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マスクの習慣化で”耐久”アイライナー好調、ヒロインメイク担当者語る「史上最強をうたうのは並々ならぬ努力」
「こんなおもちゃ置けない!」と言われても…お客様が機能面で支持してくれた
――ヒロインメイクは、どのような流れでできたものなのですか?
「新商品の発売に向けて、企画会議が行われます。当時、耐久力のある新商品を開発するために社内でアイデアを募っていて、提出日の前日になってもアイデアが浮かばなかった当時のプランナーから降って湧いたように出てきたのが、“ヒロインメイク”のコンセプトでした」
――あのキャラクター、とてもキャッチ―ですよね。
「発売年の2005年当時は、昔の少女漫画がとても流行していた時代でもありました。『エースをねらえ!』(テレビ朝日、2004年)とか、『アタックNo.1』(テレビ朝日、2005年)とか、ドラマ化もされていて。少女漫画のヒロインは、どんな過酷なシーンでも美しさを保っていますよね。泣いてるシーンでも美しいのは、アイメイクが落ちていないから。ヒロインはいかなる時も、完璧に美しくなくては…と、ブランドのコンセプトにつながっていったと聞いています」
――提案をしたとき、社内の反応はどうだったんですか?
「かなり思い切ったコンセプトだったので、上層部からも賛否両論ありました。でも、弊社は遊び心を大切にする社風があるので、『そういうコンセプトなら、やってみたら?』と後押しをいただいて、チャレンジしました」
――確かに老舗というと、伝統や格式を大切にするイメージが。伊勢半さんは江戸時代から続く歴史のある化粧品会社。ヒロインメイクはそのイメージとはかけ離れたところにいますよね。
「今年でちょうど創業195年になります。江戸時代から続く『小町紅』を当時と変わらない製法で作り続けているので、よく社外の方からは『小町紅』とヒロインメイクがなかなか結び付かないと言われるんですよ。でも我々にとってみたら、それは自然な流れで。伝統がありながらも、“業界初”といわれる先駆的な取り組みを仕掛けてきた事例は過去にもありましたから」
「昭和30年に発売した、『キスミ― スーパー口紅』という商品があるんですが、キャッチコピーは“キッスしても落ちない”でした。発売当時は“キッス”という言葉を広告に使うこと自体、センセーショナルなこと。各所で論争を巻き起こすほどの反響でしたが、その“攻めた取り組み”が女性たちの心をつかんだ。そのモノづくりに対する先駆的な考え方は、現代になってもずっと引き継がれている精神だと思います」
「聞いた話ですが、当時の市場にはない斬新な商品だったので、営業さんが商談にいったとき『こんなおもちゃ、うちには置けない!』と導入を断られることも多々あったようです。でも化粧品の口コミサイトで人気になり、発売年にベストコスメ大賞のマスカラ部門第一位をとることができた。お客様にもインパクトを与えることができたし、何より中身が誠実だった。機能面でお客様が支持してくれたことが大きなポイントになっていると思います」