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「無印もはやカレー専門店」45種展開に400万食売上… 無印良品はなぜレトルトカレーに注力するのか?

 家具や生活用品にとどまらず、衣料品や食品も一定の人気を維持する無印良品。特にカレーに関しては45種類ものラインナップを揃え、「無印もはやカレー専門店」と話題を呼んでいる。同店は20年以上前からレトルトカレーを販売しており、いまや人気商品 の売上は年間400万食に上る。さらに今年は、店舗の棚から各種カレーが消えるほどの人気爆発となった。スーパーなどに卸しているわけでもなく、無印良品に行かないと買えないという障壁を抱えながらも、カレー人気を伸ばした理由とは。また、かつては家具や文房具のイメージが強かった同社がカレーに注力する理由を聞いた。

「1日7食カレー」インド視察による商品開発で、レトルトカレーブームの先駆けに

 無印良品がレトルトカレーを発売したのは90年代。当初はごく一般的なカレーを販売していたが、2005年 に「化学調味料、合成着色料、香料不使用」を謳ったグリーンカレーが登場。その後、2009年に大人気商品となるバターチキンカレーを発売。現在は45種類の味が売り出されている。
  • 無印良品『素材を生かしたカレー グリーン』

    無印良品『素材を生かしたカレー グリーン』

「グリーンカレー開発のきっかけは、“おうちカレー”ではなく“本場カレー”を通して、世界の食文化を楽しんでいただこうという発想でした。当時から現在まで無添加のレトルト商品がそれほど多くない中で、本場の味を追求している点が弊社商品の特長だと思います」((株)良品計画 食品部・日向桃子さん/以下同)

 本場の味…ということで、開発のために現地まで赴き研究した。バターチキンカレーは、発売当初は日本のお米に合わせたクリーミーな味わいだった。だが2012年からインド視察を開始。高級レストランの味、屋台の味、家庭の味…。1日7食カレーに加え、無印良品の商品を持っていって現地のシェフの意見を聞いたりもした。
「現地では、体調がすぐれない時などにスパイスを薬のように配合しているという発見がありました。もちろん地域によって、気候によっても、その配合や辛さも違います。

 人気商品の『バターチキンカレー』は、1つ1つのスパイスを厳選してオリジナルで配合する工夫を加えたり、ほかにも味に深みを出すトマトを3種類に増やしたり、ギー(バターオイル) を使ったりと、現地観察で我々に足りなかった様々なものを見つけ、開発に活かしてきました」

 去年10周年を記念して『復刻版バターチキンカレー』が発売されたが、現在の商品と比べると、同じバターチキンでも全く味が異なる。この10年、現地研究と改良を丹念に重ねてきたことがよくわかる。

看板商品は発売当初から売上7倍 要は「“本場主義”と“無印良品らしさ”のバランス」

 先日、『辛さ別 無印良品のカレーラインナップ』という図表がSNSで話題になった。「無印、もはやカレー屋じゃん」「もっと早く教えてほしかった」などといった声が殺到。「我々も、気づけば“こんなにやってたっけ”という感じなんです。どこかで火がついちゃったんでしょうね(笑)」

 半分サイズの商品は、南インドカレーのターリーでミニサイズのカレーを複数食べる習慣がアイデア元。また、辛さが苦手な人のために辛くないカレーを販売したほか、 健康上の理由などでカレーを食べづらい人のために糖質10グラム以下のものなども販売。じわじわと購買層を広げていった。
「弊社のレトルトカレーにスポットが当たったなと感じたのは2016年頃。テレビでグリーンカレーを取り上げていただき、そこから多くのお客様から無印良品のレトルトカレーの認知が広がっていったように思います。バターチキンでいえば、売上的には販売当初の約7倍になり、今では年間400万食に上る看板商品となりました」

 ここまでカレーに注力しているのはなぜなのだろうか。「カレーは日本の国民食とも言われています。ですが、日本でも家によって味が違うほか、国に目を向けるとまったく違うカレーも多数。スパイス料理を食べる国もかなりの数あるなど可能性に満ちているほか、主食として成り立つという側面も大きい。味噌汁もさまざまな種類がありますが、それだけで一食として完結するのは難しいけれど、カレーが 野菜や肉なども入っていて、それ一つで成り立つ料理という面は大きいですね」

 “本場主義の味”という面でも疑問が浮かぶ。果たして、現地の味に近いものが本当に日本人に受け入れられるのか。「その点に関しては我々も考えているところです。メジャーでないカレーも世界には多くあります。日本人の舌に合わないかも…という不安があった商品が予定していたより売れたこともあり、驚いたことも。ただ、現地の味“そのもの”というわけではないんです。現地のオリジン要素を大切にしながらも、やはり素材の良さを最大限に活かすという無印良品らしさ、無印良品ならではの味に仕上がってなければならない。その考えと、現地の本格的なスパイスやハーブの配合は、どちらも素材を活かすことになり、結果的に本場の味に近いものに仕上がっている面もあります。」

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