ORICON NEWS
「ピラミッドが崩壊したら何が出る?」崩れた後にサプライズ、賞賛集めたドミノアートの正体は?
約6,000個のドミノを積み上げたピラミッドドミノ「制作時間は約8時間」
Daisuke Fujikawa 実写映像にCGを合成した映像や画像を作ることが好きで、アイディアが浮かんでは作り続けてきました。今回はドミノを使ったおもしろい映像を作りたいなというところから構想を練りました。
――5,950個のドミノを積み上げた…とのことですが、どのような作り方をしているのでしょうか?
Daisuke Fujikawa まず、何もない部屋を撮影し、それをblenderというソフトに取り込んで、撮影した時のカメラの動きを解析します。次にモデリングといって、CGのドミノを1つ作り、それをひたすら複製していきながら並べてピラミッドを作っていくんですが、積みあがったら今度は崩すシミュレーションをするんです。より自然な崩れ方になるように摩擦係数や弾性(跳ね具合)などを調節して何度も行います。
――この時点で気の遠くなる作業のような気がします。
Daisuke Fujikawa 積み上げて崩すシミュレーションが一番大変かもしれないです。その工程が終わったら、崩れた状態のドミノにテクスチャを貼ります。今回は『牛乳を注ぐ女』の絵を着色します。イメージとしては、ドミノにプロジェクターで投影する感じです。プロジェクションマッピングみたいな。「崩してから絵を貼る」ので、崩れた時にだけ絵が綺麗に現れるわけです。最後に元の実写映像とCGを重ねてレンダリング(出力)し、完成です。
――華やかな映像の裏の地道な作業を感じました。いつ頃から構想があったのですか? 制作時間も教えていただければ。
Daisuke Fujikawa ドミノの構想が浮かんだのは7月ごろからで、実際にピラミッドドミノを思いついたのは8月1日です。制作時間は2日ですね、合計すると8時間ほどでした。
――ドミノを壊すと絵が登場する…というアイディアはどんな時に浮かんだのですか?
Daisuke Fujikawa もともとはドミノ倒しの実写合成映像を作りたいと思っていたのですが、なかなかおもしろいオチが浮かびませんでした。テレビを見ながらぼーっと考えている時にふと「ピラミッドドミノ」を思い出して、チャレンジしてみることにしました。基本的にアイディアは、他のことをしながらぼーっと考えている時に浮かぶことが多いです。
背景に使った“リアルすぎる自室”が「積み重ねた疲労感」を演出
Daisuke Fujikawa はい、現在21歳、大学4年生です。高校2年生の秋頃にCGに興味を持ち、「blender」というフリーソフトを始めました。使ううちにだんだんハマっていって、今に至ります。受験期はお休みしていましたが、それを除いて4年ほど続いています。
――今回の動画を制作するうえで、特に大変だったことはありますか?
Daisuke Fujikawa 「積み重ねる工程」と「シミュレーション」です。ひたすら積み重ねていく作業は大変というよりも、とてもつらかったです。ピラミッドドミノは複雑な規則性があるので物理的に間違えないように積み重ねるのが大変でした。ひとつひとつ重ねたわけではなく、大量に複製して1面ごと一気に重ねていくようにしたので、実際に積み重ねるよりかは楽です。
――1枚1枚じゃなくてよかったです(笑)。
Daisuke Fujikawa そこがCGの良さのひとつでもあると思います。それと、ドミノが自然に崩れ落ちる計算をするので、パソコンがそれに耐えられるものでないとフリーズしてしまうので、恐怖との戦いでした。最初は1万個のドミノで考えていたのですが、シミュレーションにかなり時間がかかりそうだったので、6,000個に減らして実行しました。
――結果大反響だったわけですが、制作段階からバズる予感はありましたか?
Daisuke Fujikawa 少しだけ自信があったので「いつもより少し多くいいねがもらえるかな…」くらいは思っていました。投稿した直後も勢いがあるわけじゃなくて「ダメか〜」と思っていたら、急に勢いよく伸びていってびっくりしました。
――自宅っぽい背景が妙にリアルでした。背景の“リアルさ”は狙ってやったものですか?
Daisuke Fujikawa 狙ってやりました(笑)。部屋が汚かったので少しは掃除しましたが、綺麗すぎるより敢えて乱れさせた方が「積み重ねた疲労感」みたいなものが感じられるかなと思ったので右側に見える白いシャツなどはそのままにしておきました。ただ普段の自宅が多くの人に見られているようで、バズればバズるほど少し恥ずかしさも感じました。
――名と呼ばれるものはほかにもありますが、『牛乳を注ぐ女』を選んだ理由は?
Daisuke Fujikawa 最低条件として、最後のオチは「誰でも一度は観たことあるもの」でないといけないなと思いました。その時に思い浮かんだのが「モナリザ」「真珠の耳飾りの少女」「牛乳を注ぐ女」の3つでした。どれにしようか迷いましたが、「牛乳を注ぐ女」で試しに使ってみたところ、色が多く使われているためか、かなり綺麗にできたのでこれにすることにしました。
――CGの魅力を教えてください。
Daisuke Fujikawa 頭に描いたものが作れることではないでしょうか。「もしもこんなものがあったら」など、想像したものを具現化できるツールだと思います。またこんな風に作品を観てもらうことで多くの人を楽しませられることも魅力だと思います。まだ誰も見たことがない、オリジナルな世界観の作品を作ることを目標にこれからも制作をがんばります!!
Daisuke FujikawaさんTwitter:@cobalt_kura