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アムラー、カリスマ…平成が生んだ名“形容句”、ブームけん引した“マジックワード”
90年代のコギャルブーム象徴としての「〜ラー」
しかし、実際この言葉はいわゆる大枠で「ギャル」の原型を作り、渋谷の街は一時アムラーがあふれかえった。その後、シノラー(篠原ともえ)やカハラー(華原朋美)、ハマダー(浜田雅功)などのフォロワーも生み出し、アムラーの元ネタとなった「シャネラー」(泉ピン子をはじめ高級ブランドのシャネル愛用者。1994年ごろ発生)や「マヨラー」(マヨネーズ好き)のように、「○○をこよなく愛する人」を表わす形容句として普及していった。
唯一無二の存在のはずが…世に「カリスマ」が大量発生!?
しかし、木村拓哉主演のドラマ『ビューティフルライフ』(TBS系/2000年)を頂点とした「カリスマ美容師」の大ブームを皮切りに、「カリスマ店員」「カリスマモデル」「カリスマ塾講師」「カリスマホスト」など、あらゆる業界に“カリスマ”が出現することになる。本来はいわば“神”のような対象に使用されるはずの「カリスマ」だが、乱発されてインフレを起こした結果、「〇〇のカリスマ」(美のカリスマ=IKKO、黒いカリスマ=プロレスラー・蝶野正洋など)的な用法もあるなど、今でもけっこう定着しているようだ。
高嶺の花が身近に AKBが火付け役の「会いに行ける〇〇」
そして今では、「会いに行けるペンギン」など人間以外の対象にも使われるコピーにまで発展している。
ダイヤモンドの原石からスターダムへ 魔法の言葉「〜すぎる〇〇」「〇年に1人」
彼女の活躍以降、「ビールの売り子→芸能界入り」という新たな道筋もできたわけだが、この「○○すぎる」は汎用性が高く、特に「可愛すぎる〇〇」や「美人すぎる〇〇」は職業を問わず広く使われ、「美人すぎる議員」「可愛すぎる医師」などバリエーションは豊富だ。
一方、この「○年に1人」は、乃木坂46・齋藤飛鳥の「4000年に1人」、NMB48・太田夢莉の「1万年に1人」、AKB48・小栗有以の「2万年に1人」とどんどんエスカレート&インフレ化しており、そろそろ人類史を超えてきそうな勢いである。
ブームだけでなく引退、結婚、解散などで喪失感を出す「〇〇ロス」
さらに何かを失うことを意味する「○○ロス」では、安室奈美恵さんの引退を惜しんで使われた「アムロス」が昨年最も目にしたことだろう。これまでも「五代ロス」(NHK総合の朝ドラ『あさが来た』に登場したディーン・フジオカ演じる五代友厚が亡くなったことへの悲しみ)や「福山ロス」(福山雅治の結婚を悲しみ)、「逃げ恥ロス」(TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』終了からの喪失感)など、これまた多種多様な「ロス」が生まれている。起こったことのショックで早退したり会社を休む、という発言がネット上であふれたり、実際に行動に起こす人も出現する事態に。
アムラーから始まりアムロスで終わる 安室奈美恵さんが平成エンタメ史に残した功績
先述のように昭和の時代は「スター」のひと言で片づけられることが多かったものの、アイドルのキャッチフレーズでは、「河合奈保子=西城秀樹の妹」や「中森明菜=ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」など味があるものもあった。また平成最初期には、なぜかアイドルの身体のパーツに保険をかけてキャッチフレーズにするというブームもあり、「一億円の瞳=田中美奈子」、「一億円のバスト=井上晴美」など、これもバブルっぽさを感じさせる一方、(今なら女性蔑視やセクハラで問題になりそうだな…)と思ってしまうほど、当時は大らかな時代だったとも言えそうだ。
時代とともに常に新しい「流行形容句」があった。乱発されると飽きられたり捨てられたりもする。しかし、経年劣化を繰り返しながらも時代の映し鏡であり続け、その言葉を聞くだけで当時を鮮明によみがえらせるパワーを秘めている。新元号で始まる新時代では、いったいどんな流行形容句が誕生するのか、楽しみである。