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(更新: ORICON NEWS

“密避けられぬコスプレ”…ウィズコロナに大規模撮影会、どう運営する?

  • こなみるく(左)、紅羽りお(右)

    こなみるく(左)、紅羽りお(右)

 緊急事態宣言が解除されてから1ヵ月以上が経過し、世の中にも徐々に活気が戻りつつある。とはいえ、まだ大人数が集まるイベントの開催は難しく、以前と同じような日常に戻るには、しばらく時間がかかりそうだ。“密必至”と言われたコスプレイベントも同様ではあるが、7月11日には都内にて、35名ものコスプレイヤーが参加する『コスキュート撮影会』が開催されることになった。まだコロナの不安が拭えないこの時期に、これほどの規模の撮影会を行う意義とは? 運営事務局の谷奥さんに話を聞いた。

誰しもが不安な中、コスプレ発展のための第一歩「誰かがそれを示さなければ」

 5月の『コミックマーケット』をはじめ、コロナ禍の中、さまざまなイベントが中止となり、出展者はもちろんだが、コスプレイヤーの活動場所も制限を余儀なくされた。6月以降の動向としては、それまで主流だったオンライン上での活動に加え、少人数での撮影会もちらほらと再開しつつある模様。とはいえ、緊急事態宣言解除後に、これほどの人数が集まる撮影会が開催されるのは初めてであり、その規模からして、安全管理には多大な労力が必要となりそうだ。まずはこのような状況下で、撮影会の再開に踏み切った理由を聞いてみた。

 「この数ヵ月、『コミックマーケット』や『ニコニコ超会議』といったイベントが相次いで中止になったことで、このままでは、コスプレを楽しめる環境が無くなってしまうのでは……と、不安に感じていたレイヤーが大勢いました。だったらせめて、我々が企画する撮影会で、彼女たちの不安を少しでも払拭できたら……と思ったことがきっかけです。それと世の中に向けて、“コスプレ文化は下火になっていない”ということを伝えたい気持ちもありまして。誰かがそれを示さなければ……と思い、このたびの大型撮影会を企画したんです」(谷奥さん)

 撮影会は基本的に、“モデルとカメラマンのペア”という構図になるので、大人数が集まる一般的なイベントと比べると、安全面は管理しやすいといえる。しかも今回の会場は、総面積480坪というかなり大きなハウススタジオを手配しているそうで、撮影会の間はすべての扉や窓を開放。風通しをよくして、屋外の庭園エリアも使えるようにするなど、“換気”の面では最大限に気を使っているという。

 また、35名のレイヤーが同時に出演するのではなく、それぞれが撮影時間をずらし、3密状態にならないようにも気をつけているそうで、「カメラマンの皆さんには、それぞれ一定の距離を保ちつつ、撮影を楽しんでいただけるようになっています」とのこと。そうした事前の準備に加え、マスクの着用や除菌、消毒に関しても喚起。さらには、この時期ならではの問題でもある熱中症対策にも気をつけているそうで、「体調不良のお客様にも即座に対応できるよう、スタッフを増員して万全の状態でお迎えいたします」と話してくれた。

「中止すべき」などの批判も…「ウィズコロナにおける“撮影会のモデルケース”を目指す」

 ここまでの話から、撮影会開催にかける意気込みや安全に対する配慮は理解できた。とはいえそれでも、この状況下で撮影会を実施することに不安はなかったのだろうか? 谷奥さんによると、最善の手は尽くしたものの、すべてのコスプレファンから好意的に受け入れられたわけではなかった……という点が心残りだという。

 「撮影会に参加経験のある方たちは、これだけの安全対策をしていますと伝えると納得してくださるんですけど、現場にあまり馴染みのない方から否定的なご意見がたくさん届きました。やるからには大々的に宣伝して、先に挙げたような我々の理念もアピールしていきたかったのですが、出演レイヤーたちに直接クレームが行ってしまう恐れもあるので、その辺りのさじ加減が悩ましかったですね」(谷奥さん)

 そうした事情もあり、今回はもともと撮影会に参加していたカメラマンなど、限られた範囲でのPRにとどめたそうだが、それでも告知早々、受付には問い合わせが殺到。予約がスタートするなり、あっという間にほぼすべての枠が埋まったそうだ。当日は時間ごとに出演者の入れ替わりはあるものの、カメラマンも併せると参加人数は100人を超えることになるという。

 寄せられた否定的な声の中の一例を挙げてもらうと、「この時期に撮影会を行うなんて、出演者のことを大切に思っていないのか?」といった内容のものが多く、なかには運営ではなく、個々のレイヤー宛に「皆で参加を辞退して撮影会を中止にするべき」といった要請もあったという。さらに谷奥さんは、「コスキュート撮影会に参加しているレイヤーとは、これまでにもさまざまなイベントでいっしょに活動し、信頼関係を築いてきました。そうした信頼のあるなかで、今回の撮影会も企画しているので、“無理やり強制参加させている”といった批判的なご意見には、やるせない気持ちになります」と、心の内も明かしてくれた。

 しかし、今回の撮影会が無事に成功すれば、ウィズコロナにおける“コスプレ撮影会のモデルケース”となり、ここから再びコスプレ文化が熱を帯びていくことになるかもしれない。

 「コロナ禍によって老舗のスタジオが次々に閉鎖となり、経済的な理由からコスプレを辞めたり、カメラを置くことになった方たちも大勢いらっしゃいます。さらに今年は夏祭りなども中止になり、楽しい催しがなくなっていくなか、せめて夏らしいコスプレ写真がSNSに流れることで、皆さんの気持ちを明るくできれば……と思い、準備を進めております。今回集まってくれたコスプレイヤーや、予約をしてくださったカメラマンの皆さんにも『参加してよかった』と思ってもらえるよう頑張らせていただきますので、これをきっかけにまた、コスプレが盛り上がってくれると幸いです。それが、我々の役割だとも思っています」(谷奥さん)


取材・文=ソムタム田井

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