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宮迫「メディアに法的措置」裁判の争点は? 訴訟のリスクを週刊誌対応に詳しい弁護士に聞く

「早く訴えればいいのに」という声のなか、なぜ訴訟に踏み切らなかったか?

 今回、宮迫さんは一部メディアに対する法的措置について言及しましたが、7月20日の会見の際には訴訟の意志を否定しています。世間や同業者からは「早く訴えればいいのに」という声も多かったのに、二の足を踏んでいた理由について考えてみましょう。

 まず、訴訟は1審判決まででも1年以上かかることが想定されますし、高裁、最高裁まで続けば数年単位で時間がかかります。弁護士費用も、労力もかかります。たとえ証明できたとしても、それが1年以上先のこととなると、その判決はどこまで報じられるのか疑問です。もちろん、騒動の当初は大きく報じるわりに、その後の展開を追わない報道の仕方にも問題がありますが、世間の関心も薄れ、メディアも報じないとなれば、潔白を証明しても宮迫さんの意図した結果にはならない可能性もあります。

 そもそも、今回の記事の信用性が低い、すなわち、「素性の明かさない人物がお金の受け取りを見た」という記事は冷静に考えると真実かどうかかなり怪しいものです。そのため、ここを争って証明してもあまり名誉回復につながらないということ。それよりも、宮迫さん自身が各メディアで、「金銭授受はなかった」という現場の飲食店関係者の証言を紹介した方が、実質的な名誉回復になると判断した可能性は十分にあるでしょう。

週刊誌の記事を鵜呑みにして処分の撤回の撤回をすることが問題

 吉本興業は現在、「マネジメント契約解消の撤回についても、再度検討せざるを得ない状況」になったと公表しています(7月26日)。これについては週刊誌の記事が掲載されたことによる、宮迫さんとの「契約解除の撤回」の「撤回」と受け取る人もいるでしょう。

 しかし、吉本興業のこの判断が週刊誌報道のみを根拠としているとすれば、極めて薄弱な根拠と言わざるを得ません。会社として独自に裏付け調査や検証をせずに、場当たり的な判断をしていると指摘されてもおかしくはないでしょう。少なくとも、大企業として、週刊誌の記事の信用性について自ら検証し、そのうえで会社として判断を行い、それを公表するというプロセスは必須なのではないでしょうか。
<プロフィール>
河西邦剛(かさい・くにたか)。2016年にレイ法律事務所パートナー就任。2017年に日本エンターテイナーライツ協会共同代表理事に就任。芸能トラブル、エンタテインメント分野、映像著作権、知的財産分野、刑事事件、メディア対応、出版差し止め、医道審議会などを主に取り扱う。『ひるおび!』(TBS系)、『バイキング』(フジテレビ系)などのメディアに多数出演。

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