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手洗いに電子印…新型コロナの影響で注目のシヤチハタ、薄れるハンコ文化も「自己否定」で時流にフィット
手洗い補助する『おててポン』、「ここまでの反響は予想以上」
「しっかり手洗いができる」という声をたくさんいただきました。コロナの影響で、みなさんが手洗いの必要性をあらためてお感じになったこともあると思います。手洗いの一番の目的は感染症予防であり、特に冬場はインフルエンザや風邪予防のために、ある程度は需要があるだろうとは思っていました。でも、ここまでの反響は予想以上でしたね。
――2016年から販売されている『おててポン』ですが、開発のきっかけとは?
スタンプの新しい使い方として、私たちは日頃からアイディアを持っていて、常に新しい企画を考えています。そんなとき、名古屋芸術大学との産学連携活動の中で、こうした“手洗い練習スタンプ”の使い方の提案があり、それをもとに開発したんです。私たちは、本来、“印を残す”商品で商売をさせていただいていますが、『おててポン』は一旦手に印をつけてそれを消すことで目的を達成するという、今までにない発想の商品だと思います。
「印鑑をもらうために出社」がなくなる? 無料開放した電子印鑑サービスが在宅勤務の助けに
印章の仕事をしている我々としては、少しでも負荷を軽減するお手伝いをしたいと思い、無料開放に踏み切りました。他社さんでは決裁や会計など大規模なシステムがありますが、弊社のものはクラウド上で捺印することがメインのシンプルなものです。
――在宅勤務になった人々からは、「上司に印鑑をもらうためだけに出社しなければ」といった悲痛な声も聞こえてきます。
今回は急に在宅になった方も多いため、会社自体のシステムを変えたり、準備したりすることが難しかったのではないでしょうか。その点、これは従来の書面の手続きを電子化しただけなので、元々の仕組みや流れを変えることなく、すぐに使っていただけます。ハンコを作っている会社が開発したものなので、書面上の“収まり”は非常に良いのではないかと思います(笑)。
薄れるハンコ文化、「自己否定」を続けて時流にフィット
昨今、日本のハンコ文化は徐々に薄れている傾向にありますが、それは20年以上前に予想がついていたこと。だからこそ、私たちもパソコンの画面上で決裁処理ができる電子印鑑・決裁サービスを開発したんです。ハンコの会社がこれをやると自己否定になるかもしれませんが、時流に合わせるためには必要なことです。
――自己否定ですか。
実は昔から、自分のところの商品を否定して、新しい商品を開発することが多いんです。創業当時、スタンプは“スタンプ台”と“補充インキ”のセットで使うものでしたが、創業者が“インク補充をしなくても使えるスタンプ台”を発想して、商品開発に至りました。その頃からすでに、現状あるものにあまりこだわりがなかったのでしょうね。
今みなさんに使っていただいている『ネーム9』(いわゆる定番のシヤチハタのネーム印)もそうです。それ以前は“ハンコ”と“朱肉”の2つが必要でしたが、それらを一つにした方が便利だと発想し、ゴムの中からインキが染み渡る仕組みを開発しました。
――自己否定となると、社内で反発が起こったりはしないのでしょうか?
誰か一人で何かを決めるわけではなく、全部スタッフで合議して決めています。もちろん、反対や様々な意見がありますが、常に話し合いの機会は持つようにしています。