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共感度の高い日本語詞が魅力の期待の新人バンド・Cloque.「お茶の間でも聴いてもらえる音楽を」

 葛藤や悩みを抱えながらも、“自分らしく生きたい”というメッセージを響かせる歌、そして、メロディックパンク系のナンバーから叙情的なバラードまで、豊かな表現をたたえたバンドサウンドで注目を集める3人組バンド・Cloque.(クローク)。ジャンルやシーンを超え、幅広リスナーに訴求できるバンドとして昨年のメジャーデビュー以降、Amazon MusicやAWAなどのストリーミングシーンでも存在感を示している。1stフルアルバム『ネイキッドブルー』が完成し、ライブバンドとして次なるステージに踏み出した彼らに、同作の聴きどころからバンドとしてのあり方について話を聞いた。

ライブバンドとしての地道な活動で築いた共感度の高い日本語の歌詞

 それぞれ別のバンドで活動していた村松利彦(Vo&G)、吉田秀人(B&Cho)、吉見裕太郎(Dr&Cho)がCloque.を結成したのは2015年。当時20代半ばだった彼らは「言葉にはしなかったけど、いい意味で“最後のバンドにしよう”という思いはありました」(村松)という覚悟を持ってバンド活動をスタートさせた。月に10本ペースでライブを重ね、バンドとしての実力を積み重ねてきた。

「ライブバンドが好きだし、自分たちもそうありたいと思って。以前活動していたバンドで出演したことのあるライブハウスに連絡して、自分たちでツアーを組んで、ひたすらライブをやる生活でしたね。現場でしか掴めないものが絶対にあるし、その感覚を大事にしたかった」(村松)

「上手くいかないライブもあるけど、続けることで必ず良くなっていきますからね、バンドは」(吉見)

「『ツアー中は車で移動して、車で寝る』と言ったら驚かれたりするけど(笑)、それがやりたいことの1つだったので、まったく苦はなかったです」(古田)

 ELLEGARDEN、dustbox、Hi-STANDARDなどをルーツに持つ彼らの音楽性は、速いビートとドラマティックなメロディーが軸となり、共感度の高い日本語の歌詞もバンドの大きな魅力だ。

「ライブ感のあるバンドであること、歌を大事にすることを意識していますね。以前やっていたバンドは半分以上が英語詞で、海外ツアーをやることが夢でした。先輩の『日本語の曲で海外ライブができたらすごいよね』というひと言が心に残っていて、それ以来、日本語でしか歌詞を書いてないです」(村松)

喉の不調や紆余曲折を経たメジャーデビュー後、ストリーミングシーンでも注目される存在に

  • Cloque.の1stフルアルバム『ネイキッドブルー』

    Cloque.の1stフルアルバム『ネイキッドブルー』

 2018年には村松の喉の不調により2ヶ月のライブ休止を強いられるアクシデントもあったが、同年6月から活動を再開。昨年4月には1stミニアルバム『トワイライト』でメジャーデビューし、12月には自身最大規模のワンマンライブを渋谷CLUB QUATTOROで開催し、順調にキャリアを重ねてきた。

 さらに、Amazon Music「Weeekly One」に選出され、AWAのプレイリスト「Dear Tuesday」に選ばれ、リアルタイム急上昇楽曲で1位になるなど、ストリーミングでも存在感を示している。今年3月18日には、1stフルアルバム『ネイキッドブルー』を発売。ライブハウスで鍛えられたバンドサウンド、リアルな人生経験に裏付けられた歌が刻まれた本作は、彼らのこれまでの集大成と言えるだろう。その中心にあるのは、“ありのままの自分を大事に”というメッセージだ。

「昨年発売の配信シングル「モノクローム」のテーマは“自分の人生の主人公は自分”。アルバムではさらに発展させて“いろんな自分を大事にする”ということを表現したかったんです。上手くいかなくて泣いていた自分、怒ってしまった自分。すべてを肯定したいし、それを聴いてくれる人たちにも伝えたかった」(村松)

 リード曲「スピカ」は、生々しいバンドグルーヴと前向きな意志を感じさせる歌が1つになったナンバー。「デモ音源を聴いたときに、“これだな”という感覚がありました」(吉見)とメンバー自身も大きな手応えを感じているようだ。

「メンバーが最初のリスナーというか、2人が『いいね』と言ってくれることで、自信を持つことができる。「スピカ」のテーマは、“上手くいかないときも、必ず誰かが見守ってくれている”ということ。喉が不調だったとき、僕は“バンドが止まってしまった”と思っていたんですね。でも、活動を再開するときに、レーベルの方が『ここからギアを上げていきましょう』と言ってくれて、“休止中も見ていてくれていたんだ!”と思えたんです」(村松)

どんなシーンでも順応できるのが強み、お茶の間でも聴いてもらえるバンド

 「“皆が幸せであったらいいのに”という思いを形にしました」(村松)というテレビ大阪のスペシャルドラマ『週末オトコ温泉同行会』の主題歌「僕らの愛のうた」もアルバムの聴きどころである。また、「Photogenic」は、Cloque.のロックバンドとしての強さが伝わってくる印象的な楽曲だ。

「アルバムの曲が揃ってきたときに、変化球として4つ打ちでテンポが速め、マイナー調の曲があったほうがいいなと」(吉見)

「トゲを感じる曲がほしかったんですよね。聴きやすい曲だけではなくて、“こういうロックな曲もあるんだ”と思ってもらえる曲ができて良かったです」(村松)

「いろいろな毛色の曲が入って、フルアルバムらしい作品になったと思います」(古田)

 4月下旬からはアルバム『ネイキッドブルー』を携えたツアーを開催する予定だ。バンドシーン、J-POPシーンの両方での活躍を大いに期待したい。

「メロディックパンク系から歌モノのギターロックまで、どんなシーンにも入って行けるのが自分たちの強みだと思っています」(古田)

「アニメのテーマ曲もやってみたいし、いい意味でこだわりはないです。Cloque.は、お茶の間でも聴いてもらえるバンドだと思っています」(村松)

(文/森朋之)
Cloque. オフィシャルサイト(外部サイト)

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