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同調圧力? 芸能界も“バトン疲れ”、SNSで求められる“繋がり”の弊害

  • SNSでバトンについて言及した(左から)秋元才加、池田美優 (C)ORICON NewS inc.

    SNSでバトンについて言及した(左から)秋元才加、池田美優 (C)ORICON NewS inc.

 新型コロナウイルスの影響による外出自粛を受け、芸人たちの「ギャグつなぎ」はじめ、ミュージシャンの「うたつなぎ」など、SNS上で多数のタレントやアーティストなどがコラボレーションしている。一般ユーザーの間でも自己紹介を繋いだりと“バトン企画”が話題になっているのだが、一方で元AKBの秋元才加などは「最近よく見かけるリレーとかバトンを私に回すのを遠慮して頂けると有り難いです」と投稿。それに共感の声も多数挙がるなど、多くのユーザーの“バトン疲れ”が浮き彫りとなった。人との接触の8割減を目指す社会のなかで、SNS上のコミュニケーションが有用な“生活必需品”になる一方、同調圧力や義務感による精神的負担もあるなど、本来持つはずの“エンタメ”の側面からやや逸脱しつつあるようだ。

アーティスト同士の夢のコラボも続々、バトンが有事の際の繋がりとして機能

 SNS上で「次は○○さん」と指名してユーザー同士で次から次へと繋いでいく“バトン企画”。品川庄司の庄司智春が始めると芸人の間でつながれ、菅田将暉も参加するなどした「ギャグつなぎ」が4月22日には100人を突破。ジャニーズ事務所所属タレントの「Stay home with J」や各局人気女子アナが自作のおにぎりの写真をインスタに投稿する「#祈りのおむすびバトン」、「#家にあるものでコスプレ」で『鬼滅の刃』のコスプレをした藤田ニコルやロンドンブーツ1号2号の田村淳などが芸能界でも話題になった。

 となると、一般ユーザーの間でもバトン企画が流行するのも当然の流れで、疫病の妖怪であるアマビエのイラストを描く「アマビエチャレンジ」や、お母さんの不安や悩み解消のための「#つながるお母さんバトン」から、イラストやハンドメイド、コスプレなどを使った自己紹介など、「家の中でできること」を繋ぐバトンが広がっている。

 ちなみに、星野源の「#うちで踊ろう」は、星野源が安倍首相の“コラボ騒動”の際に言及した「(他のコラボ動画と同じように)僕自身にも所属事務所にも事前連絡や確認は、事後も含めて一切ありません」のように正確に言えばバトン企画ではなく、いわば“フリー素材”のような扱いではある。ただアーティストたちが有事の際に「今だからできる事」を模索して形にしたと言う点では同様で、元気づけられたファンも多いはずだ。他にも数年前ではALS研究支援の「アイスバケツチャレンジ」も啓蒙活動として注目されたが、このような自宅にいることが推奨されて人と人の関わりが減っているなかで、「人の繋がりが感じられる温かい現象」として機能していると言えるだろうし、基本的には“いいこと”として捉えられている。

古くは“手紙”でも…ネット文化にも根付く“バトン文化”

 そしてこういったバトン企画のような“行動”は、昔から同様のものがあったのもまた事実。昭和の時代には「この手紙と同じ内容の手紙を5人に送らないと不幸になります」といった「不幸の手紙」や、それとは真逆の内容を同じように手紙で送る「幸福の手紙」があった。インターネットが普及した平成になると「チェーンメール」に姿を変えたが、そこまでは、(バトンをつながないと何となく気持ち悪い…)という感情こそあれど、次に渡すか否かの決定権は受け手に委ねられていた。

 ところがブログやmixiなどの会員制コミュニティーサイトに引き継がれ、そしてTwitterなどのSNSで「バトン企画」が浸透すると、次に誰が指名されたのかは、自動的にオープンになる。つまりは指名された人がバトンを繋げるかどうかを、読者やフォロワーも見ることができるように変化したのだ。それが今回のコロナ禍絡みであったり、なにかの支援などの、世間的に“良いこと”と捉えられていることだったら、(断ったら批判を浴びるのでは…)といった不安感、(もちろん繋ぐのが常識だよね?)という義務感をなんとなく強要してくる世間…といった“同調圧力”的なものが生まれてくるのは必然ともいえるのだ。

みちょぱ、浅野忠信らも“繋がない自由”を主張

 その果てにあるのが“バトン疲れ”であるわけだが、芸能人・著名人の場合、(それなりの社会的地位があるのだから社会貢献するのも当たり前でしょ?)といった“見えない圧力”も、さらにのしかかってくる。その結果、元AKBの秋元才加は「本当ごめんなさい」「毎日一生懸命生きているだけでも結構なカロリーを消費しているので、最近よく見かけるリレーとかバトンを私に回すのを遠慮して頂けると有り難いです」「無視した感じになってしまうのもちょっと心苦しかったので」…と“勇気ある”Twitter投稿をして話題になった。

 他にも同じく「苦手すぎてやろうとは思ってるんだけど無視しちゃってますが悪気はないんです」と池田美優(みちょぱ)も告白。俳優の浅野忠信も「すいませんバトン系しばらく休みます。」と投稿するなど、芸能界において“バトン疲れのカミングアウト”が相次いだ。

 これはバトンを繋がなかったことに対するバッシングへの“予防線”ともいえるだろう。だが、その告白には共感の声が多数集まり、一般ユーザーの間でも同じように多少無理しつつもバトンを繋いでいた状況が見られるようになってきている。これらの“バトン疲れ”について、「10年位前のmixiの記憶がぶわっと襲ってきた」と言った経験談や、「バトン疲れが垣間見えるので回すのは遠慮しますね」「バトン疲れの方も散見されますのでひとまずストップ」といった、自ら“アンカー”を志願する一般ユーザーのコメントが多数見受けられたのだ。

 2011年の東日本大震災の際の“絆”、そして現在の“stay home”など、有事だからこそ今のSNS時代ならではのバトン企画から人々を勇気づけるコンテンツが生まれ、楽しく続いているものもある。当然、今回のバトン企画も辛い外出自粛を救おうとするものだ。だが、こういったバトンを引き継ぐ“義務感”だけではなく、当然それを断る“権利”もあるはず。エンタテインメントが“苦しいもの”になってはまさに本末転倒であるし、ほんの少しだけの、あえて繋がないことを許す“心の余裕”を心掛けたい。

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