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アンジャ・児嶋、相方の陰で誕生した「児嶋だよ!」が救済措置に…証明された強度

  • アンジャッシュ(左から)児嶋一哉、渡部建 (C)ORICON NewS inc.

    アンジャッシュ(左から)児嶋一哉、渡部建 (C)ORICON NewS inc.

 突然の番組出演自粛を発表後、“文春砲”が炸裂し今なお騒動の渦中にいるアンジャッシュ・渡部建。当然、ニュースサイトのトップ記事を飾ることも多いが、コメント欄やSNSをなぜか盛り上げているのが、相方・児嶋一哉の「児嶋だよ!」ネタ。渡部に対して批判したあと、最後に「でも、相方の大島さんには頑張ってもらいたいです」とコメントすると、「児嶋だよ!」「小島だよ!」「中嶋だよ!」といったツッコミ的リプライが返ってくる…というもので、いわば“プチ大喜利”状態なのである。スキャンダラスで殺伐としたニュースなのだが、「児嶋だよ!」があるだけでどこかほんわかし、急に場が和んでしまう。この「児嶋だよ!」フォーマットには、児嶋一哉を“通常営業”に戻す効果が秘められている。
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お約束として定着、SNSで沸き起こる「児嶋だよ!」現象

 児嶋の相方・渡部が『週刊文春デジタル』で複数の女性との不倫行為を報道されたのが6月10日。2日後、児嶋は渡部の代打でレギュラー番組『GOLD RUSH』(J‐WAVE)に出演し、“天狗になっていた”渡部に対して「僕なんかより全然売れているっていうのもあって、関係性的にも叱ることができなかった」と涙ながらに語り、「うちの相方がご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」と謝罪した。

 そんな児嶋にニュースサイトやSNSでは、「アンジャッシュを応援します!!!大島さーん!!!!」などわざと名前を間違える投稿コメントが連発され、一般ユーザー同士の「児嶋だよ!」のリプライが定着していく流れに。わざわざ(お約束失礼します)(待ってたでしょ?)と一言添えてツッコミを入れるユーザーもいれば、この流れを受けて「不倫問題は殺伐としているけど、名前を間違えるボケにどこかホッコリする」と“評価”するコメントもあった。

 たとえ一般人でも治外法権的に「児嶋だよ!」を引き出す失礼なフリができるのは、いじられキャラの芸人として児嶋自身が覚悟を持って受け止めてきて、一般層もそれを理解しているからこそ。だから、今回の騒動でもここぞとばかりに温かい“児嶋イジリ”が連鎖し、本来ネットやSNSが秘めている“理想的な関係”が創出されたともいえるのである。

元々アンジャッシュは“シュッとした”イメージ? 意外な「いじられキャラ」の誕生

 そんな「児嶋だよ!」が生まれた背景だが、そもそもアンジャッシュは今とは多少イメージが異なるコンビだった。結成直後は児嶋主導でネタ作りをしてきたが、児嶋いわく「結成半年後」にはすでに主導権が渡部に移り、『エンタの神様』(日本テレビ系)などで“すれ違いコント”でブレイクすると、“知性的”かつ“実力派”コンビとしてのイメージが定着していく(『エンタの神様』のキャッチフレーズは「コント仕掛けのスペシャリスト」)。

 実際、間近でアンジャッシュを見てきた後輩芸人カジサックことキングコング・梶原雄太も、自身のYouTubeチャンネルで児嶋がゲスト出演した際(昨年12月20日公開)、アンジャッシュ=「むっちゃ怖いイメージ」「全然笑ってなかった」「シュッとしていた」と語っており、児嶋も「尖ってた」「ヘンに自信があった」と認めている。そして、“シュッとした”イメージでいくつもりだったからこそ、くりぃむしちゅー(当時は海砂利水魚)やアンタッチャブル・山崎弘也など、芸人同士の内輪でイジられはじめた当時は「うれしいのと半々」だったと振り返っている。

 カッコつけていたがゆえに、「(ウケなかったときに)ありがちな『なんだこの空気は?』とか『笑えよ!』で誤魔化すことは絶対にやらなかった」のだが、デビュー10年経ったころ、渡部に「もう(尖らなくて)いいんじゃないか」といわれたことをきっかけに、普通の芸人以上に「なんだこの空気」「笑えよ!」を多用するようになったという。

 その後、渡部がグルメ芸人として大ブレイクすると、明石家さんまを筆頭に中居正広や今田耕司といった大御所からの“渡部の相方イジリ”、“大島イジリ”(さんまは大島のほか、八丈島などバリエーションあり)がはじまった。今では一般人に「大島さんですか?」と街中で振られても、「児嶋だよ!」と答えて“神対応”といわれるまでになっている。考えてみれば、渡部のみならず児嶋もコンビとしての大きな方向転換に成功したといえるだろう。

不祥事で相方も“腫れ物”に? 芸人にあるまじき同情ムード救った「児嶋だよ!」

 そんな順風満帆な中での不祥事だったわけだが、当事者の渡部だけでなく危惧すべきは不祥事を起こした芸人の「相方」が“腫れ物扱い”されること。先月、お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史がラジオ番組で不適切な発言をしたとして、相方・矢部浩之が同番組で“公開説教”したことが話題になった。すべてをさらけ出す公開説教や謝罪は、ナイナイのように本人たちの人間性やコンビとしての絆の深さを証明する場合もあるが、本来リスクは大きい。不祥事を起こしたほうだけでなく、相方までも同情され“腫れ物扱い”になる可能性がある。

 実際、児嶋と親交のあるバナナマン・設楽統は、12日に放送された『金曜JUNK バナナマンのバナナムーンゴールド』(TBSラジオ)で児嶋の涙の謝罪に触れ、「大変な時期だけど、コジにはがんばってほしいと思う」とエールを送りつつも、今回の件で「コジの好感度がヘンに上がっちゃうとコジのよさが出なくなる」として警鐘を鳴らした。つまり、児嶋を気遣って周囲が気軽に「大島さんですか?」とボケられない状況になると、児嶋が何もできなくなってしまうのではないかというわけだ。

 ところがネットニュースのコメント欄やSNSでは渡部を批判しつつも「大島さんにはがんばってもらいたい」などとボケ、そのフリに対して「児嶋だよ!」とリプライが連発。渡部の不祥事も(少しは)薄らぐという現象が生じており、渡部の爆発的人気があったからこそ生まれた“コンビ芸”=「児嶋だよ!」が、巡り巡って皮肉にも渡部・児嶋の両者を救う“救済措置”となっているようなのだ。

 それが相方の不祥事であったとしても、“同情”されるというのは、笑いを仕事にする芸人にとっては一番避けたいこと。児嶋にしてみればいつも通りに「児嶋だよ!」を繰り出せることで、キャラクターはブレないし、いち早く通常営業に戻れるはず。いわば「大島さん」などのフリは児嶋へのエールなのである。きっかけこそ不本意だったかもしれないが、ここにきて「児嶋だよ!」の普及率の高さ、意外な汎用性の高さなど、フレーズとしての強度が証明されたのではないだろうか。

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