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“ノースキャンダル”だけじゃない、平成以降の女性アイドルが見せた“プロ根性”の形とは?

 先日、乃木坂46・白石麻衣の卒業が報じられた際、Twitterでもトレンド入りしたキーワードが「ノースキャンダル」。2011年、第一期生オーディションに合格して以来8年間、乃木坂46のエースを務めた白石に熟愛・交際報道がいっさいなかったことから、「アイドルとしてプロ意識が高かった」との現場の声や、「安心して応援できた」というファンから称賛が集まった。清廉潔白・無垢であることはアイドルとしての理想形であり、現在も不倫報道が世を騒がしている中、さらに重要性を増している。だが平成以降、スキャンダルの有無だけではなく女性アイドルたちが見せてきた“プロ根性”には様々な形がある。

ハロプロを背負った道重さゆみ&嗣永桃子、強烈キャラ貫く“プロ”の底力

 平成アイドルで外せないのはハロプロ勢、モーニング娘。だ。1997年にデビューして一世を風靡したが、それまでの王道アイドル路線とは違い、“親近感”や「ヤンキーっぽいのに凄く可愛い」というのがウリ。純粋培養の正統派アイドルとはいえない存在感だったが、オーディションを勝ち抜いてアイドルにのし上がっていく姿に女の子たちが続々と憧れていく。その代表格に、いまだナルシストで毒舌キャラを貫いている道重さゆみと、バラエティ番組で大物にも臆せず、「おとももち」とウザ絡みしていた“ももち”こと嗣永桃子さん(2017年に芸能界引退)がいる。

 道重は2003年にモーニング娘。加入。当初は地味な存在だったが、バラエティ番組での「日本中で私が一番かわいい」、「私よりかわいい子は他にはいない」といったナルシスト発言や、「(先輩の)飯田圭織はブス」といった毒舌発言が注目を浴び、週刊誌の「女が嫌いな女」ランキングでもベスト10入りするなど話題になる。ただ、当時、初期のメンバーは卒業し、時代はAKB全盛期。モーニング娘。の勢いも下降中だった。道重の一連の発言は、再びモーニング娘。に注目を集めるための“手段”ともいわれ、実際2012年に8代目リーダーに就任すると、翌年には52ndシングルが3年8カ月ぶりに週間シングルランキングで1位に返り咲く。

 結果、道重は歴代最長の11年10カ月にわたって在籍することになり、転落の可能性があったグループを復活させた功績は、ファンたちから“歴代最強のリーダー”と言われるほどに。2年4カ月の休養期間があったものの、昨年7月に30歳を迎えると、「10代はかわいい。20代は超かわいい。30代は超々かわいい。劣化という言葉は私にはないんです」との言葉を残し、依然としてその“プロフェッショナル”ぶりは健在だ。

 そして、嗣永さんは2004年にBerryz工房結成メンバーに。「みんなのアイドル、今日もカワイイももちこと、嗣永桃子で〜す!」、「かわいすぎて、許してにゃん♪」などの決めゼリフや、お友だちを「おとももち」と呼ぶなど、その超ぶりっ子キャラを徹底。そのキャラのままバラエティ番組に出れば、芸人顔負けの返しやリアクションで共演者や制作側など業界内でも重宝されるように。2015年、Berryz工房が無期限活動停止になると、カントリー・ガールズのプレイングマネージャーとして後輩アイドルを育成したが、2017年には卒業とともに芸能界を完全引退、夢だったという幼児教育の道へと進んでいった。

 道重にしろ嗣永さんにしろ、単にぶっ飛んだぶりっ子キャラを演じていたわけではなく、所属グループに注目を集めるためのまさにプロアイドルの“気概”だったのである。その姿勢にファンたちからは「道重プロ」「嗣永プロ」と呼ばれるまでになった。実際、指原莉乃や中川翔子、小嶋陽菜、NMB48・市川美織、大森靖子などは道重のファンであり、ぱいぱいでか美、ハロプロの後輩である羽賀朱音(モーニング娘。’20)なども嗣永さんのファンを公言するなど、多くの現役バリバリのアイドルやタレントたちから支持されており、ふたりはアイドル業界の底上げにもひと役買っていたのである。

スキャンダルすら武器に、バラエティ進出で躍進する“芸能界サバイブ”型

 一方、アイドルにとって御法度であるはずのスキャンダルを逆手にとって、大ブレイクを果たしたアイドルもいる。その代表格は指原莉乃だ。2007年、AKB48第2回研究生(5期生)オーディションに合格後、2011年には初冠番組を持ち、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)にもレギュラー出演、2012年にはソロデビューという順調満帆なアイドル路線を歩んでいたが、同年に『週刊文春』で男性ファンとのスキャンダルが報道されると、翌日にはHKT48への“懲罰移籍”が発表された。

 当初は相当なバッシングを受けていたが、指原は自らそれをネタに変換し、『王様のブランチ』(TBS系)に出演した際に「マジで私が文春砲のパイオニア」と語るなど、スキャンダルを笑いへと昇華させたのみならず、『逆転力〜ピンチを待て〜』(講談社)なる書籍まで出してしまう。その後も持ち前の切り返しのうまさが評価され、むしろ人気はスキャンダル以前より倍増。

 2013年、2015〜2017年は「AKB48選抜総選挙」で1位を獲得し、まさに焼け太り状態に。昨年のNGT48・山口真帆の騒動のときは運営側を激しく批判したり、事件に絡んで『ワイドナショー』(フジテレビ系)で松本人志が指原に不適切な発言をして世間から叩かれると、指原がすかさずTwitterでフォローするなど、その“神対応”は視聴者からも大絶賛された。今なお指原はバラエティ女王として君臨しながら、ご意見番的なポジションも獲得し、アイドルの新しいスタイルを提示するパイオニアとなったのだ。

スキャンダルとは別軸の“プロ根性”、「平成最後のソロアイドル」の評価に

 また、「平成最後のソロアイドル」こと松浦亜弥も“実力派ソロアイドル”としてプロであり続けていた。デビュー直後から続いていたという12年愛を実らせて結婚した松浦だが、スキャンダルと別軸で語れば歌唱力・パフォーマンス・笑顔・明るいキャラクター・トーク力といったアイドルの必要条件をひとりで満たして国民的人気を得たソロアイドル。結婚・出産後、復帰する気配を見せないところは、同じアイドルたる“聖域”を守った昭和のアイドル・山口百恵さんを彷彿させるが、それもまたアイドルのプロの姿のひとつだろう。

 そして冒頭の乃木坂46・白石麻衣は、清楚なイメージでありながら写真集で大胆な下着姿を披露するなど、嫌味のない美貌が同性にも受けたことも人気のポイントのひとつ。そんな男女問わず人気の彼女が“ノースキャンダル”を貫き通せたのは、よほどの覚悟がなければできない芸当だといえる。SNS時代の今、四六時中マスコミやネット住人に狙われている状況で「火のないところに煙はたたない」ことから、「燃える可能性があるものは絶対持ち込まない」という徹底ぶりが話題に。白石の卒業発表時、ファンたちもSNSでは「エースがいなくなった乃木坂はどうなる?」といった不安と同時に、「8年間ノースキャンダルは奇跡」、「男も女からも人気のある完璧なアイドル」として、白石の“プロ根性”を讃えたのもうなずけるのである。

 最近は、「不倫」、「誤爆」、「匂わせ」といった言葉が何かと話題となり、ノースキャンダルであることの“スゴさ”が再認識されているのも事実。スキャンダルを起こさない=ファンの気持ちを裏切らない姿勢も大切だし、たとえスキャンダルを起こしたとしても、それを挽回するほどの秀でた“プロ根性”を持つアイドルが様々なカタチで活躍しているケースもある。アイドルのあり方が多様化する今、これからどのようなアイドルが“プロ根性”を見せていくのだろうか。

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