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『としまえん』設立当初は“娯楽”ではなく“心身鍛錬の場”だった コロナ禍での閉園に語り部「歯がゆいが、最後まで笑顔で」
世界最古級の回転木馬は閉園後どこへ?
ヨーロッパ各地を巡業後、ニューヨークの遊園地を経てとしまえんにやってきたのは1969年のこと。遊園地の閉園とともに廃棄処分されかけていたところを、『としまえん』が約1億円で購入。約2年をかけて修復され、1971年から稼働している。
ところが1983年、思いもよらぬ手紙がニューヨークの遊園地から舞い込んだ。
「当地の遊園地をリニューアルする。ついては今あるメリーゴーランドとエルドラドを交換してくれないか、と言うんです。『ニューヨークの子どもたちが寂しがっている』と。こちらとしては廃棄寸前まで行ったものを『そんな勝手な…』という話ですし、『東京の子どもたちが寂しがってしまいますので』と丁重にお断りさせていただいたんです」
「私は社内結婚でして、入社5年目の1986年にエルドラドの前で結婚式を挙げたんですよ。メンテナンスの仲間たちが、エルドラドの横に停めた私のクルマに空き缶だのモールだのをくっつけてくれたりと、いろいろ協力してくれましてね」
ちなみにこれまでエルドラド前で結婚式を挙げたのはこれまでに3組で、内田氏はその第1号。特に挙式プランがあったわけではないので、「役得だったかもしれませんね」と照れる。
メンテナンスを知り尽くした内田氏も「この子たちは実に優等生」と言うほど、ほぼトラブルなしだったというエルドラド。『としまえん』の閉園後はどうなってしまうのだろう。
「ひとまずは113年間お疲れさまということで、倉庫でメンテナンスをします。その後のことは、まだ決めあぐねているところです。博物館に置いたらどうかという話もありましたが、回転木馬は子どもたちに乗ってもらってこそ輝くもの。いつかまたどこかでみなさんに楽しんでいただけるよう、しっかりとメンテナンスをしたいと思っています」