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工藤静香が語る“脱アイドル”への覚悟「自分がやりたいことを実現させるという意識」

 アイドルを経て、ソロアーティストとして活躍し続けて30年以上、また、母、女性としても色あせることなく輝き続ける工藤静香。そんな彼女が「リラックス」や「リセット」をテーマにしたコンセプト・洋楽カバーアルバム『Deep Breath』を6月12日にリリースする。工藤自身が「幅広い年齢層の方々が一緒に聴いても楽しんでいただける楽曲を選んだ」という同アルバムの制作秘話や、アーティストとしてのターニングポイントなどを語ってくれた。

11年ぶりカバーアルバムには、娘たちからのアドバイスも「一緒にいて凄く勉強になります」

――洋楽カバーアルバム『Deep Breath』。「リラックス」を意識されたとのことですが、どうしてこのテーマにしたのか教えてください。

【工藤静香】毎日の“やるべきこと”をこなしながら忙しく過ごす中で、ふと深い呼吸ができていない自分に気付いたんです。ヨガやトレーニングで呼吸するということが私自身は得意じゃないので、音楽に合わせて呼吸をする時間をつくることができたらいいんじゃないかなって思ったのがきっかけですね。鼻から息を吸って口から吐くことを意識するだけなら無理なくできるし、そういう時間をみんなと共有できるアルバムになればいいなと。

――ナット・キング・コールの「FOR SENTIMENTAL REASONS」などジャズの名曲から、最近のヒット曲エド・シーランの「SHAPE OF YOU」まで幅広い楽曲が収録されていますが、曲のセレクトはどのようにされましたか?

【工藤静香】古い名曲から新しい曲まで入れたいというのは最初から考えていたことです。レコード会社からは「工藤静香の曲も少し入れたらどうか」という提案を頂いたんですが、リラックスする時に日本語が入ってきたら、その言葉に囚われてしまう時があると思うので、洋楽カバーのみに絞りました。ゆっくりできる曲から仕事前に聴くと気持ちがアガるアップテンポな曲、キッチンで料理しながらスーッとノリよく終わらせられるような曲といった感じでセレクトしていきました。

――工藤さんが普段聴いてらっしゃる曲からのセレクトなのですか?

【工藤静香】ジャズは次女が好きで、よく部屋やリビングで流していて。それを聴いていた私が「これいいね。誰のなんていう曲?」と尋ねて知った曲もセレクトしています。エラ・フィッツジェラルドが好きなんですよ。シブいでしょ(笑)。私がリビングに音楽を流してみんなに聴いてもらうということはあまりないですが、娘たちから「この曲とっても美しいから聴いてみて!」と教えてもらうことは結構多いです。

――娘さんたちと音楽を共有できるのは素敵なことですよね。

【工藤静香】本当にそう思います。イマドキの若い子は情報が早いし色んなことを知っているので、一緒にいて凄く勉強になります。

――英語の発音もかなり練習されたのではありませんか?

【工藤静香】日本人の耳に心地よい音になると良いなと思っていたので、“Rの発音”を強くやりすぎないように気をつけました。次女がテストの最中だったので、長女に英語の発音を教えてもらいながら練習したんですけど、すごく厳しかったんですよ! ペンで机をトントン叩いてリズムをとりながら「裏から入るって言ったよね!」と怒られて、怖くって(笑)。

――娘さんと一緒に練習なんて、すごく仲良しなんですね(笑)。

【工藤静香】ほんとに仲良いですよ。でも先生としてはやっぱり厳しい!(笑) 「SHAPE OF YOU」を歌うことを最初に話したときは「なんでこんな難しい曲を選んだの?」と言われて……実際に歌ってみたら、とんでもなく早口の英語だったので、指摘もごもっともだなと思って(笑)。それはもう必死に練習しました。

明確にあった“やりたい音楽”実現のための脱アイドル「アイドルがやってないようなことをやった」

――6月13日からは『Acoustic Live Tour 2019 POP IN 私とピアノ』も始まりますが、どのようなツアーになりそうですか?

【工藤静香】今回のアルバムから数曲と、私のシングル曲、そしてアルバムだけに収録されているようなコアな曲なども披露する予定です。「それやるんだ!」っていうサプライズがあった方が、楽しいでしょ?(笑) 今回のツアーでのピアノ演奏は、澤近泰輔さんと渡辺剛さんという昔からお世話になっているピアニストが半分ずつ出演してくださるので、その違いも楽しんでいただけるんじゃないかと思います! ライブは1人でも楽しめると思うので、「一緒に行く人がいない」という理由で諦めずに、フラっと遊びに来てほしいなって思っています。

――常に新しいことに挑戦しながら30年以上も音楽活動を続けてこられた工藤さんですが、アーティストとしてターニングポイントとなった時期はありましたか?

【工藤静香】デビュー以来ずっと後藤次利さん作曲の歌を歌っていましたが、1994年に『Blue Rose』でセルフプロデュースしたことが、アーティストとしてのターニングポイントだったと思います。

――現在ではアイドルグループを卒業してアーティストとして活動する方も増えていますが、グループから“脱”アイドルをして本格的なアーティストとして活躍されたのは工藤さんが元祖のように思います。

【工藤静香】え、私がですか? おニャン子クラブを卒業した後は、必死でしたよ、必死(笑)。ソロデビューした当時は舐められてはいけないと、心を強く保つのに必死でしたし、後ろを振り返っている時間もなかったです。“ソロアーティスト・工藤静香”をどうやって作っていくかを考えて、髪型やメイクやネイルなど、たくさんチャレンジしました。葡萄色のような口紅をつけたりね(笑)。とにかく“アイドルがやってないようなことをやらなくちゃ!”と思っていましたね。

――プロデュースされるのではなく、セルフプロデュースができるアーティストも工藤さんをきっかけに増えていったように思います。

【工藤静香】そんな大げさなことではなく、当時は単純に20歳を過ぎて大人の覚悟ができただけじゃないかと思います。私には“こういう音楽をやりたい”という明確な意思があったので、『Blue Rose』でのセルフプロデュースをきっかけに、自分がやりたいことを実現させるという意識に変わっていったと思います。

工藤静香の自分らしく生きるコツは「一生懸命頑張った自分を、自分で認めてあげること」

――現在は昔と違って生活のリズムも変わってきていると思いますが、アーティストとしてのモチベーションはどのように保っているのでしょうか?

【工藤静香】私は、常に“MOVE ON!”の精神なので、あんまり休んでいるという感覚はなくて、毎回リリースが決まった瞬間に“あぁ! もうこの時期がきちゃった!”って焦ったりします(笑)。

――ファンの方からお声をいただくことは多いですか?

【工藤静香】かなりありますよ。一昨年の30周年のライブの時は、ファンの方から「今年30周年で盛り上がったから、来年はなにもないんでしょ?」としょんぼりした感じで言われてしまって。「そんなことないよ! 31周年だってたくさんあるよ!」と宣言したので、その言葉通り31年目はアコースティックライブをやらせて頂きました(笑)。ファンの皆さんをガッカリさせたくないので、できる限り“工藤静香”を届けたいなっていうのは、いつも思っています。

――お話を伺っているとファンの皆さんを心から大切にされてるのが伝わってきますが、30周年に開設したインスタグラムでもファンの皆さんとコミュニケーションを取られていますよね。 

【工藤静香】はい。30周年を機に開設してもらったんです。時代ですよね。昔はお手紙などの限られた手段でしかファンの方の想いを知る術がなかったんですけど、SNSだとたくさんの方が気軽に声をかけてくださるじゃないですか。SNSはやらないというファンもいるので、基本はファンクラブで投げかけるようにしているのですが、投げかけたことのお返事をインスタで……というのが最近は増えてきました。

――最後の質問になりますが、工藤さん流の自分らしく生きるコツがあれば教えて頂けますか。

【工藤静香】一生懸命頑張った自分を自分で認めてあげることが大事なんじゃないかなと。頑張ったご褒美に美味しいコーヒーでも飲みながら、素敵な音楽を聴いて自分を癒す時間を作って欲しいなと思います。
文/奥村百恵

information

  • 『Deep Breath』ジャケット写真

    『Deep Breath』ジャケット写真

■■■工藤静香 コンセプト・カヴァーアルバム『Deep Breath』■■■
2019年6月12日(水)発売

■CD(10曲入り) 価格:3,240円(3,000円+税PCCA.04790)

■収録曲
01. RUMOUR HAS IT
02. I WISH YOU LOVE
03. FOR SENTIMENTAL REASONS
04. COME ON A MY HOUSE
05. PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER
06. TURN ME ON
07. SHAPE OF YOU
08. HEARTBREAK HOTEL
09. EX-FACTOR
10. HOW HIGH THE MOON
■■■ 工藤静香OFFICIAL YouTube CHANNEL ■■■

新曲「COME ON A MY HOUSE」のOfficial Videoや過去の名曲34曲のOfficial Videoを公開中

工藤静香 / COME ON A MY HOUSE[Official Video]
https://youtu.be/65mwUFhSbeI
■■■工藤静香Acoustic Live Tour 2019 POP IN 私とピアノ〜Deep Breath〜■■■

6月13日(木)18:00開場/18:30開演 東京・たましんRISURUホール

6月19日(水)18:00開場/18:30開演 奈良・なら100年会館

6月21日(金)18:30開場/19:00開演 富山・高周波文化ホール(射水市新湊中央文化会館)

6月22日(土)17:00開場/17:30開演 石川・本多の森ホール

6月28日(金)17:30開場/18:00開演 東京・日本青年館ホール

7月6日(土) 17:00開場/17:30開演 三重・尾鷲市民文化会館

7月15日(月・祝)16:30開場/17:00開演 埼玉・行田市産業文化会館

7月18日(木)18:30開場/19:00開演 千葉・習志野文化ホール

7月21日(日)16:30開場/17:00開演 愛知・安城市民会館 サルビアホール

7月27日(土)17:00開場/17:30開演 大阪・ラブリーホール(河内長野市立文化会館)

7月28日(日)17:00開場/17:30開演 岐阜・バロー文化ホール(多治見市文化会館)

■チケット料金:全席指定 6,500円(税込)

※チケット販売に関する詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。


■工藤静香オフィシャルサイト
http://shizuka.ponycanyon.co.jp/
■工藤静香スタッフによるインフォメーションTwitter
https://twitter.com/shizuka_info

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