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大河ドラマで存在感見せた門脇麦、女優業10年で得た経験値と「失ったもの」の葛藤
独特な雰囲気持つ実力派、大河後に公開する新作で難役に挑戦
最新映画『あのこは貴族』では、箱入り娘として何不自由ない暮らしをしてきたお嬢様・華子を演じ、結婚を機に変化していく人生のなか、本当はなにが大切かに気づいていく女性の機微を丁寧に表現した。
典型的なお嬢様という役に「肉付けをするのがとても難しいな…」と戸惑いがあったという。そんななか、門脇は、学生時代の友人に、華子のように幼稚園から大学までエスカレーター式で進級した人を紹介してもらいヒアリングを重ねた。それでも「これ掴めれば華子ができる!と思えるような感触は得られませんでした。敢えて言うなら、物事に対してゆとりというか余裕があるんですよね。そういうフワっとしたニュアンスって表現するのはとても難しい」と苦笑い。
難役と感じた華子役。さらに華子が初対面で、悪意なくマウントをとってしまう女性・美紀を演じるのが水原希子だ。「希子ちゃんはすごく華がある印象。初めて出会うシーンで美紀がこの子には敵わないと思えるように作らないと説得力が持たせられないし、物語が成立しない」と危機感があったという。しかし、現場に現れた水原は「希子ちゃんがどこにいるか探してしまうくらい地味な美紀がいたんです。いつもの希子ちゃんからは想像できないぐらい。そんな希子ちゃんを見て、すごい!と思うと同時に、シーンを成り立たせられるかもしれないと思いました」と水原の役作りに感謝する。
『麒麟がくる』で実感、「出たとこ勝負では通用しない」
門脇自身、2013年放送の『八重の桜』以来、2度目の大河ドラマ出演となるが、「1年半ずっと規則的にNHKに通うので、ルーティンワークみたいな感じ」と特殊な仕事であることを強調する。「これだけ長い間、同じ人物を演じ、同じスタッフさんとお仕事をする機会は、ほかでは経験できないこと。ありがたいです」と感謝を語った。
演技についても、得るものが多かったという。
「映像の出たとこ勝負的な、現場で生まれた“生の反応”も大事である一方、大河ドラマはそれだけでは成立しない。しっかり準備して、段取りを踏んでいないと対応できないことが多いんです。例えばあるシーンで『手を振りたくなった』と思って手を振ることって、現代劇だと許されるかもしれませんが、時代劇はそうはいかない。舞台と近い難しさがあって、そういった意味では、これまで映像では使って来なかった筋力を使っていた気はします」。