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『愛の不時着』『梨泰院クラス』…若年層に裾野を広げた韓ドラ 『冬ソナ』以来の再ブームの必然性

日本でも地上波でリメイク作品を続々輸入、産業基盤の厚い韓国エンタメ界のコンテンツ強度

 もともと韓国は、エンタテインメント産業の地盤が厚い。国策として同産業を支援しており、助成金や人材発掘のための公募事業などの仕組みが整備され、若手クリエイターの育成にも積極的だ。日本の東京大学にあたる国立のソウル大学のほか、多くの4年制大学に芸術学部が設けられ、演劇映画学科からは著名な映画監督が多く輩出されている。また、ソウルの演劇街・大学路には50を超える小劇場で毎日200演目ほどが上演され、頭角を現す若手脚本家や俳優が映像界へ引き上げられる仕組みもある。

 テレビドラマでは、制作プロダクションが企画をテレビ局に売り込むのが主流だが、“おもしろい作品であればヒットする”厳しくも健全な競争にさらされる実力主義の世界。そこには、『愛の不時着』を手がけたスタジオドラゴンのような、売れっ子・脚本家を多数抱え、確実にヒット作を生み出す人気プロダクションが群雄割拠している。前述の2作のような良質なコンテンツが生まれる地盤が、しっかりと形成されていることも大きい。

 そうした地盤から生まれるコンテンツ強度の高い韓国ドラマは、近年日本でも数多くリメイクされている。6月27日より放送の『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系/原作:ミッドナイト・ランナー)をはじめ、『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』(2019年7月フジテレビ系/原題:サイン)、『TWO WEEKS』(2019年7月フジテレビ系/原題同)、『ボイス 110緊急指令室』(2019年7月日本テレビ系/原題:ボイス〜112の奇跡〜)、『グッド・ドクター』(2018年7月フジテレビ系/原題同)など、枚挙に暇がない。かつて『花より男子』など、日本のドラマもアジア各国でリメイクされていたが、近年は良質な脚本やコンテンツ不足から韓国ドラマに頼る傾向にある。リメイクと知らず触れていた視聴者も多く、そうした流れからも現在の韓国ドラマブームは必然と言える。

 また、ドラマというコンテンツとしては、その尺にも、深くハマる人が続出した要因はある。一般的な日本ドラマは1話45分ほど全10話だが、韓国ドラマは1話70分ほどで全16話と長い。ハマるとボリュームのある重厚なストーリーと世界観に飲み込まれて、深くその世界に落ちていく。それだけに熱烈なファンを生み出す土壌があり、イッキ観ができ、何度でも繰り返し視聴できる動画配信サービスと相性がよい。

 Netflix広報担当者は「次のエピソードが配信されるのを待つことなく、好きな時にまとめて観るなどフレキシブルな楽しみ方ができることが魅力」とするが、レンタルでは不可能であったイッキ観ができることも(シーズンの前半と後半でレンタル開始日が月をまたぐなどブランクがあった)、一般層を取り込み、視聴熱を上げ、口コミを広げた要因だろう。それだけにライトユーザーの離脱者も少なくなっているはずだ。

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