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料理にアオザイ…“ベトナム”舞台の漫画に反響 背景に緻密な現地取材

 2017年12月よりLINEマンガで連載スタートした「リトル・ロータス」。ベトナムを舞台に、主人公の日本人青年とヒロインのベトナム人美少女との交流を描いたストーリーで、「海外!飯テロ!華やかなのに親しみやすい感じ」「ベトナム人、可愛い人多いよね」「フォーが…フォーが…!!!!!飯テロだぁ…!!!!!」と多くのコメントが寄せられている。作者の西浦キオさんに、作品について話を聞いた。

「日本生まれ日本育ちのベトナム人」の作者が描く視点に反響続々

 大学卒業と就職を間近に控えた桜井俊介は、ベトナム・ホーチミンに自分の従姉妹がいると祖父から聞かされ、彼女と会うためにホーチミンへと旅立つ。現地で従姉妹である少女・センと出会った俊介は、少しずつ心を通わせながら、彼女のことを理解していく。やがて彼は、就職内定を蹴ってベトナムにとどまり、センと一緒に料理店を開業することに……。

 作者の西浦さんは、日本生まれの日本育ちながらご両親はベトナム出身で、自身もベトナム国籍を持つ。「他の人にはない自分の強みを活かせる題材が何かを考えたとき、ベトナムが良いのではないか?」と思いついたことが、作品誕生のきっかけとなった。

――『リトル・ロータス』はどのように着想されましたか?
【西浦さん】ベトナムを題材にした作品を描くことは、先に決めていたのですが、どういう作品にするかを打合せしていたときに、担当さんが「アオザイの女の子って、可愛いよね」とアオザイの魅力について滔々と語るので、とにかくアオザイが似合う女の子を出そうと考えたのが出発点です。ベトナムの中でもホーチミン市を舞台にしたのは、祖父母の家がホーチミン市にあり、自身も幼い頃から何度も訪れているからです。

――主人公の俊介の「ベトナムに親戚がいる」という設定は、ご自身の経験に基づいたものですか?
【西浦さん】親戚の多くは今もベトナムにいて、数年に一度は会っています。もっとも、俊介とセンのような関係の親戚はいないので、そこは実体験の反映ではありません。

――俊介とセンを「いとこ関係」にしたのはなぜですか?
【西浦さん】日本人男性をベトナムに住まわせる、という展開に説得力を持たせるためには、赤の他人では動機が薄すぎると思ったので、いとこという関係にしました。兄妹などにもできなくはなかったと思いますが、そうすると今度は近すぎて現実感がなくなってしまうかなと思います。

――お気に入りのキャラクターやエピソードはありますか? その理由も教えてください。
【西浦さん】3巻から登場したストリートチルドレン(都市の路頭で生活している子供たち)のユイという男の子のキャラクターが気に入っています。私自身、幼い頃にストリートチルドレンの少年たちを見かける機会が多かったので、俊介とユイの出会いや、ユイがリトル・ロータスで働くことになる過程のエピソードは、複雑な思いを抱きながら描きました。

ベトナム料理とアオザイの美しさに反響 背景には「綿密な現地取材」

 連載前、担当編集者と一緒にホーチミンへの取材旅行に出かけたという西浦さん。綿密な取材のお陰で、作品の“出発点”となったアオザイの女性や、美味しそうな料理など、ベトナムの魅力が生き生きと描かれ、それが漫画の人気を後押しする形となっている。「この漫画を読んでどうしてもベトナムに行きたくなって堪らなくて、1人で初の海外に行ってきました!!!」「この漫画に出てきた景色を探したり、美味しそうなものをたくさん食べました。この漫画のお陰でベトナムが、ホーチミンが大好きになりました」など、この漫画に感化され、実際にベトナム旅行に出かけたユーザーも少なくないようだ。

――アオザイ姿の女性が次々と出てきますが、描く上でどんな点にこだわっていますか?
【西浦さん】アオザイはとてもシルエットが強調される服なので、女性のスタイルには気を付けています。本日発売の単行本3巻に収録されている「アオザイショッピング」という回では、オーソドックスなものだけでなく、今ベトナムで流行っている変形型のアオザイもたくさん描きました。そういったものが読者の方に魅力的に映るように描けていればと思います。

――ベトナム料理が続々登場するところも読者に人気ですが、料理を描く上で意識されている点はありますか?
【西浦さん】フォーや生春巻きといったメジャーなもの以外は、日本の読者に馴染みのない料理ばかりだと思うので、味の想像がしやすいような描き方やセリフを心掛けています。美味しそうだと思っていただけるのが、一番うれしいです。

「やっと20歳」の作者 単行本3冊発売も「本格的に描き始めたのは高1から」

 子供の頃から絵を描くこと、漫画を読むことが大好きで、高校1年生の頃から本格的に漫画を描き始めたという西浦さん。この「リトル・ロータス」で連載デビューしてまだ2年弱の新人漫画家だが、今後一層の飛躍が期待される。

――西浦さんの感じるベトナムの魅力とは?
【西浦さん】一言で言い表すのは難しいですね。私自身が魅力に感じるのは、人々の自由さや活気のある様子でしょうか。

――電子書籍の連載ということで、気を付けている点はありますか?
【西浦さん】電子サービスということで、特別意識していることはないと思います。紙の雑誌と同じように描いています。

――ユーザーからのコメントで、特にうれしかったものや印象に残っているものは?
【西浦さん】センと俊介の関係性や今後の行方について、読者の方々が議論しているのを見るのは楽しいですね。私自身もコメントを見ながら、あれこれと想像させられることがあります。

――今後『リトル・ロータス』はどのような作品にしていきたいですか?
【西浦さん】登場キャラクターたちの関係性の変化や、それぞれの成長を描いていけたら良いなと思っています。

リトル・ロータス 単行本の表紙と共に動画で見る

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