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国内で2番目に美しいトランスジェンダー美女「男性化していく身体に耐えられず10代で性転換」

 毎年タイで開催される、トランスジェンダーによる世界最大のビューティコンテスト『ミスインターナショナルクイーン』。今年1月に行われたその日本予選大会で、準優勝に輝いたトランスジェンダー美女、白川由美子さんにインタビュー。「本物の女性になることはできないけれど、私は私。胸を張って生きていきたい」と語る彼女に、10代で性転換するまでのプロセスや、現在の心境、そして将来の夢について話を聞いた。

好きな男子に告白したことで「オカマ」と噂され…

――ご自身の心と体の性別に違和感を感じるようになったのはいつ頃からですか?

【白川由美子】 小さいときから女の子と一緒に遊んだりすることが多かったんですが、はっきり自覚したのは小学校の高学年くらいのときです。体育の着替えで、男子と女子で分けられて。男子に裸を見られるのがすごくイヤだった。修学旅行でお風呂に入るときも、仮病を使ってあとからひとりで入ったりしていました。

――性と心の不一致を自覚されたとき、周りに相談したりは?

【白川由美子】 相談するっていうのはある意味、カミングアウトするようなものですよね。田舎育ちなので、ヘンな噂を立てられたりするんじゃないかなという怖さが先だって、誰にも言えませんでした。

――ご家族にも?

【白川由美子】 そうですね、カミングアウトらしいカミングアウトはしてないですね。でも、家族には言えなかったんじゃなくて、言う必要がなかったからなんです。中学生の頃から家の中でこっそりお化粧したり、女の子の服を着たりするようになったんですけど、いくら隠れてしているつもりでも、やっぱり家族は気が付きますよね。でもみんな、そんな私のありのままを受け入れてくれたので、口に出しては言ってないかな(笑)。

――中学生時代の心に残っているエピソードはありますか?

【白川由美子】 好きな男の子がいたんです。思いを伝えずに卒業するのはイヤだなと思い、思い切って告白したら、次の日、学校で噂になってしまって…。なよなよしてたし、自分を隠そうとも思っていなかったので、周りの子も薄々わかっていたはずなんですが、「やっぱりオカマだったんだ」みたいな感じで、陰でこそこそ言われたり、通りすがりに「気持ち悪い」って言われたりしたこともありました。それでも「私は私。こういう生き方しかできないんだ」って思っていたから、トラウマにはなっていませんが、心には残っていますね(笑)。

男性化していく身体に耐えられず10代で性転換

――心と体の性別を一致させ、女性として生きていく決意を固めたのは?

【白川由美子】 16歳のときです。思春期になると、男性ホルモンの影響で体がどんどん男性化していくんですよね。体毛も濃くなるし、体つきもゴツゴツと大きくなるので、それを一日も早く止めたくて。高校を1年で中退して、地元で働きながらホルモン治療を始めたんです。両親にももちろん相談したんですが、最初はすごく反対されました。だけど「こういう体がイヤだから、いち早く治療を始めたい」って説得して、最終的には理解してもらうことができました。その後の治療に関しても、親には全部オープンに話しています。

――その後、女性化するまでのプロセスを教えていただけますか?

【白川由美子】 16歳でホルモン注射を始めて、17歳で睾丸摘出手術をしました。その後、18歳で豊胸手術、19歳で性転換をして、戸籍上も女性になりました。性転換の手術は国内でできないので、タイに行って現地の病院で受けたんですが、全身麻酔をするので「そのまま目覚めなかったらどうしよう」「失敗したらどうしよう」と、不安で不安で。でも、それに勝るくらい、女性になりたいという気持ちのほうが強かったですね。

――手術を受けるにあたり、麻酔以外のリスクもあったと思うのですが。

【白川由美子】 睾丸摘出に関しては、男性ホルモンが分泌されなくなることでホルモンバランスが乱れて精神的に不安定になることがあるということを、事前に先生からうかがっていました。性転換に関しては、手術そのものよりもアフターケアのほうが大変でしたね。女性化した部分が塞がらないよう、1年間毎日、朝晩1時間ずつのケアが必要なんです。最初は痛みもありますし、ケアしている間はまったく動けないのも辛くって。手術すれば終わり……というわけにはいかないんですよね。

「自分は女性」そんな思いが身を滅ぼしてしまう

――体を女性化するにあたって、治療の方法や病院選びなどの情報はどうやって集めたんですか?

【白川由美子】 主にインターネットです。18歳で上京して、ニューハーフのお店で働くようになってからは、病院についての情報交換はもちろん、体のこと以外にも恋愛とかお仕事のこととか、先輩方に相談に乗ってもらったりしていました。

――身近に相談できる方がいるのは心強いですね。

【白川由美子】 そうですね、えげつない話も多いですけど(笑)。でも、「こういうお店で『自分は女性だ』と思って働くと、身を滅ぼすよ」とか、同じ境遇の先輩達ならではのアドバイスもたくさんしていただきました。トーク力とか、見た目の華やかさとか、本物の女性にはない個性を引き出しながら、仕事をしていったほうがいいと。どんなに身なりをキレイにしても、ニューハーフはニューハーフ。本物の女性にはなれないので。

――トランスジェンダーの方は、男性の気持ちも女性の気持ちも理解できると聞きますが…

【白川由美子】 よく言われるんですけど、結局、どっちもわからない。ニューハーフにはニューハーフの気持ちしかわからないんです(笑)。

キレイを追求するほど本物の女性とはかけ離れていく

――現在のお仕事は?

【白川由美子】 今は銀座のクラブで、本物の女の子達と一緒に働いています。昼間はベリーダンスを習いにいったり、ウォーキングのレッスンに行ったり。基本的に習い事が多いですね。

――本物の女性よりもキレイになりたいという気持ちはありますか?

【白川由美子】 それはありますね。ニューハーフのお店で働いていると、キレイになりたいのか、本物の女性みたいになりたいのか、けっこう二極化するんです。見た目が女っぽいって言われる子は、どちらかといえば地味目というか、街中を歩いていても紛れるような子なんですよ。逆に、キレイを追求すればするほど派手になって、本物の女性らしさとはかけ離れていくので、よくも悪くも目立ってしまうんです。私は完全に、キレイになりたい派なので、年々、派手になっていってます(笑)。

本音を言えば結婚したい。いつか自分を認めて理解してくれる人と

――トランスジェンダーを取り巻く現状について、思うところはありますか?

【白川由美子】 女子大でトランスジェンダーの受け入れが検討されるほど、世間の方の認知や理解が広がり、寛容になったのは、すごくいいことだと思っています。たまにニューハーフのお店の人達と歩いていて「オカマだ」って言われたりするときは、まだ偏見もあるのかなって思うんですけど、こうして好きなことをして生きていけるだけでもありがたいのかなと。もっと認めてほしいとか思ってしまうと、それはもう押しつけになってしまうので、現状のまま、私達のような生き方もあるんだなと捉えていただけたらいいなという感じです。

――心と体の性の不一致を誰にも相談できず、悩んでいる方にアドバイスするなら?

【白川由美子】 性別に対して違和感を持つことを悪いことだと思ってほしくないですし、それは自分の個性として、胸をはって前向きに生きていってほしいです。

――最後に、将来の夢を教えてください。

【白川由美子】 本当のことをいうと、結婚したいです。私という存在を認めてくださって、理解してくださる方といつか巡り会えたらいいなとは思います。あとは…今年は日本予選で2位だったので出場できませんでしたが、「ミスインターナショナルクイーン」の世界大会に出る夢もまだ諦めてはいないので、世界一のニューハーフを目指して、今後も努力していきたいです。

インタビュー・文/今井洋子 撮影/臼田洋一郎
撮影協力
アンジェパティオ 〒150-0036 東京都渋谷区南平台町12−11 

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