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『可愛い嘘のカワウソ』フォロワー11万、漫画に描かれた誰も傷つけない「温かい世界」

可愛い嘘のカワウソ

 ほのぼのとした愛嬌たっぷりの4コマ漫画やイラストが人気の『可愛い嘘のカワウソ』。これらの作品をアップしているTwitterアカウントは、フォロワー数11万超。LINEスタンプやグッズ、書籍にまで発展して好調だ。無垢な子どものような可愛らしい作品だが、その裏には絶滅危惧種のカワウソを描くからこその思いもあるそう。作者であるLommyさんに聞いた。

きっかけはエイプリルフール、SNSの反響が励みに

可愛い嘘のカワウソ

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    『可愛い嘘のカワウソ』4コマ漫画

 「可愛い嘘が得意だからカワウソっていうの。なんちゃって!」。愛嬌あるイラストと、可愛らしい嘘で心を癒してくれる『可愛い嘘のカワウソ』。作者は、動物の絵を中心に描くイラストレーター・Lommyさんだ。Twitterから火が付き、今ではLINEスタンプが何度も月間MVPを獲得するほどの人気ぶり。グッズなども発売されているほか、6月には書籍化もされている。

――『可愛い嘘のカワウソ』はどのように誕生したんでしょうか?

Lommyさん きっかけは、Twitterの本アカウント(@lommy_y)に時々投稿していた様々な動物イラストです。まだ描いたことがかったカワウソをどう描くか考えていた時、エイプリルフールが近いことに気付き、“嘘”というワードが繋がって「可愛い嘘が得意だからカワウソっていうの。なんちゃって!」という絵になりました。1回の投稿で終わるはずだったのですが、いいねとRTが伸びて急きょ専用アカウントを立ち上げ、『可愛い嘘のカワウソ』が誕生しました。当初は2コマで、少し言葉が付いているイラストという程度だったのですが、続けていくうちに見せたい展開が湧き出るようになり、気がついたら4コマ漫画という形になっていました。

――今では11万人以上からフォローされていますが、作品をアップして良かったと思うことは?

Lommyさん 拡散力があって、たくさんの方に作風を見ていただけることです。みなさんからいただいたいいね、RT、フォローが大きな力となってまた次のステップへと繋がってゆく感覚に日々驚いています。

――Twitter のみならず、LINE スタンプやキャラクターグッズ、書籍など『可愛い嘘のカワウソ』はどんどん活躍の場を広げています。これまでで転機になったと感じる活動は?

Lommyさん 大きな転機は、やはりカワウソの誕生が一番ですね。昔から絵の仕事をしたいと思っていたけれど、漫画だけは考えたことがなかったのです。それが突然『可愛い嘘のカワウソ』が誕生し、手探りで続けていくうちに気が付いたら4コマ漫画を描く生活になっていました。最初は書籍化するとも思っていなかったので、ページをめくる方向すら意識せず、文字の縦書き横書きが混在していたり(汗)。たくさんの方に支えていただきながら、この1年初めての挑戦が続きました。何がきっかけとなるかわからないですね。

我が子の口癖をカワウソ語に、「子どものような愛嬌のある瞬間を思い出して」

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    『可愛い嘘のカワウソ』LINEスタンプ

――イラストや漫画はとても可愛らしいですが、描くときに大切にしていること、苦労することを教えてください。

Lommyさん 大切にしているのは実体験、生活の中で感じたことをお話にするようにしています。苦労するのは、コマ割りと言葉選びでしょうか。説明が足りなければ伝わらず、かといって説明し過ぎると面白くない。言葉が“可愛い嘘”になるように調整しながら、見せたい表情と仕草を展開の中から選び、動と静のリズムを意識してキャラクターが生き生きと動くように心がけています。

――“嘘”というのが特徴的ですが、内容はどのように?

Lommyさん “可愛い嘘”には冗談・言い訳・比喩などがあって、単調にならないように変化をつけています。うるさく騒ぐお話の時もあれば、しっとりと優しい話の時も。それが結果的にカワウソの様々な感情を描く機会となるので、私自身描いていて楽しいです。めぐる季節を背景に、それ以外は縛られず自由に描いていきたいです。

――“嘘”というとマイナスな言葉かと思われがちですが、カワウソの嘘はとても可愛いらしく、つい笑顔になってしまいます。見る人にどんな気持ちになってほしいですか?

Lommyさん カワウソを“大切な人”と重ねて見ていただけたら嬉しいです。幼いお子さんはもちろん、子どもっぽい恋人や友人、自分自身でも良いです。誰にでもあった子ども時代、大人になっても変わらない子どものような愛嬌のある瞬間。それをふと思い出すような、温かい世界を描けたらと思います。

――カワウソのしゃべる「〇〇なの」「〇〇だぬ!」などの言葉遣いも独特ですね。

Lommyさん 「〇〇なの」については、当時の我が子の口ぐせからです。「だぬ・ぬんぬん」については、言いそうな顔してるなと不意に思いついたので、何の意味もありません(笑)。「るんるん♪」も「ぷんぷん!」も、あの子の口元のフォルムだと「ぬんぬん♪」「ぬんぬん!」という発音になりそうだと(笑)。カワウソの実際の鳴き声も知らなかったから、逆に自由に作れたのかもしれません。

絶滅危惧種を描くからこそ――、密漁をテーマにした漫画も

可愛い嘘のカワウソ

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    反響の大きかった「手巻き寿司」の4コマ

――これまでの作品で、とくに反響の大きかったものは?

Lommyさん 一番反響があったのは「手巻き寿司」のお話ですね。いいねとRTの伸びが過去最大でした。皆さん、欲張ってたくさん具を入れて、うまく巻けず崩壊するという経験があるようで(笑)。共感していただけて本当に嬉しかったです。

――広く知られるようになったことで、何か意識することはありますか?

Lommyさん カワウソは絶滅危惧種であることなど問題を抱えた動物なので、私も描く立場として日々考えさせられます。書籍に収録された「世界カワウソの日」は、密猟されるカワウソの視点で描きました。

――これから作りたい作品テーマ、挑戦したい活動を教えてください。

Lommyさん これから作りたいのは、カワウソとカモちゃん(今年の七夕の4コマに登場したカモの赤ちゃん)の関係性ですね。カモちゃんはまだ登場したばかりで、性格など細かい設定がありません。カワウソは、誕生して半年以上経ったころ、脳内で勝手に動くようになり「この子だったらこんなことしそう!」と想像がつくようになりました。カモちゃんもそうなるように、今は少しずつイメージを育てています。2人の関係が出来上がった時、お話に深みが出たら良いなと考えています。
単行本『可愛い嘘のカワウソ』(KADOKAWA)が発売中

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