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(更新: ORICON NEWS

2018年CM振り返り 大手CMと真逆の手法で“独り勝ち”した『ハズキルーペ』

 2018年も多くのCMが放送された。人気俳優だけでなく、注目の新人や若手芸人を起用したりと、いつの時代もエンタメ業界のトレンドを色濃く反映し、“時代の映し鏡”でもあるCM。2018年はどんな傾向にあったのだろうか? “お尻敷き”で話題のあのCMや懐かしのアニメ系まで、好感度・起用社数ランキングなどから、2018年のCMトレンドを振り返っていこう。

“素人っぽさ”で視聴者にインパクトを与えた『ハズキルーペ』

 CM総合研究所が発表した2018年の「銘柄別CM好感度ランキング」では、KDDIが4年連続で首位に輝き、au『三太郎』シリーズの人気も今やすっかり定着した。2位にはソフトバンク、3位にはNTTドコモがランクイン。大手携帯キャリアのシリーズCMは、大手広告代理店のプロのクリエイターが集結して作られており、毎回ストーリー性のある面白さと豪華な出演陣が話題になるなど、安定した人気とクオリティの高さを見せている。

 一方、2018年最も注目を集めたCMは『ハズキルーペ』だろう。ベタな展開とどこか古くさい演出を披露し、“素人っぽさ”と“絶妙なキャスティング”で視聴者にインパクトを与えた。渡辺謙が開始3秒で「世の中の文字は小さすぎて読めないっ!」と怒って書類を放り投げたり、超ミニスカート姿の菊川怜は、“お尻敷き”で『ハズキルーペ』の強度さをアピール。産休明けの武井咲がクラブのママ役で登場したかと思えば、小泉孝太郎が「字が小さすぎて読めない!」と渡辺をまねたり、最後は4連発の“お尻敷きコンボ”が待っているなど、ベタな展開が盛りだくさんのCMとなっている。SNS上では若者を中心に「菊川怜の尻に敷く強度試験のくだりやっぱおもろい」「我が家のブーム」などの声が上がっていた。

 『ハズキルーペ』のCMは、会長自ら陣頭に立って制作していることも反響を呼んだが、王道でスマートな手法(人気俳優起用、ドラマ仕立てなど)といったマンネリに飽きていた視聴者にとっては、逆に新鮮に映ったのかもしれない。

名作アニメを続々と採用 一方、パロディ化にはリスクも

 名作アニメも、続々とCMに採用されている。2012年から始まった「家庭教師のトライ」のCM「教えて!トライさん」×アニメ『アルプスの少女ハイジ』は、もはや定番となりお茶の間になじんでいる。2018年も、花王の洗剤『アタック』がアニメ『アタックNo.1』を採用したCMを展開。“体育会系”と“汗”を考えれば、親和性が高いのもうなずける。

 そもそも名作アニメは、すでに数字(視聴率)を取ってきたコンテンツであり、中高年層にも認知されている分、幅広く訴求できるのが強みだ。

 一方、名作アニメのパロディ化にはリスクを伴うこともある。日清食品カップヌードルがアニメ『フランダースの犬』を採用したCMは、SNS上で「これはヒドい」、「名作を冒とくしている」などと批判が殺到。NTTドコモがアニメ『一休さん』を採用したCMにも、「いまいち内容が分からない」「なんで1980円?1930円じゃないの?」といった声が多く上がっている。名作アニメのパロディ化は、その使用意図や着地点次第では2019年以降も議論を巻き起こしそうだ。

イケメンよりも親近感? “芸人”起用相次ぐ

 2018年のCMも、芸人が多く起用された。ニホンモニターの「2018タレントCM起用社数ランキング」の男性部門では、14社に起用された出川哲朗が1位を獲得。出川といえば、かつて“女性に嫌われる芸人”の立ち位置だったが、いまや老若男女に愛される国民的スターへ転身。2018年は花王の女性向けヘアケア商品のCMに抜てきされるなど、話題となった。

 またCMと言えば“イケメン俳優”を起用するのが正攻法だったが、ここ数年「親しみやすい>カッコいい」を重視する傾向が続いている。とくに顕著なのは、求人CMだ。リクルートジョブズの『タウンワーク』には、ダウンタウン松本人志を起用。同社はORICON NEWSの取材に対し、「シンプルなコピーをインパクトを持って伝えられる人」として松本を選んだと話している。またエン・ジャパンの『エン転職』はバカリズムを、パーソルキャリアの『doda』は、ハライチ澤部佑を起用した。

 『doda』のCM制作に携わった担当者は、ORICON NEWSの取材に「『転職』が一つの選択肢として受け入れられつつあるが、それでも依然として『転職は後ろめたいこと』とネガティブなイメージを持っている人が多い。そこでCMでは、転職を身近なことと思ってもらえるように、ユーザー目線を演出してくれる“親しみやすさ”がある澤部さんを起用した」と語っている。「求人CM×芸人」は、同時代に生きる悩める求職者たちの“等身大”の要求に応えた象徴的なコラボとも言えるのではないだろうか。

“坂道”旋風止まらず! 正統派美少女・浜辺美波も2019年台風の目に!?

 2018年のCMは、“坂道グループ”の起用が相次いだ。ニホンモニターの「2018タレントCM起用社数ランキング」の女性部門の1位は、18社に起用された乃木坂46白石麻衣が獲得。キリンの『氷結 300%レモン』では、大胆なさらし姿で登場した白石。東京スカパラダイスオーケストラに合わせて、和太鼓の演奏を披露するなど、注目を集めた。またグループとしても、アイペット損害保険やセブン-イレブン・ジャパン、求人情報サイト『バイトル』のシリーズCMなどに出演した。

 欅坂46は、NTTドコモの学生向け料金サービス「ドコモの学割」のCMに出演。新聞社のキャップを演じた堤真一と、会長を演じた“ひふみん”こと加藤一二三九段が「会合」と称してノリノリで欅坂46のライブを楽しんでいる様子が話題となるなど、2018年は、音楽業界に限らずCMにおいても“坂道グループ”の活躍が目立った年となった。

 一方、2018年躍進を遂げた新人女優といえば、浜辺美波だ。正統派美女としてドラマや映画に引っ張りだこで、2018年はロッテ『ガーナミルクチョコレート』など8社のCMに起用された。2019年もCMをはじめ女優業でもさらなる飛躍が期待される。

 こうしてみると、CMはやはり世相やトレンドを反映する鏡であり、ある種その“反動”として『ハズキルーペ』の異色さが目立ったとも言える2018年。果たして2019年はどんなCMが生まれるのか、どんなCMスター&ヒロインが出現するのか、注目したいところだ。

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