ORICON NEWS
「無印もはやカレー専門店」45種展開に400万食売上… 無印良品はなぜレトルトカレーに注力するのか?
「1日7食カレー」インド視察による商品開発で、レトルトカレーブームの先駆けに
本場の味…ということで、開発のために現地まで赴き研究した。バターチキンカレーは、発売当初は日本のお米に合わせたクリーミーな味わいだった。だが2012年からインド視察を開始。高級レストランの味、屋台の味、家庭の味…。1日7食カレーに加え、無印良品の商品を持っていって現地のシェフの意見を聞いたりもした。
人気商品の『バターチキンカレー』は、1つ1つのスパイスを厳選してオリジナルで配合する工夫を加えたり、ほかにも味に深みを出すトマトを3種類に増やしたり、ギー(バターオイル) を使ったりと、現地観察で我々に足りなかった様々なものを見つけ、開発に活かしてきました」
去年10周年を記念して『復刻版バターチキンカレー』が発売されたが、現在の商品と比べると、同じバターチキンでも全く味が異なる。この10年、現地研究と改良を丹念に重ねてきたことがよくわかる。
看板商品は発売当初から売上7倍 要は「“本場主義”と“無印良品らしさ”のバランス」
半分サイズの商品は、南インドカレーのターリーでミニサイズのカレーを複数食べる習慣がアイデア元。また、辛さが苦手な人のために辛くないカレーを販売したほか、 健康上の理由などでカレーを食べづらい人のために糖質10グラム以下のものなども販売。じわじわと購買層を広げていった。
ここまでカレーに注力しているのはなぜなのだろうか。「カレーは日本の国民食とも言われています。ですが、日本でも家によって味が違うほか、国に目を向けるとまったく違うカレーも多数。スパイス料理を食べる国もかなりの数あるなど可能性に満ちているほか、主食として成り立つという側面も大きい。味噌汁もさまざまな種類がありますが、それだけで一食として完結するのは難しいけれど、カレーが 野菜や肉なども入っていて、それ一つで成り立つ料理という面は大きいですね」
“本場主義の味”という面でも疑問が浮かぶ。果たして、現地の味に近いものが本当に日本人に受け入れられるのか。「その点に関しては我々も考えているところです。メジャーでないカレーも世界には多くあります。日本人の舌に合わないかも…という不安があった商品が予定していたより売れたこともあり、驚いたことも。ただ、現地の味“そのもの”というわけではないんです。現地のオリジン要素を大切にしながらも、やはり素材の良さを最大限に活かすという無印良品らしさ、無印良品ならではの味に仕上がってなければならない。その考えと、現地の本格的なスパイスやハーブの配合は、どちらも素材を活かすことになり、結果的に本場の味に近いものに仕上がっている面もあります。」