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ミレニアム世代の歌姫デュア・リパがワークアウト音楽として注目されるワケ
ワークアウト系YouTuberの台頭、モチベーションを上昇できる音楽とは
42万人以上の登録者数(4月9日現在)を誇る「のがちゃんねる」を運営するのがさんもそんな人気YouTuberの1人だ。「30日間2分間の腹筋チャレンジ」で話題を呼び、誰もが気軽にワークアウトができる動画が軒並み高い再生数を記録している。彼女もデュア・リパの楽曲を駆使したエクササイズを最近公開し、そちらも大きな反響を呼んでいる。
エクササイズに没頭でき、かつ気持ちを上げてくれる音楽が求められるワークアウト動画。もともとデュア・リパの楽曲を使用したワークアウト動画は多く、彼女自身も「Don’t Start Now FULL BODY WORKOUT ROUTINE」や「Let’s Get Physical Work Out Video」など、ワークアウトをテーマにした動画をYouTubeで公開している。すでにフィットネス・ジムなどでも、その軽快なビートと力強いボーカルが、ワークアウトにぴったりハマり、モチベーションをさらに向上させてくれると人気を呼んでいた。
海外では、TWICEのTTダンスを考案した韓国のダンサー兼振付師のリア・キムが、「ドント・スタート・ナウ」のコリオグラフィーを公開し、110万回以上再生されている(4月9日現在)。彼女と同じダンススタジオ「1MILLION DANCE STUDIO」のジン・リーや、米国人ダンサーのハミルトン・エバンスらも同曲で踊る動画を投稿。プロのダンサーからも熱い支持を受けている。
『グラミー賞』受賞など高評価を得る話題の新世代新ポップ・アイコン、デュア・リパ
さらに2019年の『第61回グラミー賞』では、「最優秀新人賞」と「最優秀ダンス・レコーディング賞」を獲得。女性ソロ・アーティストとしては最年少で(2018年2月時点)YouTube再生回数10億回突破という偉業を成し遂げるなど、ミレニアム世代を代表するポップ・ミューズという地位にまで登り詰めた存在なのである。
また、アーティストとして活動する前はモデルとしてのキャリアがある彼女。SNSやMVでは、その洗練されたルックスとセンスを活かしたヴィジュアルを次々と展開し、彼女をロール・モデルとして真似する人が世界で増殖。音楽の枠を超えたカルチャー・アイコンのような存在感を放っている。
もちろん、日本でも彼女の存在は早耳の音楽ファンにはすでに話題になっていた。2017年には『SUMMER SONIC』に出演し、圧倒的なボーカル力と美しいスタイルで魅了させ、翌年5月にZepp Tokyoにて行った一夜限りの初単独公演はチケットが即日完売するなど、人気の高さを見せつけた。
デュア・リパの音楽は、エネルギーを与えてくれるサプリメント
グローバルで話題を呼んでいる「ドント・スタート・ナウ」や、1980年代パワー・ポップ「フィジカル」など、ボディを奮い立たせてくるようなダンス・トラックから始まり、INXSをサンプリングした「ブレイク・マイ・ハート」は、一定なリズムにあわせて、身体に負荷をかけていきたくなる。海外メディアのインタビューでデュアが、「ダンササイズのクラスで流れているような音楽を目指した」と語るだけあり、思わず身体が動いてしまうようなサウンドになっている。自然と理想的な身体に近づけそうなサウンド構成なのである。
また、彼女の持ち味である芯のあるボーカルは、恋愛などをモチーフにした歌詞が多くありながらも、日頃の嫌なこと、もしくはフラストレーションを解き放ってくれるような。つまり、どんな苦難が待ち受けていたとしても、それを乗り越えていけるパワーを与えてくれるように感じる。
デュア・リパの音楽は、全体として日々の生活にエネルギーを与えてくれるサプリメントのような役割があるのだと思う。新型コロナウイルスの拡大でなかなか思うように活動のできない状況が続いているが、音楽には規制など何もない、自由で理想的な空間が広がっているんだということを実感させてくれる作品にもなっているのではないだろうか。
(文/松永尚久)