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“容姿いじり”への女芸人の思いとは? たんぽぽ・川村エミコが編み出した「ポップ自虐」
自虐だけでは笑いが成立しない今、編み出した「ポップ自虐」
川村エミコ いろいろな意見があるとは思いますが、私個人としては、全然イヤだと思っていないんです。小さい頃から、何かにつけ「ブスのくせに」っていうのがついてまわるものだと思っていたし、「私には本当のことを言っていいんだよ!」と感じながら生きてきたので。だから、それが笑いになるなんてなんて素敵なんだろうというのが、正直なところなんです。
――なるほど。
川村エミコ ただ、こちらがそう思っていても、あまりいい気持ちがしない人がいるのは確かだと思います。私も以前は、自虐だけで笑いが成立していたんですが、今は「私、自分のことをちゃんと肯定しているんですよ」というところまで伝えないと、受け入れてもらえない。私はこれを“ポップ自虐”と呼んでいます。
――自虐にポップさを加味すると。
川村エミコ はい。「自分の容姿を笑いにできて楽しい」って言えるのは、私が芸人という立場だから。容姿をいじられることで傷ついたり、苦しいと感じたりする人もいますから、受け取り方は誰ひとりとして同じではないんです。とくに、子どもの頃なんかは、言い返すこともできなかったりしますよね。そこは同列に考えないほうがいいとは思います。
――女性同士の関係性の難しさや、恋愛についての格言など、川村さんなりの考えも記されています。
川村エミコ 「なんで結婚しないの?」に代表される、女性同士でよくある「なんで?」攻撃ですね(笑)。共感してくださる方がいれば、うれしいです。恋愛の格言も、たった3人しか付き合ったことがないのに、書いちゃった(笑)。自分は頑張らなきゃいけないっていう立場ですから、カワイ子ちゃん向けの参考書は、当てはまらないわけです。だから自分で考えて、実践して見つけていくしかない!という姿勢でやってきました。まだパートナーは見つかっていないので、絶賛アップデート中です(笑)。この本に書いたのは今の時点での答えなので、明日は明日でガラッと変わるかもしれないです。
――こうして1冊の本にまとめたことで、どのような心境の変化がありましたか?
川村エミコ 自分の中から出して文字にしたことで、記憶がさらに濃くなりました。一度“心のクラウド”に上げたことで、いつまでも胸の中に留めておかなくても大丈夫な気がして。自分の中の容量が空いたおかげで、新しいことが入る隙間ができて、すごくスッキリしました。完成までには大変なこともありましたが、いろんな思い出を掘り起こし、自分と向き合えてよかったです。
(文:根岸聖子)
川村エミコ 著
集英社 刊
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