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“喫煙所難民”はどこへ行く?「嫌われているからこそ」社会課題を解決する新たな挑戦
喫煙所設置に前向きな千代田区と港区から開始、コロナ感染防止にも配慮
「30〜50代の男性の約35%が喫煙者というデータがあり、その年齢層が多く通行するエリアを選びました。さらに言えば、神田がある千代田区、赤坂がある港区は、喫煙規制が厳しい分、実は喫煙所の設置に対して前向き。助成金の補助もあり、このエリアからのスタートになりました」
とはいえ、コロナ感染拡大が問題になっている今、喫煙者が殺到し「クラスターが起こるのではないか」といった懸念も囁かれている。その点に問題はないのだろうか。
「『THE TOBACCO』の特徴として、“有人”であることが挙げられます。スタッフが常駐しているので、確実な人数規制をかけることができる。また、給排気、空気清浄についても他の喫煙所とは異なる非常に高機能なマシンを設置しており、一時間に約40〜50回、全容積の空気が入れ替わるオペレーションに。入り口の扉も、可能な限り外部に煙や空気が漏れないよう設計してあります」
喫煙所ができることで人の流れが変わる、地域の活性化にも期待
「例えば、ビルの一階に喫煙所があると、その上の階にあるテナントの来客数が増えたという話があります。また商店街でも、人通りが少ない奥まった場所に喫煙所ができると、そこまで喫煙者が歩いていくため、周辺の店への来店きっかけが生まれる。喫煙所により人の流れが変わり、ビルや街の活性化の一助になる可能性があります。」
また、『THE TOBACCO』自体は無料で開放されているが、収益化の見込みもある。集まってくるのが30〜50代の喫煙者男性とターゲットが絞られているだけに、動画広告の出稿、なんらかのサンプリングにも利用しやすいと思われる。
他にも、ビルやオフィス、飲食店への喫煙所の設置も想定している。喫煙所のオペレーションにはもちろん資金が必要だが、集客やマネタイズが予想されるということもあって、実際に設置を求める声は少なくない。
「今、営業時間外の居酒屋を居抜きで借り、そこを我々の技術を駆使した喫煙所として使用するというプロジェクトもあります。居酒屋さんからは『収入に繋がるならランチ営業よりも良い』という声も聞かれますね。我々としても、一から喫煙所を作ったら膨大にかかる資金が節約できるため、まさにwin-winの関係だと思います」
喫煙者と非喫煙者、両者の共存に必要なことは?
「要は、“住み分け”ができるかどうかだと思います。煙草が嫌いな人の中には、ポイ捨てなどのマナーの悪さを挙げる方も多いですが、喫煙所があればポイ捨ても減る。喫煙者に染み付いた匂いが苦手という人もいますが、『THE TOBACCO』の空気清浄のオペレーションがあれば、それも最小限にできる。非喫煙者にも優しい、デメリット改善の一助になると思うのです」
今後目指していくのは、店舗数の増加だ。「まずは山手線など主要駅の駅前に設置していきたい」と山下氏。今後は、同様に民営の喫煙所がどんどん増えていくとみている。喫煙者の喫煙場所の確保やマナー改善、非喫煙者に迷惑をかけない住み分けのためにも、これらの動きが成功し、双方が理解し合える世の中になることを願う。
(文:衣輪晋一)
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