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“砂漠の天使”スナネコの赤ちゃん、誕生後に懸命措置も…飼育員が明かす「使命感」

 4月にコロナ禍で休園中だった那須どうぶつ王国で誕生した、“砂漠の天使”スナネコの赤ちゃん。今月18日に公募からその名が選ばれ、アラビア語で“お姫さま”を意味する「アミーラ」と名付けられた。世界最小級の野生猫であるスナネコは国内での飼育例が極めて少なく、赤ちゃんの繁殖・展示は国内初となったが、出産直後は生死が危ぶまれる状態だったという。前例のない挑戦をどのように乗り越えたのか、同園の菅野泰介さんに聞いた。

国内初の繁殖成功の舞台裏「この子を絶対に生かさなければならないという責任感」

――国内初の繁殖成功となりましたが、誕生の瞬間はどのような思いでしたか。

去年、同じく国内の飼育例が少ないマヌルネコの人工保育を実施したため、その経験を活かして、細菌やウイルスとの接触に十分に留意し、万全な体制で臨みました。しかし、今回のスナネコの赤ちゃんは3頭誕生しましたが、2頭は出産後すぐに死亡してしまいました。最後の1頭がアミーラですが、出産後は低体温と脱水症状を起こしている状態でした。お母さんも初産でしたので、子どもにどのように接したらよいかわからない状況で、上手に温めることができなかったのです。そのため、すぐに人工哺育に切り替え、とにかくまずは体温を上げることに必死でした。誕生して嬉しいという気持ちよりも、この子を絶対に生かさなければならないというプレッシャーや責任感の方が強かったです。

――自分の手に命が懸かっている状況は相当なプレッシャーだったかと思います。

親から取り上げる際に手に持って移動をするのですが、その持った感触が冷たく、かなり衰弱した状態で、本当に不安と恐怖でいっぱいでした。ミルクを人の手から飲んでくれるかという心配もありましたが、1分1秒が勝負だったので、飼育員それぞれが寝る間も惜しんで哺乳、排せつ、マッサージなど懸命に世話を行い、なんとか一命をとりとめました。生後約2週間で目が開き、目が合った瞬間は何にも代え難い感動がありました。
――誕生から無事に3カ月が経ち、顔立ちも一気に大人っぽくなってきたようですが、その後の様子はいかがですか。

体長は約25センチまで成長して、元気いっぱいです。目が開いてからは動き回ることも多くなり好奇心旺盛でお転婆、遊び好きな性格が見えてきました。力も強くなり、手袋を何枚破かれたか(笑)。展示当初には乗ることができなかった、50センチくらいの高さの丸太の上にもひょいっと飛び乗ることができるようになりました。

――先月から一般公開も始まりましたが、反響はいかがですか。

国内の動物園で初めてのスナネコの赤ちゃんということで、公開当初からたくさんのお客様にお越しいただきました。十分に安全に配慮しながら、ガラス面の前に4〜5名ずつのお客様をお通ししてご覧いただくのですが、その都度黄色い悲鳴が上がります。SNSでも非常にヤンチャな様子が人気ですね。

――ネコ科において、スナネコはどのような特徴がある動物だと感じますか。

身体的には、大きな耳と足の裏にも肉球を覆うように生えている毛が特徴ですが、食事や遊びの様子を見ていると、狩りをして生活している猫であることがわかります。
――赤ちゃんはどのように1日を過ごしていますか。

食べ物は、鶏肉・馬肉・マウスのミンチを食べます。飼育員がロープで作ったおもちゃで狩りの練習をしたりして、お昼寝もしっかりします。

――どのようなスナネコに育ってほしいですか。

とにかくこのまま元気に育ってほしいですね。アミーラの両親は、常に一緒に展示場にいられる仲良しで、いつも寄り添って寝ています。アミーラは一人っ子なので、今後お嫁に行ったり、お婿さんを迎えたりという機会があるかと思いますが、両親のように仲良しになってくれることを祈ります。少々ヤンチャすぎるので、そこが心配ですが…(笑)。

――スナネコの赤ちゃんの国内初の展示を通して、どのようなことを伝えたいですか。

スナネコの保全状況としては低懸念と今すぐに絶滅が危惧されているわけではありませんが、砂漠という厳しい環境で生息しているスナネコが、どのような生活をして子孫を残しているのかを知っていただければと思います。また、地域によっては絶滅が確認されている場所もありますので、人気の高まりとともに、人間生活や行動により絶滅へ向かってしまう可能性があるということをお伝えできればと思います。また、スナネコが広く日本の動物園で見ることができるよう、繁殖に貢献してくれるように祈っております。

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