ORICON NEWS
幼児誌『めばえ』ふろくにフードコートの“あのボタン” 3歳児が喜ぶ仕掛けの作り方とは
以前にも『幼稚園』の付録が豪華であることを紹介したが、『めばえ』も対象年齢は2〜4歳児向けにも関わらず、さらに上の年齢にも適している印象。こうしたインパクトを残すふろくはどのようにして生まれているのか、編集部の木島恭輔さんに聞いた。
「リアルに近いこと」が企画のヒントに
「『めばえ』の読者がよく行くおでかけ先の一つに、ショッピングモールがありました。フードコートで食事をする事も多いため、何かふろくにできないか編集部で検討していたところ、子どもたちが“あのボタン”をギュッと大事そうに握り、呼び出し音がいつなるかと凝視している姿を見て、『これはふろくになる!』と確信しました。
本物の呼び出しボタンだと、単調な音がなってブルブル震えるだけですが、どうせならもっと楽しいものにしようと、音を賑やかなものにして、アンパンマンが『料理ができました!』と知らせてくれるようにしました。ボタンの光り方も2種類あり、待っている時の効果音(実は調理している音)も入れ、ウキウキ待てるようにしました」
――そもそも『めばえ』のふろくは、どのようにして考えられているのでしょうか?
「編集部全員でアイディアを持ち寄ります。雑誌のふろくは大きさや梱包の仕方、もちろんコストなど色々制限があるので、その後はふろく担当がブラッシュアップしていき仕上げます。3歳がメインの『めばえ』読者は“ごっこ遊び”が大好きなので、なるべく親子で楽しめるものにしています。その上で、何か1点は豪華な完成品ふろく(今回の呼び出しボタン的な)を入れるようにしています。
また、なるべく“リアルな遊び”ができるようにも心がけています。子どもたちは、普段からよく観察しているので、自動販売機のふろくだったら、『お金を入れる→ボタンをおす→飲んだらゴミ箱へ』まで実際の流れで遊べると、とても満足してくれます」
小学館が積み上げてきた“ふろくの技術”を活かす
「小学館の幼児誌ふろくでは、諸先輩たちから引き継がれている、“ふろくの技術”みたいなものがあります。それらをベースに今の時代に合わせた遊びに落とし込んだり、新しい素材と組み合わせてみたり、新たな試みにチャレンジしたりしています。『幼稚園』や『小学一年生』のふろくでヒットしたものや、すごいと思った部品や素材などが出た時は、『めばえ』のふろくでもうまく落とし込めないか情報は共有しています」
――これまで担当されてきて、予想以上に反響が大きかった、このパーツを再現するのに難儀したなど、思い入れのあるふろくは何ですか?
「現在発売中の12月号ふろく『アンパンマンドキドキクレーンゲーム』です。実はここ3年間、12月号はアンパンマンのキャラカプセルが5個ついた『アンパンマンのガチャマシーン』という、毎回大人気で完売するふろくでした。今年の12月号も『ガチャマシーン』を検討したのですが、ガチャマシーンのふろくが色々な雑誌でつき始めたこともあり、今回は新たに『クレーンゲーム』のふろくにチャレンジすることにしたんです。
大人気ふろくをやめることは、ものすごいプレッシャーでした……。気合いも入りすぎてしまい、私が担当したふろくの中で、もっとも紙を使用し、もっとも作るのが大変なふろくになってしまいました。その結果、とても見栄えがするものになりましたし、憧れのクレーンゲームを何度も楽しめるので、ぜひ見てほしいです。すごいところは輪ゴム1本でクレーンがカプセルをキャッチし、さらに落とすこともできちゃうんです。ふろく設計者の方が、最初にこのアイディアを見せてくれた時は震えましたね。今回もアンパンマンのキャラカプセルが5個ついてますが、『だだんだん』と『しょくぱんまん』は思わずニンマリしてしまうかわいさですよ」
今後どんなふろくを考えているのか聞いたところ、「詳細は言えませんが、冬にはおふろでも楽しめる“ごっこ遊び”のふろく、春には“センサー対応機能”がついたふろくがつきます」と、興味深いことを語ってくれた木島さん。また、子どもたちが喜ぶ顔が想像できる。