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任侠漫画家が描いた『鬼滅の刃』ヒロインに反響 「物語やキャラの魅力はアプローチ次第」ものづくりへの執念

Twitterの反応を漫画に生かす試み

――さまざまな内容を頻繁にTwitterに投稿されています。
渡辺さんTwitterは、当然 作品の宣伝や告知として使っていますが、最近は“実験”などをして反応を分析しています。いわゆるABテストです。過去に投稿したものを、コメントだけ変えて再投稿。すると、反応が大きく違うんです。フォロワー数や投稿時間など比較できない面もありますが、これは漫画にも活かせるはずです。

――ユーザーの反応を作品づくりの参考にしているのですね。
渡辺さんはい。同じ物語やキャラでも、アプローチが違えば面白さや伝わり方が違うという事ですからね! いつか、ボツネームやボツ企画が生き返るかもしれません。(笑) Twitterは、今後も楽しみながらマイペースで続けていけたら、と思ってます。

完全リモートにしたら仕事が1.5倍に 「ニュアンスが伝わらない」苦悩

――ところで、新型コロナの影響は漫画業界にも影響が及んでいると思いますが、いかがですか。
渡辺さん僕の仕事の仕方は、スタッフが全員何日間も泊まり込むという、時代に逆行する「ザ・昭和の漫画家」スタイルでした(笑) いつかは変えなければ…とは思っていたのですが、まさかこんな理由で、とは夢にも思いませんでした。

――つまり、大きく働き方を変えた?
渡辺さんそうなんです。僕はいまだにアナログで執筆しているのですが、スタッフの仕事は前作の『デガウザー』からデジタルになっていましたので、思い切って完全テレワークに切り替えたんです。結論から言うと、なんとか形にはなっていますが…僕の仕事は1.5倍に増えてしまいました。

――テレワークで仕事が増えてしまったのですね。
渡辺さん枠線引き・消しゴムかけ・資料や原稿の取り込み作業など、スタッフに任せていた仕事を僕がやらねばなりません。そして一番厄介なのが、ニュアンスが伝えづらくなったコト。とにかく電話ばっかりしています(笑)コロナに感謝はしませんが、新時代の描き方を学ぶチャンスだと思うようにしています。いつかはフルデジタルも…!?

――今後は「ウィズ・コロナ」での生活スタイルが求められます。危惧している点は?
渡辺さんリモートでの仕事は、上手くやれば時間短縮ができたり、遠方の方にもアシスタントを頼めたりと、プラス面がたくさんあります。ただ、新スタッフを迎える場合には、機材が揃っている即戦力が条件になってしまいそうです。つまり危惧しているのは、新人さんの現場経験が減るという事です。作家と編集の打ち合わせ、作業の流れ、こだわり方、割り切り方…、時間があればネームを見てくれる先生もいるでしょう。雑談にもヒントはたくさんあります。僕なんか編集者対策までアドバイスしちゃいます(笑) 現場での経験から、考え方や描き方が変わって人気作家になった先生方を何人も知っていますからね。

――そこまで細かなアドバイスは、“密な”コミュニケーションが必要ですね。
渡辺さんしかし今は専門学校やネット、SNSなど、学ぶ場は増えたとも言えます。若くて上手い漫画家が、本当に増えましたから。個人の才能の世界ですから…振り落とされぬよう、まずは自分が頑張らないといけませんね。ヤクザ漫画を描きながら萌えを探索して、将来安泰を目論みます(笑)

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