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極限まで高めた可動域…記念モデル“G40”制作モデラーが証言「こいつはガンダムモデラーへの挑戦状」

作り手の爪痕を残そうとするとバランスが破綻…難しかったG40

――G40を制作する際、どのようなことをイメージされて制作に臨まれましたか?
ユウパ工業デザイナーが一枚噛んでいる(世界的工業デザイナー奥山清行氏と、演出家・映画監督松尾衡氏がプロジェクトに参加。実際に工業製品をデザインする工程で制作された)このキットそのものが、ガンプラはキャラクターモデルなのか?はたまたスケールモデルなのか?問いかけてくるようなコンセプトなので、その解を見つけるつもりで制作に取り掛かりました。

――実際制作してみていかがでしたか?
ユウパこいつはガンダムモデラーへの挑戦状です。デザイナーの縛りが強く、少しでも自分好みに変えようものなら、たちまち拒絶され、全体のバランスが破綻する非常にやりにくいキットでした。やはりホンモノをデザインされている方は違うなと、感心する一方、物語を語る上で演出もまた大事だなぁと…。
 単純に作るだけならカンタンです。でも作り手が爪痕を残そうと思うと、極端に難しくなる。逆らわないよう、踏み外さないように仕上げました。G40の実力の片鱗、少しでも引き出せていたなら幸いです。
――難しいキットのなかで、ご自身らしさはどのあたりに残しましたか?
ユウパ口元のほうれい線を本来のガンダムの位置に戻した程度です。ビームライフルを構えたカットでは、顔の雰囲気が変わったこともひと目でわかりますし、何やらガンダムからエネルギーが放たれていて、見る人が笑顔になる。これなら、ガンダムの40周年を明るく祝うことができるのではと考え、SNS投稿時のメインビジュアルにしました。
 あと、折り畳まれたビームサーベルを出しっぱなしにしています。ホント改修と呼べるものではありませんが、少々うす味になったガンダムのキャラクター性を取り返すのに成功していると思いませんか(笑)。

――人体の骨格を意識しただけあり、腕の関節と脚部の可動、腹部のねじりと伸ばしなどが自由にでき、ポーズも取りやすいように思えます。
ユウパキットには、コンセプトをまとめた冊子が付いているのですが、「アニメ(二次元)の動きを立体で完全トレースしてやるぞ!」と、やる気まんまんって感じの内容でした。これに違わずガシガシ動くのは当然として、身体をひねった動きもこなすので、自然なポーズがバッチリ決まります。

――制作後の反響はいかがですか?
ユウパ販売数が限られていて、手にした人もまだ攻めあぐねているさなかに、いち早く完成させたことで注目度は高かったと思います。たくさんのお褒めのお言葉をいただきました。
――本作も含め、ガンプラ制作において信念にしていることは?
ユウパ「やりすぎないこと」「わかりやすいこと」です。基本ストレート組みで、ディティールアップは控えめ。色数もできるだけ抑えるようにしています。難しいことはできないのが大きな理由なのですが(笑)、そこそこいい感じには仕上がるので、この調子でコレクション増やしていくつもりです。

 また、信念ではありませんが、塗料は調色して使うようにしています。ビン出しのまま使うと、ちょっとイメージと違うのを我慢して使うことになるし、誰かと被ります。例えばガンダムカラーでも、ホワイトを少々加えるだけで、いささか趣きが異なるオリジナルカラーになりますし、隣り合うカラーとの親和性も良くなり、落ち着いた仕上がりが期待できます。調色は失敗するとどんどん色がくすんで、わけがわからなくなるのですが、これを捨てずに関節などに使うと…またいい感じに仕上がるのでおすすめですよ(笑)。
――ガンプラは40周年を迎えたわけですが、ユウバさんにとって「ガンプラ」とは?
ユウパ私にとってガンプラは、コミュニケーションツールです。今、ツイッターを中心にSNSを利用しているのですが、もしガンプラが無かったら…。ただのオヤジでしかない私のぼやきや日常に、誰が共感してくれると言うのでしょう。ガンプラがあれば、“暑苦しいおっさん”という固有のキャラクターが中和され、ラッキーなら「いいね」がもらえたりします。小学生モデラーから「フォローしてあげたよ。」と、友達と同等(以下?)に扱われたりもします。海外のフォロワーさんがとても多いことも、日本語しか話せない私の人生ではあり得ない経験です。これもガンプラが結びつけてくれました。私はガンプラでコミュニケーションができる、リアルビルドダイバーです。

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