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「来店条件は疲れた人」SNS上に存在する架空の”喫茶店”に7万いいね、癒し与える
初作品は驚くほど反応なし 「空色ソーダ」と名付けたら大反響
桜田千尋さん最初は、物を描く練習の一環でした。もともと空や海など風景のイラストを中心に描いていたのですが、「もっと描けるものを増やしたい!」という思いから、物体を描く練習を始めたんです。建物や乗り物、楽器、食器など色々な物を練習していて、グラスを描いていた時に、中に空があったらきれいだなと思って描いたのがきっかけです。
――最初にツイッターに「満月珈琲店」の投稿をされたのはいつ頃ですか?
桜田千尋さん2018年の初め頃にあげた「空色ソーダ」のイラストだったと思います。最初にあげたときは「清涼飲料水」というタイトルで投稿したんですけど、びっくりするぐらい反応がなくて(笑)。しばらくしたある日、その絵がソーダっぽいなと思って、「空色ソーダ」として投稿したところ、ものすごい反響があったんですよ。
――名前をつけたら全然反応が違ったんですね。
桜田千尋さんそうなんです。そのあと、全く別の意図で「満月珈琲店」という海に浮かぶコーヒースタンドのシリーズを描いたんですよね。それで、“どうせだったらこのお店で「空色ソーダ」を販売しよう!”という流れで、満月珈琲店のシリーズが始まりました。
桜田千尋さんありがとうございます! コンセプトは、「疲れた人を癒すところ」ですかね。僕自身、会社がキツかった帰りに「食」で癒されたことが多々あったので、そういう場所だったらいいなと思っています。疲れた時には甘いものが食べたいので、基本的にカロリー高めのメニューが出ます。
――「満月珈琲店」のマスターや、細かな作品の設定があればお聞かせいただけますか?
桜田千尋さん実はあんまりないんですよ(笑)。「疲れた人だけが行けるコーヒースタンド」、「日没と共に開店して、夜明けとともに閉店する」、「大きな猫のマスターがいる」ぐらいです。
――そうなんですね。あえて決めていないということでしょうか?
桜田千尋さん最初はメニューの設定や味、世界観を詳しく決めた方がいいかなと思っていたんです。でも、イラストを投稿するたびに、見てくれた方が「どんな味がするのかな?」と興味を持ってくれたり、「こんな味がすると思う!」とか僕の想像を超えるおもしろい設定を付けてくれたりするので、それを見て「なるほど!」と思いながら、みんなで作っている感じです。
――「人生で初めて『疲れたい…!』と前向きな気持ちで思った」というコメントもありましたが、ツイッターユーザーからの反響はいかがでしたか?
桜田千尋さんありがたいことに「ここへ行きたい」、「食べてみたい!」とよく声をいただきます。それまで描いていた風景のイラストは「イラストが好きな人」の反応が多かったのですが、満月珈琲店のイラストは天体関係の仕事をしている人や、アクセサリーを作っている人、実際にお店をやってる人など、普段イラストに関心がないユーザーまで届いているようで、びっくりしています。