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「福沢諭吉」が「渋沢栄一」に? 角度で変化する不思議な文字”アンビグラム”職人に聞く

平成令和

 アンビグラムとは、ある文字を、回転させたり、異なる見方でも読むことができるグラフィカルな文字のこと。その日本語でのアンビグラムの第一人者と、呼び声の高い野村一晟さんは、ドラマの題字デザインをはじめ、テレビや広告など、数多くのメディアで紹介されている。最近では、4月1日に発表された「平成」をひっくり返すと新元号「令和」になる作品が、発表からわずか1時間後に発表され、SNSで大きな話題に。その後新札の肖像の名前も発表し注目を集めた。そんな野村一晟さんに作品へのこだわりなどを聞いた。

“休日のみ“時間の限られたアーティスト活動「平日は美術の先生です」

――アンビグラムを始めたキッカケを教えてください。

【野村一晟】富山大学の芸術文化学部に在籍していた時、トム・ハンクス主演の『天使と悪魔』という映画を見たのがきっかけです。作中、重要な手がかりとして英語のアンビグラムが登場します。それを見た時“なんて美しいんだ”と感動し、日本語でも作れないかと考えました。それから自分なりに試行錯誤し、作り方の法則を見つけることができました。自分や身近な人の名前で作ってみたら、とても驚かれたり喜んでもらえたりしました。“これはできるぞ!”と確信しましたね。その経験は今でも原動力になっています。

――平日は美術の先生で、先生に影響のない土日だけアーティストとして活動しているそうですが、学校ではアンビグラム作家ということは公認なのでしょうか?

【野村一晟】もちろん、みんな知っています(笑)。生徒たちが「テレビで見たよ!」おと言ってくれるのはやはり嬉しいです。子どもたちと触れ合うことで、新作のヒントを得たり、作品を見せて反応を見たりもしています。授業ではちゃんと指導要領に沿って、美術として学ぶべき基本を教えていますy。

――一番最初に書いた文字は覚えていますか? どんなものだったのでしょうか?

【野村一晟】作品としてのデビュー作は『ただいま・おかえり』という作品です。普遍的で、日常的に親しみやすい言葉としてこの言葉で制作しました。絵も画家として自分が描いています。
――デビュー作は美術の先生らしい雰囲気だと思いました。その後、いろんな作品を手掛けていらっしゃいますが、一番反響があった作品は?

【野村一晟】今まで一番反響があったのは『挑戦・勝利』ですね。しかし、4月1日に投稿した『平成・令和』も、それに十分匹敵する作品になったかなと思います。

――『平成・令和』は、元号が発表されてからたった1時間でアップされていましたが、通常、作品にはどれくらい時間がかかるものなのでしょうか? 

【野村一晟】漢字は一般的に画数が多いので数時間〜数日かかります。『平成・令和』の場合、以前『昭和・平成』のアンビグラムを制作したことがあり、「和」と「平」の組み合わせは、その時のアイデアを生かしたので、短い時間で完成させることができました。イベントやトークショーのときは、パフォーマンスとして、ひらがな限定で即興制作を行うことがありますが、この場合1作品にかける時間は3〜5分程度です。ちなみにこのアンビグラム即興制作を行っているのは、多分、日本では私ぐらいだと思います。

――制作方法を教えてください。また、制作で大変な作業はどの部分でしょうか?

【野村一晟】制作方法は、細かい修正がしやすいので主にPCで制作しています。頭の中でイメージは大体できてから描くので、手書きでの制作も可能です。また、できる文字の組み合わせを探すという行程も制作時間に含まれます。これが一番時間のかかる大変な作業です。たとえば、“一”を逆さにしても絶対に“万”にはならないので(笑)。この作業には、語彙力や学校で学んだ知識が役に立っているなぁと感じますが、こんなことならもっとちゃんと勉強しておけばよかったとも思います(笑)。広告などで制作依頼をいただく際は、作りたい言葉のイメージや候補の言葉を多めにもらうなど、なるべく制作時間を短くするためご協力いただいています。

――ほんとうに逆さまにしても読めるの!? とびっくりするような作品もありますが、どんな文字でもアンビグラムにできちゃうのでしょうか?

【野村一晟】できない文字の組み合わせはあります。タイムリーなものだと、4月9日に発表された新しい紙幣肖像の人物にチャレンジしました。

ひぐちいちよう(樋口一葉)つだうめこ(津田梅子)
ふくざわゆきち(福沢諭吉)しぶさわえいいち(渋沢栄一)

は、できましたが、野口英世→北里柴三郎は、できませんでした。

アンビグラムの魅力は、物事を柔軟に見られるようになること

――NHKのドラマ『ぬけまいる』の題字で野村さんの作品が使用されていましたが、どのような経緯で作品が使用されることになったのでしょうか?

【野村一晟】最初に注目されたのは『陰・陽』の作品のツイートです。ツイッターで4万リツイートを記録し、これを機に、テレビ出演の依頼や制作依頼が一気に増えました。その後、いただいたボートレースのお仕事から『挑戦・勝利』の作品が生まれ、それが6万リツイートを記録したんです。これもありがたいことにメディアでご紹介いただき、個展を開くまでになりました。メディアやSNSで話題になったことが依頼につながっています。
――ツイッターの活用が依頼にも大きく影響しているんですね。なぜツイッターで作品を発信するのでしょうか?

【野村一晟】『平成・令和』を投稿したように、速報性を伴って気軽にできる手段として、ツイッターで発信をはじめました。ツイッターのほか、ブログやfacebookでも発信してきましたが、SNSがなかったら、みなさんに知ってもらうことも、注目されることもなかったかもしれないなぁと思うこともあります。時代に恵まれたと感じます。

――時代に野村さんが合わせたとも言えると思います。『平成・令和』の作品はかなり注目を集めましたが、フォロワーは増えましたか?

【野村一晟】1週間で、大体3,500人くらい増えましたね。今でも増え続けています。普段ネットを見ない方でも今回の作品で、初めて知って驚いたというお声もいただき、改めて元号のスゴさというのを実感しました。

――テーマ(文字・言葉)選びでこだわっていることはありますか?

【野村一晟】事実やニュース性は大事だと思っています。そのほか、作品を通じ、見る人の心や記憶に残るもの、感じてもらうもの、考えてもらうもの、そういう言葉や文字の組み合わせにこだわっています。

――アンビグラムの魅力とはどんなものでしょうか?

【野村一晟】言霊という言葉がありますが、文字にもやはり“力”があると思っています。その言葉の背景を具現化したり、想いを載せたり、深みを持たせることが出来るのは、アンビグラムの魅力だと思います。

――クリエイターとして、今後どんな活躍をしていきたいですか?

【野村一晟】まずは、多くの方にアンビグラムの魅力を知ってもらえるよう、精力的に活動をしていきたいです。アンビグラムは、別の方向からでも同じように読めたり、一見決まった形のものを別のものに見せることができる手法です。これには、物事を柔軟に見られるようになる力があると思うのです。ピンチがチャンスになる作品もありますが、柔軟に物事を見られることで、人生はより豊かになると思います。また、私が美術教師と兼業ということもありますし、クリエイタ―の卵のみなさんが、諦めず、勇気をもって表現活動ができるように、芸術や文化の価値を少しでも高める活動をしていきたいですね。

野村一晟さんイベント情報

【東京】
『平成・令和』改元記念 カウントダウンイベント

場所:東京ドームホテル(ご宿泊者限定)
日時:4 /30(休・火)21:00 〜 5 /1(祝・水)0:15

・野村一晟トークショー、乾杯用スパークリングワインサービス(23:50〜)
※数に限りがございます、アンビグラムを使用した新元号記念ノベルティプレゼント
野村一晟 アンビグラム 即興制作トークショー・作品展示(入場無料)
5 /1 (祝・水) 作品展 10:00〜18:00
 即興制作トークショー11:00〜/13:00〜/15:00〜
5/ 2 (休・木) 作品展 10:00〜18:00
 即興制作トークショー 11:00〜/13:00〜/15:00〜
5 /3 (祝・金) 作品展 10:00〜12:00
 即興制作トークショー 11:00〜

・野村一晟による目の前で作品を仕上げるパフォーマンス、アンビグラム作品展示、グッズ販売

詳しくはhttps://www.tokyodome-hotels.co.jp/heisei-reiwa/
【名古屋】
『野村一晟 アンビグラムの世界』展
本人による個別制作・作品展示・グッズ販売など

日時:令和元年5/4(土) 、5/5(日)
場所:名古屋市民ギャラリー矢田4F 第1展示室(名古屋市東区大幸南一丁目1番10号 カルポート東 )
詳しくはhttps://www.dreamnews.jp/press/0000192484/
そのほか、詳しくは当社ホームページ
http://issei-nomura.art/
または公式ツイッター
https://twitter.com/isseinomurapr
にて

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