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『MIU404』ヒットを下支えする麻生久美子 主演を引き立たせる女優歴25年の凄み

順風満帆ではなかった25年の歳月 「自然、温和、柔和」1人の女性としての成長

 麻生の人気の理由のひとつに、にじみ出る色香への支持は高いものの、そのサバサバした飾らない性格などから、“異性ウケ”に終わらない同性にも好かれる“生きざま”がある。過去のインタビューでは、仕事と私生活について「私は仕事をしていた方が、プライベートが充実するタイプ。仕事の充実感は生活の充実にも大きく影響しています。だから、どちらも切り離せないというか、両方とも大切にしています」(eltha/2015年1月)と語っている。

 また、順風満帆な人生を歩んできたわけではない麻生は、複雑な家庭事情があるなかで芸能界を志して厳しい競争の世界に飛び込み、芸能活動をしながら成人。現在では1人の女性として家庭を持っている側面もある。しかし、自身の苦労は意に介さず「もちろん大変な時はありました。でも、今はそんな(どん底の)経験も笑い飛ばせるところまできています。つらい時や大変な時ほど無理やり笑うようにしています」(同上)とする。そんな人生観と芸能活動を通して見せる素顔や生き方が、現代を生きるさまざまな立場の女性たちの共感を広く得ているのかもしれない。

 節目の年を迎え、研鑽を重ねた女優歴25年の貫禄と余裕をにじませる麻生には、「自然、温和、柔和」という言葉がよく当てはまる。『MIU404』では、主演2人を引き立てつつ、“紅一点”という色香をにじませながら、「少し年上」らしさを出した発言と一歩引いた演技で、出すぎず埋もれもしない。自身の立ち位置や与えられた役割を冷静に理解したうえで絶妙の距離感を保つことで、ヒットを下支えしているのだ。

 主演を務めた『怪奇恋愛作戦』(テレビ東京系/2015年)の制作発表では、「深夜ドラマですが、私は視聴率が欲しい」と内に秘める熱き心も垣間見せていたが、『MIU404』においてもベースは同じだろう。スタッフとともに意欲的にその世界観を形づくっている1人であり、ドラマに不可欠な存在となっていることは間違いない。物語はクライマックスに向かっているが、その人気を下支えし、一歩引いて物語をけん引する麻生からこの先も目が離せない。
(文/武井保之)

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