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いま“ヘタレ役”がもっとも似合う永山絢斗、「不憫萌え」が俳優力の証に
脱“瑛太の弟”、胸キュンドラマから大河までこなし独自のポジションを確立
2007年に『おじいさん先生』(日本テレビ系)で俳優デビューしたころは、“瑛太の弟”として見られていた感もあったが、その後『藁の楯』や『クローズEXPLODE』などの映画作品から、民放ドラマ、NHKの朝ドラ(『おひさま』『べっぴんさん』)、大河ドラマ(現在放送中の『いだてん〜東京オリムピック噺〜』)まで幅広く出演し、今では先述のように瑛太の弟という印象を凌ぐポジションを確立している。
SNSでは“ヘタレ演技”が話題に、ダメっぷりを“称賛”に変える
実際、ヘタレ役も度がすぎるとただの“ダメ男”になってしまうが、永山はヘタレ部分の裏に“デキる男”を感じさせるという絶妙な塩梅を見事に演じてみせる。そういう意味では、今一番ヘタレ役が似合う俳優であり、SNSでたびたび取り沙汰されている“不憫萌え(=どこか残念さを感じる人にキュンとする)”というキーワードにもピッタリ当てはまるのだ。
塩梅が難しい“不憫さ”を出す演技は、俳優としてのの力量次第
また、テレビ朝日の人気ドラマ『ドクターX』の最新シリーズ(2017年放送第4期)でも、ゆとり世代の小生意気な若手外科医役を演じたが、クライマックスでヒロインの大門未知子(米倉涼子)から執刀医の座を奪うも、オペ中に大門に執刀を交代するというヘタレっぷりを発揮。しかし、ここでも外科医としてワンランク成長するという“芯の強さ”を観る者に感じさせたのである。
そもそも永山絢斗にヘタレ役が似合うのも、永山にそれだけの演技の力量があるからだ。本当のヘタレやダメ人間であれば、視聴者には嫌悪感しか与えない。しかし、永山のヘタレ演技の向こうには、そうなってしまった現実の厳しさや、それに抗おうとする意志が垣間見え、ある種の“怖さ”や“深み”も漂う。そして、決して下品には見せない役者としての“品格”のようなものもあり、多くの視聴者が感情移入しやすいと同時に共感もしやすいのではないろうか。
こうなると永山の“ヘタレ役”はもはや俳優としての“勲章”であり、映画やドラマ、舞台など、今後の永山絢斗のさらなる領域への挑戦を期待せずにはいられない。