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(更新: ORICON NEWS

松山ケンイチが「僕は人としてもっと『成熟』しなければいけない段階にいる」と発言した真意

 5月24日より公開されるアニメ―ション映画『プロメア』で、主人公・ガロの声を担当する松山ケンイチ。『怪盗グルーのミニオン大脱走』(2017年公開)以来2年ぶりの「声優」となる。一時期、彼はドラマ『ど根性ガエル』(日本テレビ系)や、映画『珍遊記』『聖の青春』など、主演作品に“出ずっぱり”という状況で、今後もこのペースを保っていくのだろうと予期していた。だが、当時ORICON NEWSでインタビューした際に、「あくまでも仕事というのは生活のためにやるものであって、プライベートでの自分の人生も大事にしたい。家族を持ってからこんな風に考え方が変わりました」(16年11月)と、仕事に対する独自の価値観を明かしていた。実際にその辺りを境に、徐々に出演本数も落ち着いている印象を受けた。作品について聞くとともに、当時から語っていた「価値観」に変化は生まれていたのか確かめた。

最近熱くなったことは「家で『スーパーマリオ』をしている時」

 本作『プロメア』は、松山自身がファンだという『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』を手がけた監督・今石洋之と脚本・中島かずきが再びタッグを組んだ完全オリジナル劇場作品。「声優」という、ビジュアルで表現ができないことには、ひと苦労があったようだ。

松山ケンイチやはり声だけで表現するので、「難しそうだな」とは思っていました。僕が演じるガロは、とにかく熱いキャラクターで、“べらんめえ口調”の独特なセリフ回しがあるんです。舞台などではそれを目線や手ぶりで表現できますが、今回は具体的にどうすればいいのか答えがないので、いざやってみないとわからなかったですね(苦笑)。

 と謙遜するも「『グレンラガン』や『キルラキル』のような“熱さ”を自分が表現しなきゃいけない」(松山)という思いが根底にあるからか、“松山ケンイチの声”ではなく、“ガロの声”として、物語に説得力を与えていた。

松山ケンイチそう思ってくれるのは嬉しいですね。でも僕はガロと違って、“熱さ”をあまり表に出すことがなくて……一人でいると家でゴロゴロしながらゲームしていたいですし。あ、でも最近子どもたちと一緒に『スーパーマリオ』をプレイしていたんですが、子どもが“ジャンプしたら低い天井にぶつかって落ちてしまう”という状況があったんです。その時には熱くなりました。「俺の後をしっかりついてこいよ!」って(笑)。

自身の子どもたちには「足るを知る」を教えていきたい

 冒頭にも記載したが、過去に松山は「あくまでも仕事というのは生活のためにやるものであって、プライベートでの自分の人生も大事にしたい」と語っていた。それは家族が増え、身についてきた価値観でもある。

松山ケンイチ今でもその思いに変わりはありません。別の人間を表現するにしても、自分の中にあるものでしか役を捉えることができない。もちろん、技術的な意味もありますが、日々子ども達といると、いろいろなことを学び、自分に還元されていくんです。そうした意味合いも含め言ったこと。それに『聖の青春』(2016年)以降、感じていることなんですが、僕は人としてもっと「成熟」しなければいけない段階にいるなと思っているんです。

 人間として器が大きい、感情をコントロールできる、信頼できる……人それぞれ、「成熟」のイメージは違うが、松山自身が思う成熟とは。

松山ケンイチいま「人生80年時代」みたいな言い方がありますけど、過去をさかのぼれば50年とか、一生が短い時代もあったわけじゃないですか。延びた分だけ、人間としての成長を遅くしていて、危機感を覚えるときがあるんですよね。もし短い時代に生きていたらと考えると、子どもたちに生きる上での「正しい選択」を教えてあげることができるのかと。決して「100点取れ」「いい大学に行け」ということじゃなくて、「足るを知る」を理解してほしい。

 生まれてからずっと同じ環境、または生活の質が上がっていくと、分別がつかない幼少期は「足るを知る=既に十分満足であることを知る」ことが難しいのは否めない。松山は、生まれてから学生時代まで、自然豊かな青森の地で育ったことも、そうした価値観を形成するのにつながっている。

松山ケンイチたしかに青森にいると「時間の流れ」が違うし、“自分が何をしているときが幸せなのか”をわかっている人が多い気がする。僕も色んな仕事をしてきましたが、「もっともっと」と欲を出すのではなく、「いただいている」ものとして真摯に向き合ってきた。まだまだ、自分の足で地に立って進んでいかなければと思っています。

(取材・文/東田俊介 写真/山口真由子)

映画『プロメア』
https://promare-movie.com/

【キャスト】
松山ケンイチ 早乙女太一/堺雅人
佐倉綾音 吉野裕行 稲田徹 新谷真弓 小山力也 小清水亜美 楠大典 檜山修之 小西克幸

【スタッフ】
原作:TRIGGER・中島かずき 監督:今石洋之 脚本:中島かずき キャラクターデザイン:コヤマシゲト 美術監督:久保友孝 色彩設計:垣田由紀子 3DCG制作:サンジゲン 3Dディレクター:石川真平
撮影監督:池田新助 編集:植松淳一 音楽:澤野弘之 音響監督:えびなやすのり タイトルロゴデザイン:市古斉史
アニメーション制作:TRIGGER 製作:XFLAG 配給:東宝映像事業部

(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG

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