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「疲れてしまった…」高齢夫婦の元から“出戻った”老猫、問われる飼い主の責任
精神的な疲弊は飼い主の怠慢なのか? 老猫を迎えた高齢夫婦からのSOS
しかし、鈴の面倒を見ていた夫婦は精神的に疲れてしまった。「ケージに入れるのは、かわいそうだから無理」「私も疲れてしまって」という相談から、しばらくしてついに発せられたのは、「引き取ってください」という言葉だった。高齢の夫婦にとって、猫の介助は想像以上の労力だったようだ。
「猫は高齢になると病気にかかりやすくなるため、頻繁に病院へ連れていかなければなりません。もちろん、費用もかかります。迎えたときは幼い、若い猫ちゃんであっても、やがて年をとっていくのは必然です。基本的に、猫は腎臓が弱く、高齢になると多飲多尿になっていないか?など、気を付けるべきことはたくさんあります。なにかあっても早期発見につながるように、動物病院で健康診断も受けさせてほしいです」
コロナ禍で譲渡希望は増えているが、「最後まで家族の一員として」の覚悟は?
「しっかりと現実を踏まえ、未来を見据え、最後まで家族として暮らせるよう、譲渡の際も厳しすぎると言われるほどの条件を設けています。例えば、『ねこけん』の規定では60歳より高齢の方には子猫を譲渡していません。猫と一緒に人間も高齢になっていくので、そういうことも考えてルールを設けさせていただいています」
鈴は再び『ねこけん』で保護され、生きていくことになった。腎臓が悪くなっているので、この先、点滴や投薬が増えていくかもしれない。それでも、可愛い『ねこけん』の家族として、メンバーが鈴の世話を続けていく。
猫を家族に迎えるということは、命を迎えるということだ。その子がどんな状態になっても、家族として変わらぬ愛情で世話をすることは当たり前だし、飼い主にはその責任がある。『ねこけん』で保護猫を受け入れるときは、「必ずみんなを幸せへと送り出す」と、猫たちと約束をしている。その幸せが続くことを、メンバーたちは願っている。
(文:今 泉)
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