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35周年「金曜ロードSHOW!」“テレビで観る映画”を守り続ける意味

番組オリジナルの吹き替えも醍醐味の一つ

「映画との偶然の出会い」「リアルタイムでの視聴者同士の共感」とともに、北條氏のいう「テレビで観る映画」の醍醐味の一つが、「吹き替え」。かつては、放送局が独自にオリジナルで吹き替えを制作しており、作品によっては数パターンの「吹き替え版」が存在。例えば、先日放送された『E.T.』の主人公の声は、現在人気声優として活躍する浪川大輔氏が担当。初々しい子役時代の貴重な声が放送された。

「(放送した『E.T.』は)子役時代の浪川さんの貴重なお仕事の1つですよね。他にも吹き替えバージョンはあるのですが、話題性も加味して映画会社にこちらの吹き替え素材を提供していただきました。ちなみに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、山寺宏一さんが主人公の吹き替えバージョンを放送しました」

 劇場やビデオ、DVDなどパッケージでも聞けないオリジナルのものを観ることができたのも「テレビで観る映画」ならではだった。

「ただ、オリジナルで吹き替えを制作しても、権利は局ではなく映画会社に帰属します。だから、例えばフジテレビさんが『ゴールデン洋画劇場』(71年〜01年)で制作した吹き替えも許可を得れば『金曜ロードSHOW!』で放送することも可能なんです。自分もこの番組を担当するまで知らなかったんですが(笑)」
 近年は制作費の関係でなかなか制作できないというが、その灯も絶やさないようにしていきたいと北條氏は言う。

「正直、予算の関係もあって近年はパッケージ版の吹き替えを放送することが増えています。直近で『金曜ロードSHOW!』オリジナルの吹き替えを制作したのは、主人公に寺田心さんをキャスティングした昨年12月放送の『ホームアローン3』でした。今後も1年に1作くらいは続けていきたいですね」

 「今はまだ具体的に話せない」というが、年明けにはオリジナル吹き替えの新作も予定している。

「また来年早々にはオリジナル吹き替えを新たに制作、放送したいと考えています。詳細はまだ言えないのですが、キャストも映画もけっこう話題になるのでは……と思っているので、ぜひ楽しみにしていてください」
 こうした取り組みが奏功し、「現在は少しずつ上向いている状況です」という『金曜ロードSHOW!』。35周年はあくまで通過点。今後も「テレビで観る映画」への逆風に負けず、さまざまな取り組みで、その伝統の灯を守り続けてほしい。

文/児玉澄子

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