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フォロワー50万人のプロ保育士“てぃ先生”がSNSで発信する理由、現場から声あげる意味

てぃ先生

 Twitterのフォロワー数は約50万人に達し、著書『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』が大ヒットを記録、また、全国約50の保育園で顧問保育士として活動するなど、大きな注目を集めている現役保育士のてぃ先生。保育士になってから11年という歳月が経つというが、なぜてぃ先生は、保育に関する情報を積極的に発信するのだろうか――率直な胸の内を聞いた。

Twitterで保育業界の暗い側面に光を「ポジティブなイメージを持ってもらいたい」

 てぃ先生は、関東の現役保育士として働きながら、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)や『あさチャン!』(TBS系)などのメディア出演、さらには出版、講演会活動など“保育”に関するさまざまな情報を発信している。そんなてぃ先生がTwitterを始めた理由は「子育てや保育士に対してポジティブなイメージを持ってもらいたかったから」と語る。

 確かに昨今、子育てや保育に対する報道は、育児ノイローゼの問題や、保育士の低賃金・重労働、更には保育士による園児への暴力など、どちらかというと、ネガティブなものが多い。そんななか、てぃ先生は6年ぐらい前から、情報を発信することを積極的に行うようになった。「正直、保育士として働いていると、辛いことも多いです」と苦笑いを浮かべる一方で「でも、それ以上に楽しいことも多いんです」と胸を張る。ポジティブな面を伝えることで、ストレスや過酷さという負の要素が強調される“保育”に対するイメージを変えたかったという。

 この言葉通り、てぃ先生が発するメッセージには、温かさとユーモアに満ち溢れている。「保育園には日々面白いことが山ほどあります。ただ、それぞれの園児の特性が分かるからこそ、面白い話も多い。でもそこは個人情報の問題もあるので、皆さんにお伝えすることはできません。僕がTwitter等を通して伝えていることは、100のうちの1〜2ぐらいなんです」。

 てぃ先生自身も、日々子どもたちから学んでいるという。「一番ハッとさせられるのが、素直さです。子どもは何でも“やってみよう”という思いが強い。大人になるとなかなか相手の意見に素直になることは難しい。子どもたちを見ながら、いつも見習わなければ……と肝に銘じています」。

 そんなてぃ先生が保育士として大切にしていることが「待つこと」だという。「保育士さん不足も叫ばれていますが、基本的に保育士1人で多くの子どもたちを見なくてはいけない。そうなると、どうしても“みんなで”という意識が強くなってしまいます。でも子どもにはそれぞれペースがある。大人の都合に子どもたちを合わせてしまうと、それだけ機会を失ってしまうんです。だからこそ、なるべく子どもたちの気持ちを汲んで待つことが大切。保育士の神髄はそこにあると思います」。

保育士になるのを止められた過去も「給料は安いし伸びしろがない…」

 上記のことにプラスして、もう1つ、てぃ先生が伝えたかったことが「保育士」という仕事への誇りだ。「僕が保育士になろうと思った11年前、高校の先生に『保育士になりたい』と伝えたら『給料は安いし、伸びしろがないので、やめた方がいい』と止められました。でもそれが現状だと思います」。

 長い労働時間、安い給与――保育士の労働環境の問題は、たびたび取り上げられてきた。そんな状況に対して、てぃ先生は、現状を嘆き訴えるのではなく、保育士の多岐にわたる仕事を、子どもの目線を交えて、面白おかしく世の中に伝えようと思ったのだ。そこには「仕事がきつい、賃金が安いと訴えて『助けてください』と国の補助を待つのはあまり得策ではない。それだったら、自分たちの知識やスキルをアウトプットして『保育士ってこんなに技術的に高いことをしているんだから、今の賃金じゃ安すぎない?』と思ってもらう必要がある」という持論があった。

 Twitterなどでのポジティブな発信と共に、もう一つ行っているのが、全国約50の保育園で「顧問保育士」として監修や研修、コンサルティングを担当していることだ。「保育園での暴力なども問題になっています。もちろん手を挙げてしまった人は許されるべきことではありません。しかし、なぜそういう状況に追い込まれてしまったか、という根本を解決しなければ、同じことが起こると思うんです。余裕がないから、こうした問題が生まれるんです」。

 そこでてぃ先生が力を入れているのが、保育業界の持つ古い体質の改善だという。「連絡ノートは手書き、布団カバーやお遊戯会のドレスは手作り……など、いまだにアナログなことが多い。これだけ保育の現場で人手不足が叫ばれているなか、効率化できるところはすべきなのですが、いまだに“効率化”=“手抜き”という考え方がはびこっています。“温かみ”というのも分かりますが、でもそれは人手不足や作業量を軽減してから、特色としてやればいい。ICTなどを導入して、少しでも効率化を図って、まずは余裕を持って保育ができる環境を作ることです」。

親の笑顔で子どもも幸せに「親がまず幸せにならないと」

てぃ先生

 てぃ先生は、子育てに悩んでいる親御さんたちにも「自分たちの幸せを大切にするように」とアドバイスを送る。「いまの世の中“子どものために”が強すぎます。もちろん子どもは守るべき存在です。でも子どもは王様ではなく、家族の一員。お父さんお母さんがまず幸せにならないと、子どもにも良い影響は与えられません。親の幸せな笑顔を見て子どもも幸せになるんです」。 

 活動の範囲は今後もさらに広がっていきそうだが「生涯現役保育士でいたい」という強い思いはあるという。「いろいろな活動によって、保育士としての仕事が削られてしまう部分もありますが、現場にいなければ分からないことはたくさんあります。それをしっかり発信していくことは、続けていきたいと思っています」。

 これから保育士を目指す人に対して「まだまだですが、お給料も以前に比べて改善はされてきています。世間も注目してくれていますし、未来はそれほど暗くないと思います。仕事を通じて、毎日“ありがとう”と言われる仕事ってあまりない。きれいごとは好きではないですが、尊い仕事だと思います」とメッセージを送ったてぃ先生。彼の今後のさらなる活躍が、日本の未来にも繋がるのではないだろうか。

(取材・文:磯部正和)
Information
公式サイト:「てぃ先生」公式ホームページ(外部サイト)
公式Twitter:@_happyboy(外部サイト)
公式Instagram:@tsenseidayo(外部サイト)
公式YouTube:https://youtube.com/c/tsensei(外部サイト)
公式ブログ:てぃ先生オフィシャルブログ(外部サイト)

【動画】てぃ先生YouTubeチャンネル「【抱き癖なんてない】子どもを抱っこするのが良いことばかりな理由」

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