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「主演に選ばれても浮き足立たなくなった」松岡茉優、“負け続けた子役時代”で得た特権
事務所に所属したのも、わずか8歳からと順風満帆な道のりを歩んでいるかと思いきや、以前テレビ番組に出演した際に「子役出身って言っていいのか分からなくなるほど、お仕事がなかった」と、幾度となくオーディションに落ち続けた過去があったことを語っていた。今回彼女が演じた栄伝亜夜が、5歳でCDデビュー、「天才少女」として名を馳せてきたことを踏まえると、歩みは真逆とも言える。今回、本人に当時の経験がもたらしたエピソードを聞いてきた。
自身が演じた栄伝亜夜は「ただの暗い子ではない」
松岡茉優監督と最初にお話しした時に、「ただの暗い子にはしたくない」とおっしゃっていて、それは私も同感で。(栄伝)亜夜は感情の方向が常に自分に向いているだけで、決して暗い子では無いんですよね。だからみんなと一緒にはしゃいだりもするし。
――ピアノの演奏シーンが数多くありましたが、言われるまでずっと生で弾いているかと思っていました。それぐらいすごい迫力で。
松岡茉優実際には、ドイツ在住のピアニスト河村尚子さんが弾いてくださっているんですけど、録音の時見させて頂いたら、トマトがはじけたかのようなみずみずしい躍動感でしたね。それをできるだけ再現しようと、演奏の映像を何度も見て参考にさせていただきました。
子役時代「負け続けた」経験がいまの自分を作ってくれた
松岡茉優たくさん「負け続けた」ことで、周りと比べなくなりましたね。最初のころは「あの子凄い可愛いな」「〇〇に出てた子だ、やっぱりお芝居上手だな」なんて自分と比較して、常に気後れしていた記憶があります。でも、高校生ぐらいから「彼女たちに出来ない事が私にもある」という気持ちの変化があってからはだんだん上向いてきて。
――その高校生時代は『桐島、部活やめるってよ』『あまちゃん』などトピックスとなる作品への出演が続きましたね。
松岡茉優「飾らない私を必要としてくれる人がいるんだ」っていうことに気づけましたし。あと、最初から主演を任されたりしなかったことで「冷静さ」を持たせてくれましたね。どんなに褒められても、今回のように大きな作品の主演をいただいても、浮き足立たなくなりました。それは子役時代から“上がっていった”私だけの特権なんだなって思いますね。
松岡茉優が考える「才能」とは
松岡茉優うーん……種類が違えば才能なんて誰にでもあるものだと思っています。「天才」って言われるとまた別だけど。「才能」で言うと、数学がとても得意なのも才能だし、悪口を悪口と思わないのも才能だし。一人一人に必ずどこかにあるのが才能だと思っています。でも、それを維持し続けるのが難しいんですよね。
――最後にいまの松岡さんが、今後どんな目標を持っているのかお聞かせください。
松岡茉優まずは、やはり『蜜蜂と遠雷』を一人でも多くの方に見てもらって、クラシックという音楽との隔たりを無くしていくことです。この作品で4人それぞれが演奏しているのを見ると、ダイナミックに演奏する人もいれば、繊細に演奏している人もいて、終始バトルアクションを見ているかのようにドキドキして頂けると思います。
あと、元々本を読むのが大好きなんですが、今回恩田先生の特別な作品で主演を任せていただいたというのは5年後、10年後を振り返った時、ターニングポイントとも言える、それほど大きな作品でした。なので、心して演じましたし、“1,000円台で行ける演奏会”を気軽に映画館に見に来てほしいです。
――“1,000円台で行ける演奏会”、良いキャッチフレーズですね。
松岡茉優厳密には2000円弱ですけどね(笑)。
(撮影/飯岡拓也)
【Information】
『蜜蜂と遠雷』
国際ピアノコンクールを舞台に、世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描く。主人公・亜夜を『万引き家族』『勝手にふるえてろ』の松岡茉優、明石役を松坂桃李、マサル役を森崎ウィン、謎の少年・塵役を新星・鈴鹿央士が演じる。
『蜜蜂と遠雷』
国際ピアノコンクールを舞台に、世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描く。主人公・亜夜を『万引き家族』『勝手にふるえてろ』の松岡茉優、明石役を松坂桃李、マサル役を森崎ウィン、謎の少年・塵役を新星・鈴鹿央士が演じる。