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かまいたち・濱家、アンジャ児嶋に続く「いじられキャラ」確立 コンビで“無双状態”に
いじりを笑いに昇華「かまいたち・濱家」の底力
この“普通っぽさ”で視聴者の共感を集めながらも、それを笑いに昇華する巧みなテクニックには、ネクスト・児嶋的な存在感と勢いがあり、それ以上のものすら感じさせることも。ふてくされ顔のクールなくさり芸的な立ち位置ながら、予定調和以上の笑いを起こすポテンシャルがあり、スタッフからも厚い信頼を得ているのだ。
たとえば6月11日放送の『VS嵐』出演時は、自身のゲストとしての弱さをネタにする制作陣の期待通りの自虐笑いを成立。ゲーム企画では、勝負への熱さがほとばしる、なりふり構わぬ滑稽な姿を披露しつつも、いつもの冷静沈着なキャラとのギャップによる笑いも生み出し、ここぞというときの爆発力を秘密兵器として持っていることが伺えた。
また、6月16日放送の『あちこちオードリー』に、「今一番各所で結果を出さなきゃいけないコンビ」というテーマで出演した際は、普通っぽさゆえに他の個性派芸人と比べられるのが嫌で「(芸能人が集まる)飲み会の場に行きたくない」とホンネを語り、若林正恭から共感を得ていた。そんな濱家の人間性や笑いのスタンスへの支持率の高さは、「いい波に乗ってるねー」「濱家がいまキテる!」といった多くのSNSの反響からもみてとれる。
かまいたちは、大阪を拠点に賞レースで実績を積み上げ、2018年の東京進出後には、キー局でレギュラー、MC番組、冠バラエティを多数構えるほどの活躍を見せている。『キングオブコント2017』優勝や2019年の結成15年のラストイヤーでの『M-1』準優勝は語り草になっているが、数々のお笑い賞レースで実績を残し、コントと漫才の両方で高く評価される実力派だ。
かつては“いじらせない”オーラも…ベールに包まれていた大阪時代
ある舞台稽古では、時間ギリギリになっても濱家が現場に現れないことがあった。相方の山内健司も含む全員で「叱ってやろう(いじってやろう)」と息巻いていたが、いざ現れた濱家を取り囲んで非難しても、全力で否定され、しまいにはふてくされる始末。山内はそんな意固地な姿を「土下座でもして場を沸かせばいいのに…」と半ば呆れ気味に話している。
一方、濱家自身も、大阪時代に自身が醸し出していた周囲が近寄りがたい雰囲気が、東京進出後にすっかり影を潜め、そのキャラの変わりぶりに後輩芸人が戸惑っていたことを明かしている。大阪時代の濱家を、劇場の番長としてMCもでき、万能芸人だったとする山内は、東京に来てから急にイジり回されるようになった姿を「大阪と豹変した」と、東京進出後の悩みとして語っていたこともある。
大阪時代も輝かしいばかりの実績を残してきたかまいたちだが、そこにはコンビとしての漫才、コントなど芸における確かな技とテクニックでのし上がってきた実力がある。そういう意味でも、かまいたちのピンとしての魅力は、ベールに包まれていたともいえる。