともいえる。「モノマネで良いんです。私らルパン三世・フリークにはちょっと違うかなと思いつつも、初代の山田康雄さんの声を大切にしてる感が伝わるので。初代声優さんにより近づけて努力してほしいと思います」(富山県・50代男性)「ルパン三世をモノマネの栗田さんにしたように、ある程度似せてほしい。アニメ声優の思い入れよりも、完成されているアニメのキャラの方を優先してほしい」(愛知県・40代女性)など、むしろ本家へのリスペクトを前提とし、より完成度の高い「究極のものまね」を求める声も見られた。

3人に1人が“声優交代が原因で視聴をやめた経験…声優交代に求めるのは「違和感をなくす」が4割超

 『長寿アニメの声優交代についての考え』としては「元の声優に似せてほしい」「どちらかといえば似せてほしい」を合わせると64.2%を占め、「新しい声優の個性を生かしてほしい」「どちらかといえば個性を生かしてほしい」の合計13.7%を大きく上回った。

 実際に「声優交代が原因でアニメを観なくなった」ことがある層は30.8%。少数意見ではあるものの、約3人に1人が経験していることを考えると、決して無視できるような割合ではない。理由としては「なかなか慣れず、ストーリーに集中できなかったから」(広島県・20代女性)「声優変更により違うアニメーションに感じてしまう自分がいたため」(長野県・20代男性)など、うまく新しい声優の声になじめなかったという意見が多かった。

 『声優交代において一番に期待すること』については「視聴者側の違和感をなくす」が全体の41.0%を占めた。続いて「世界観の継承」(21.9%)「前任の演技に近づける」(9.4%)が挙げられており、いずれも交代前後での違和感を軽減する配慮を求める声が上位という結果に。代表的な意見としては「声質/声色は、キャラクターそのものの存在感に直結するので、やはり踏襲して欲しいと思う」(愛知県・60代男性)「たとえば、一旦シリーズを終了して、数年後に再開するというのなら、まるっきり違うキャストの、オリジナリティを前面に出した声でもいいと思う。しかし、先週まで〇〇さんで翌週から△△さんでは、違和感がありすぎて物語が頭に入ってこない。極力、前任者に沿った声で演じてほしい」(神奈川県・30代男性)など、違和感の解消をまず制作陣には考えてほしいという声が多かった。

長寿アニメだからこそ… 製作陣それぞれの英断

 どちらかといえば、声優交代に慎重さを求める傾向が読み取れる結果となったものの、たとえば違和感があると答えた人が多い『ドラえもん』は、実は『声優交代に成功したアニメ』という項目で『ルパン三世』に次ぐ2位。37.1%の層が、現在の声優の声が定着した/役に馴染んでいると感じている。「長寿アニメなので、交代は仕方がない。新しい方の役作りでいいと思う」(埼玉県・50代女性)、「最初は違和感がありますが、だんだんなじんでいくと思う。アニメのキャラクターとイメージが合えばいいと思います」(奈良県・40代女性)、「ルパン、サザエさんのように一部の役が変わるのであれば、元の声優の雰囲気を引き継いで欲しい。新しい声優の個性を活かすのであれば、ドラえもんのように一新した方が良い」(大阪府・40代男性)などの意見があった。メインキャスト陣の全体的な高齢化など、納得できる理由に結果が伴えば、作品全体での大胆な“仕切り直し”を支持する場合もあるということだろう。

 少しずつ交代を行う『サザエさん』、ものまねを活用し成功した『ルパン三世』、メインキャストを一新し生まれ変わった『ドラえもん』。それぞれの製作陣の意思と決断のもとで、声優交代は行われている。「ルパンは当時,栗田貫一さんしかいないと思ったしそれで正解だと思った。まったく異なる路線をとったドラえもん,しばらく違和感や寂しさは続いたけれども,今はそれで正解だと思う。結局,慣れなのかなと思う。あとは貫き通すことの大切さ」(神奈川県・40代女性)という意見に象徴されるように、あえて今の違和感には拘泥せず、数年後、数十年後の未来のファンを生み出す大胆な選択が可能であることも、長寿アニメならではの強みだともいえるだろう。
【調査概要】
調査時期:2022年2月2日(水)〜2月7日(月)
調査対象:計1000名(回答者全体 1608名のうち「アニメを観る機会がある」と回答した人に限定した【オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)】会員10代〜60代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)
https://omr.oricon.co.jp/

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