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お泊りから“お試し”需要へ コロナ禍でコンビニコスメに変化、ECサイト発のアイテムで難局打破なるか
コロナ禍で壊滅したお泊りコスメ需要 コンビニ決済多い若い世代囲うECサイトに着目
ファミリーマートをはじめとするコンビニ店舗にそもそもコスメ商品はあった。それらは主に緊急需要対応用で、化粧水や乳液など基礎化粧品のミニサイズのものが多かった。コロナ禍でコンビニメイク売り場の売上は急激に落ち込んでおり、そのテコ入れとしてノインに白羽の矢が立った形だ。コンビニ利用客は比較的男性客が多い。若い女性の層はなかなか取り込めてないのが現状だ。ファミリーマートとノインはそこにも着目した。
ノインのECサイトを利用する若い世代が、クレジットカードを持っておらず、決済をコンビニエンスストアで行う人が多かったのも狙い目だった。
「ついで買いなどではなく、女性が『sopo』を買いたいからファミマを探す…そんな商品にしたかったのです。お客様の中には、都心になかなか行けない方々も多くいらっしゃいます。ですが、ファミリーマートさんは全国約1万6千店舗を展開。気軽で、身近に売り場があるということも魅力ですし、購買層が広いということも魅力でした」(ノイン・後藤麻希子さん/以下N担当)
リップよりアイメイク? データから見る“今求められている”コスメとは
アイメイク中心に絞ったのも、理由がある。ノインのECサイト上で、コロナ禍で消費者行動の変化があったからだ。マスクをして過ごす時間が増えたため、マスクがない部分…つまり、リップまわりにかける金額が減り、目元で遊ぶ傾向になった。両社はそこに力を入れた。「少々挑戦的なカラーコスメではありますが、40代女性にも受け入れられるような日常的に使える色味を追求しました。ユーザーと近い距離でコミュニケーションが取れるECサイトを展開する弊社だからこそ、根拠とねらいを持って実現できたラインナップです」(N担当者)
「コンビニでカラーコスメが変える時代が来た」――。『sopo』の発売が発表されると、販売前から大きな反響があった。
「発色をよくするために色によって筆とフェルトを変えるなど、アイデアを出し合い、さらにクオリティも追究。アイブロウにしても、眉ペンシル、マスカラ、チップが1本になっている商品はなかなかないのではないでしょうか。高品質高機能、これまでにない付加価値を。これを体現するために何度も試作を行いました」(N担当者)
コスメお試しサービス停止も追い風に? 発売初週売上140%を達成
さらに、インターネット社会である現代らしさも後押ししている。インフルエンサーやYouTuberが『sopo』に目をつけ、自発的に取り扱いを行ったのだ。話題になり、しかもその話題に負けないようなクオリティの商品を出すことができれば、ネットで自然発生的なムーブメントが起こり、若い客層を得ることができる。これにも、ファミマ・ノインともにうれしい悲鳴を上げている。
「化粧品を買うとき、まずは試してみたい、自分に合うかどうか確かめたいという願望が皆さんあると思います。でも今は、お店で試したくてもテスターとためらってしまうこともあるかと思います。そんなお客様に、いつもとは違った遊びアイテムとして気軽にソポのコスメを手に取っていただき、気分を上げたりおしゃれを楽しんだりしていただけたら嬉しいです」(N担当者)
いつ終わるともしれないコロナ禍。多くの人がビジネス面含め、日常や生活を変えざるを得ない苦しい状況のなかにいる。だがそこから見いだせる活路もある。ホンダの創業者、かの本田宗一郎は「人間がいろんな問題にぶつかってはたと困る、ということは素晴らしいチャンスなのである」と遺した。改めてこの言葉を噛み締めつつ、“今”を生き直してみたい。
(文=衣輪晋一)