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薬師丸ひろ子や菊池桃子…朝ドラ契機に再び輝く80年代アイドル 需要高まる年配女性役

オールマイティさを求められた80年代アイドル 豊富なキャリアと知名度からなる“絶対的”安心感

 アイドル黄金時代の80年代は、歌やダンスだけでなく、ビジュアルから演技力、トークまで、そのイメージ形成において、あらゆる面で完璧さが求められていた。それは、限られた数少ない枠であり、誰でもなれる存在ではない。90年代以降の移り変わりが激しく、アイドルが大量生産され、次々に消費されていく現在とは異なり、厳しい現場を経て、荒波に揉まれ、どんなこともこなす力量が備わっている80年代アイドルは、年月が経っても経年劣化せず、むしろより一層輝きを増している。

 薬師丸ひろ子は、同年代俳優との共演について「何十年とこの世界で生きてきて、たぶん言葉にしなくても分かり合える共通項がある。そういう仲間がいるというのは本当に素敵な仕事だと思います」。仕事への自身のスタンスには「私がこれまでの人生で感じたことは『謙虚であれ』ということです。人って『望むと自分の手から離れていく』ことが多いと思います。平常心で前を向いて歩いていれば、たまには神様が見ていてくれるかも知れない」(ORICON NEWS/2018年5月)と語っているが、そんな一時代を築いてきたベテラン女優の人間味あふれる姿勢が共演者やスタッフ誰からも愛されていることも、時を超えて第一線で活躍を続ける所以なのだろう。

 『エール』のチーフ演出を務める吉田照幸氏は、会話シーンでの窪田正孝、二階堂ふみ、唐沢寿明、薬師丸ひろ子の4人を“瞬発系”と称賛しているが、撮影については「芝居は動きまで細かく決めず、ある程度は役者さんに委ねて、ワンシーンを細かくカットせずに流れで撮影しています。お約束をなるべくやらずに、いい意味で視聴者の方々を裏切りたい気持ちがあります」(オフィシャルインタビュー)と語っており、そこからはベテラン勢を筆頭にしたキャスト陣への厚い信頼感がにじみ出ている。

 場数を踏んだ豊富なキャリアに加えて、さまざまなシーンで広く仕事をこなしてきていることから、制作者側もその実力や実績への信頼があり、安心感を得ている。こうした状況を鑑みると、年齢を重ねるとともに80年代アイドル女優への需要が高まっていくのは、必然であると言えるだろう。

(文/武井保之 写真/(C)NHK)

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