(更新:)
ORICON NEWS
コロナ禍就活の実情を吐露 ユーモアセンス光る『就活川柳』に込められた苦悩と感謝
「選考では作者の思いに寄り添うことを意識」自虐の裏にある学生の実情も解説
『ウエブ面接 止まる回線 止まらぬ汗』(大阪府 はらDさん)
「選考にあたっては、作者がどのような思いでその作品を詠んだのか、作者の思いや立場にできる限り寄り添うことを強く意識しています。たとえ自虐的な作品であっても、その裏にどのような実情があるのか、また、違う視点で見ると意外なメリットもあることをコメントすることで、作者が少しでも救われる気持ちになれると思いますから」(久木田氏)
『散歩ゆく 自宅面接 母の愛』(東京都 ひらこすさん)
『WEB面接 ハキハキ笑顔で 下ジャージ』(東京都 TKさん)
『部屋がない WEB面接は トイレから』(東京都 ながくぅさん)
1つ目の川柳は「WEB面接を受ける私に気を遣い、『あまり聞かれたくないでしょ?』と、そっと散歩に行ってくれる母に感謝です。」と作者。子どもの面接が何時からあるのかを把握し、面接が始まる前に席を外してくれる母親に思わず感謝する息子の心情を見事に表現した作品である。
次はオンライン面接で見えている部分と見えていない部分のギャップを詠んだ作品。この状況は就活生だけでなく面接官も同じはず。オンライン面接のメリットの1つと寛容に受け止めてもいいのかもしれない。最後の句は、自分だけの部屋がなかなか無く、家中で面接を受けられる空間を探し回った結果、誰にも邪魔される心配のないトイレに行き着いたというユーモラスながら切実な裏側が伝わってくる。
「就活生の作品には、自宅でのWEB面接の方法を模索しながら、家族の協力に感謝する様子や、企業の事情や社会動向に翻弄されながらも懸命に就職活動に臨む前向きな気持ちがうかがえるものが多数ありました」
一方の採用担当者部門では、「面接時に、ささやき女将のように近くで指示している親御さんがチラッと映ってしまっていた」経験から読まれた川柳が最優秀賞に。
「オンライン 親が近くで カンペ出し」(東京都 アイスの実さん)
このように、WEB面接での実際にあったエピソードを詠んだ作品が多い中、入選作には、SNSに不慣れな採用担当者が悪戦苦闘している様子を表現した作品も。
「つぶやいて(Twitter)撮って(Instagram)踊って(TikTok)いいねして(SNS全般)どれだけやったら 学生来るのか」(神奈川県 川崎の大仏さん)
「WEBセミナー 画面の向こうは カメラ無し まるで気分は YouTuber」(愛知県 守りの会社の攻めの人事担当さん)
「採用で 保ち続けた ディスタンス 内定しても 距離は埋まらず」(愛知県 守りの会社の攻めの人事担当さん)
「不慣れなオンラインツールを活用しながら、なんとか採用活動を進めようとする採用担当者の必死な思いや、最後まで対面することなく内定を出すことへの不安感なども、多くの作品から垣間見ることができました」