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SNSでバズる“お菓子の缶”が人気、老舗缶会社の挑戦「街の洋菓子屋の活性化にも…」
既製品を小ロットで…「需要はあるのに供給できない悔しさ」から誕生
清水氏 そうですね。2018年には『マツコの知らない世界』(TBS系)で「お菓子箱の世界」というテーマが放送されたのですが、弊社のことも取り上げていただきました。そこで、多くの人に知ってもらう“きっかけ”ができたように感じています。今でも「番組観てました!」とか言ってもらえるので、番組の影響力ってすごいなと思います。
――お菓子の缶と言えば大手お菓子メーカーのオリジナル缶のイメージが強いように思いますが、街の洋菓子屋さんでも取り入れやすいように、豊富なラインナップの既製品を小ロットで販売するというアイデアはどのように生まれまたのでしょうか?
清水氏 昔、僕が街の洋菓子店さんに飛び込み営業に行っていた時期があったのですが、その頃に「缶は使ってみたいけど製作費や抱える在庫が多くて使えない。」と言われました。需要はあるのに供給できない悔しさと、伺ったお店のオーナーさんが良い人だったので「その人に喜んでもらえる仕事がしたい!」っていう想いで、自分たちが開発と在庫リスクを負担して缶をつくったことから始まったんです。喜んでくれるお店が少しずつ増えていくと共に、ラインナップも増えていきました。
――最近は新型コロナウイルスの影響で、お取り寄せ文化がより身近となってきました。「お菓子のミカタ」では、Twitterで「全国各地のお菓子屋さんのネットショップ紹介」などもされているんですよね。反響はいかがですか?
清水氏 お菓子屋さんから「缶入りのお菓子がすごく売れています!」とか「ネットショップの商品が完売しました!」という喜びの声を頂きますし、お菓子を購入してもらった一般のお客さまからも「缶が可愛くて買ってみたけどお菓子もメチャクチャ美味しい!」といった声もTwitterを通じて聞こえてきて、お菓子のミカタに関わってくれた人みんなが喜んでくれていることが実感できて嬉しいです。
SNSなどWEBも有効活用、6年間で1,500軒以上の取引実績に
清水氏 1948年に僕の祖父が創業した会社で、神戸の洋菓子メーカーさま向けにお菓子の缶を作り続けてきたお菓子缶専門メーカーです。創業間もない頃からずっと、何かしらのお菓子の缶をつくり続けてきました。
――創業から70年以上の老舗企業となると、社内には幅広い年代の方がいらっしゃるかと思いますが、「お菓子のミカタ」のような新しい事業について社内での反応はどうでしたか?
清水氏 最初は「社長の息子が変なことはじめた」って思われてたと思いますよ。開発費かけて、在庫も抱えて、売れなかったらどうするんだろうとか思われてたと思うんですが…ただ、僕としてはこの先30年くらい仕事していく時間があるので、その時間の中でなんとかしようと思ってやってました(笑)。
――そんな「お菓子のミカタ」が2014年にスタートしてから約6年。事業としてどのように成長していきましたか?
清水氏 最初はたった一人の洋菓子店オーナーさんの役に立ちたいと思って始めた仕事でしたが、一人二人と僕たちの缶を必要としてくれるお客様が増えていくにつれ、僕たちももっと役に立ちたいと、毎年年間5通の販促情報を紹介するニュースレターを作ったり、SNSで発信したり、と活動を続けてきました。その結果、自然とお客さまも増えていき、その流れのなかで、事業としても成長していったように思います。初年度は数十件の取引先でしたが、6年間、SNSでの発信と、お客さまたちとのコミュニケーションを地道に取り続け、今では1,500軒以上のお客さまと取引させて頂いております。
――公式サイトやブログ、SNSなど積極的にWEBを活用されていますが、何かきっかけがあったのでしょうか?
清水氏 2008年のリーマンショックによって会社の業績が大きく落ちた時があったんです。その時期に何かしなきゃ、と会社のホームページを作り変えてオリジナル缶のお問い合わせを増やす取り組みを始めました。その流れの中で情報発信の大切さを知り、自分たちの仕事の価値は自分で発信しないといけないと思い、ブログやFacebook、TwitterやInstagram、YouTubeなどで発信し続けています。
楽しさや美しさ、怖さといった“人の心を動かすモノゴト”を缶の上で表現
清水氏 デザインは「お菓子のミカタ」スタート時からお世話になっているデザイン事務所さんと打ち合わせをしながら決めています。僕の中に「こんな缶を作りたい!」っていうテーマがあればそれを形にしていますし、特に明確なテーマがなければ打ち合わせの中で話が盛り上がったものを缶にしていく感じです。
――ひと目でこだわりが伝わってきます。
清水氏 楽しさや美しさ、怖さといった“人の心を動かすモノゴト”を缶の上で表現することを大事にしています。また、一般の人が見ても気付かないような“現状の技術の限界”に挑戦するようなモノづくりも毎回意識していますね。特に素材の限界まで施す、エンボス加工のシャープさと深さ(高さ)は僕らの仕事の特長だと考えています。
――確かに、今まで見たことのない繊細なエンボス加工やプリントなどには誰もが技術力を感じる部分だと思います。
清水氏 創業からの72年間に蓄えたノウハウや技術力を全て詰め込んだ缶づくりを目指しています。 缶メーカーがつくる缶なので、良い意味で経費のことを考えずに、素晴らしいモノをつくることだけに集中してるのですが、僕やデザイン部門のスタッフが「エンボスのシャープさが足りないのでやり直し!」とかいうと、製造部門の人たちはよく困ってますね。(笑)
――(笑)。ずばり、お菓子の缶の魅力はどのようなところでしょうか?
清水氏 「缶が可愛くて買ってしまって、中のお菓子を食べたら美味しくてお店のファンになりました!」っていうのがお菓子の缶の役割と魅力だと思っています。可愛い缶を手にとってワクワクしながらお菓子を食べてもらえたら嬉しいですし、そういう意味ではお菓子を食べる時間をより思い出深いものにするのがお菓子の缶だと思います。
――これからの「お菓子のミカタ」について教えてください。
清水氏 お菓子屋さんに缶を使ってもらって、お菓子屋さんの仕事やそこで働く人たちの苦労や悩みを知れば知るほど、僕たちにお手伝いできることってまだまだたくさんあるように思うんです。缶を売るだけじゃなくて、お菓子屋さんの手助けになるような仕事をもっともっとしていきたいですね。「お菓子のミカタ」という名は「お菓子屋さんの心強い味方になりたい!」っていう想いを込めてつけたので、自分たちのブランドの名前に沿った役割をはたしていこうと思います。
どうしよう…。本当に尊いお菓子の缶ができてしまった…。。。
? 清水しみを お菓子のミカタのフツー社長 (@shimizuman15) June 29, 2020
またどこかでこの子と出会ったら、可愛がってやってください。
娘を嫁に出す気持ちです。
娘いないけど。
しみを pic.twitter.com/H4I2B04SN0