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アイドルなのに“いいお父さん”、井ノ原快彦が築いた稀有な立ち位置

「きっとイノッチはいいお父さんなんだろうな」と想像させる

 先輩としても後輩としても、空気に馴染む存在としても、あえて壊す存在としても…40歳を越え、まだまだいい兄貴感もありながら、いい父親の雰囲気も醸し出す井ノ原。視聴者に違和感を抱かせず、求められるものに応じて、その位置をシフトさせてきた。

 例えば、視聴者が、木村拓哉が“父親”であることを想起する機会は、これまでなかなかなかっただろう(最近では父親役、そして家族の露出も増えたが)。だが、こと井ノ原快彦に関しては、父親であることが自然に受け止められる。もちろん、井ノ原も妻や子とのエピソードを積極的に語るわけではないものの、それでも視聴者が「きっとイノッチはいいお父さんなんだろうな」と想像できる余地を持たせている。ちなみに、現役ジャニーズタレントで結婚している人は多く存在するが、妻と並んで記者会見を行ったのは井ノ原快彦ただひとりである。

自分の感覚を大事に築いた、“現役アイドルであり、いいお父さん”という唯一無二の立ち位置

 かつて、憧れのロールモデルは?と聞かれ、「あえて言うなら“自分”です」と答えていた井ノ原。「誰かを目標にするのではなく、自分の培ってきた感覚を大事にしていきたい」と語っていた(*4)。“現役アイドルであり、いいお父さん”という唯一無二の立ち位置は、その意思の結晶なのだろう。

 いい人であれば、周りに染まってしまい、自分がなくなってしまいそうなもの。主張の強い人も多い芸能界の中に約30年もいれば、なおさら“ただのいい人”のまま埋まってしまった可能性もあっただろう。“いい人”“いいお父さん”というパブリックイメージを持たれ、それを崩さずにいながらも、大事な自分の感覚は決して他者に渡さず、貫き通してきた。井ノ原快彦は“強い、いい人”であり、だからこその現在なのである。

(文:霜田明寛)

(*1)朝日新聞 2017年1月24日
(*2)SPA! 2015年8月25日号
(*3)日経エンタテインメント 2015年10月号
(*4)MORE 2015年6月号

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