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誇張表現でガンダム外伝『ブルーディスティニー』の狂暴性を立体化、「異形こそ超遠近法の王道」

ブルーディスティニー1号機の狂暴性を「超遠近法」で再現!/制作:いべまに(C)創通・サンライズ

ブルーディスティニー1号機の狂暴性を「超遠近法」で再現!/制作:いべまに(C)創通・サンライズ

 1980年の発売以降、老若男女問わず愛され続ける「ガンプラ」。その魅力はモデラーたちの妄想を具現化させる“自由度”にあるが、今回紹介するトップモデラー・いべまに氏(@kaijyunopapa)は、超遠近法という「だまし絵」のようなジオラマ技法によりアニメの名シーンを再現。その代表作のひとつである『機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー』のジオラマについて、こだわりの制作法とジオラマへの想いを聞いた。

超遠近法は失敗も作品の一部、「思い切りのよいメリハリが重要」

――超遠近法を制作するようになった経緯を教えてください。

いべまに超遠近法にチャレンジする前の話になりますが、『GBWC(ガンプラW杯)』に初挑戦した2014年大会でファイナリストに選出された作品が「エクシアVSティエレンのヴィネット(簡易ジオラマ)」作品でした。

『2014GBWC』でファイナリストに選出された「エクシアVSティエレン」のヴィネット

『2014GBWC』でファイナリストに選出された「エクシアVSティエレン」のヴィネット

いべまにこの作品のエクシアのソードですが、ティエレンの胴体を貫いているように見えますが実際はソードを半分に切ってあり、ティエレンの胴体の前後に接着固定してあります。そのため、実際のソードの長さよりもティエレンの胴体の分だけ延長されていることになります。この長さの違和感が「誇張法」としての成功例ではないかなと思っています。

――誇張法から超遠近法に繋がっているわけですね。

いべまに誇張法の後、それから何年かは自分の作風というものを模索していた時期でした。ちょうどそのタイミングに『ガンダムエース』で連載されていた『機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー』に影響を受けていたこともあって、ブルーディスティニーの暴走シーンをガンプラで再現してみようと思ったのが、超遠近法にチャレンジした大きな理由です。
――「立体化させたい!」という衝動にかられた、漫画『機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー』の魅力とは?

いべまにたいち庸さんの作画に惚れ込んだこと、モデラーのNAOKIさんがモビルスーツデザインの監修をなさっていること、そして登場するモビルスーツがジムやドム、ザク、イフリート改など、ガンダムシリーズ初期の登場機メインであり、そのバリエーション機が多く登場するなど、モデラーの想像力を掻き立てる点も魅力です。現在6巻まで発売されているコミック版の表紙絵もカッコよくて、それぞれをいつかヴィネットで再現してみたいと思っています。

――ブルーディスティニーで超遠近法に初挑戦し、どんな気づきがありましたか?

いべまに部分的に大きさの違うパーツを組み合わせて制作しますが、中途半端な大きさの変化ではあまり迫力のあるものにならない、と感じました。超遠近法を使った作品にチャレンジする場合、こんなに大きさの違うものを組み合わせたらおかしくなるのでは?と心配するくらいのパーツ選定をしてみることが、迫力のある作品に仕上がる第一歩のような気がしています。あと、超遠近法は基本的に正面側からの見え方に拘った作品になるので、横や後ろからの見た目はキッパリと捨て制作に臨むことがキモになると思います。

――本作では、それぞれどういったスケールのパーツを使用したか教えてください。

いべまにベースとなる胴体や頭部は1/144、右足、右肩部を1/100、右腕にはUCハードグラフの特技兵セットの1/35のものを改修して使用しています。また、メガサイズ1/48ガンダムの頭部を改造して壊れたジムの頭部を制作しています。

――超遠近法という技法で、失敗しやすい点はありますか?

いべまにこの言い方には語弊があるかもしれませんが、失敗させること、異形に見せることこそ超遠近法の正攻法と捉えていますので、失敗と思える部分も作品の一部としてそれなりに見えるものだと思います。逆に、あまりメリハリのないものは超遠近法の作品としては成功とは言えないような気がします。

ジオラマの醍醐味は「物語の一瞬を切り取って再現できること」

――超遠近法やジオラマでは撮影技法も大事かと思います。カメラや撮影機材へのこだわりはありますか?

いべまに数年前まではコンパクトデジカメを使用していましたが、さすがに物足りなくなりデジタル一眼を購入しました。ただ、使う側がアナログ人間なので、到底機能を使い切ることができず最近はもっぱらスマホカメラでの撮影です(笑)。とはいっても、撮り方によっては最近のスマホカメラはデジタル一眼と比べても遜色ない撮影ができるので重宝しています。

――ガンプラのために撮影やカメラの知識を勉強したことはありますか?

いべまに特にありませんが、撮影方法や機材などに限らず、Twitterなどで流れてくる情報にも「これは使えるな」というものがたくさんあります。そうした情報の中から、自分に合う合わないも含めて挑戦し、有用なアイデアや方法は遠慮なく“パクリスペクト”させていただきます(笑)。

――ガンプラにとって、撮影の重要性は増していますか?

いべまにブログやSNSを通じて自分の作品を広く見ていただくという意味からしても、撮影や写真の出来はとても重要だと思います。同じポーズであっても、ちょっとしたカメラの位置の違いだけで全く別物に見えることは多々あります。逆に、Twitterにあがっている作品を見ても、実物は物凄い出来栄えなのに作業机の上で撮影されているなど、背景に余計なものが写っているだけでスルーしてしまうものも少なくありません。SNS等で作品を発信するということは、多かれ少なかれ「俺の作品見て!」ということですから、バシッとした写真にして発信することを意識しています。

――ジオラマ制作の醍醐味を教えてください。

いべまに私は、「物語の一瞬を切り取って再現できること」がジオラマ制作の醍醐味だと感じています。ガンプラ単体では表現しきれない空気感だったり、壊れたビル、足跡や破壊の痕が残る地面で、見る方に物語を妄想させることもできます。なので、ガンプラの動きを補足したり増幅したり、あくまでも背景でありながらも、ひとつの作品として見ていただけるように心がけています。

(C)創通・サンライズ
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